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橘の 下照る庭に 殿建てて
河内女王の歌一首
※河内女王:高市皇子の娘。万葉集中一首のみ
橘の 下照る庭に 殿建てて 酒みづきいます 我が大君かも
(巻18-4059)
※酒みづきいます:「酒みづく」は、酒宴を催す、あるいは酒浸り。
橘の実が、その木陰に照り映える庭に、立派な御殿までお建てになられ、その上、お目出たく酒宴まで催される、我らの大君なのです。
元正上皇が橘諸兄の屋敷を建てたわけではないが、詠み手は、元正上皇のお引き立て(橘諸兄を重用すること)により、立派な屋敷を建てられたとする。そのうえ、ありがたくも、酒宴まで主催される、と上皇を褒めたたえる歌を詠む。




