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Sick syndrome.  ③  作者: AKIRU
1/1

結界

ようやく四千字を越えました。(笑)

やっと動き始めた…といった感じですかね

「気にするな」

「…?」

弦には、三浦が何を言っているのか理解できなかった。

「さっきのオネエサンなら、まだ成仏してないから、そのうち出てくるだろ」

三浦の後ろから聞こえた声に、弦は目をしばたかせた。

「これ、オレの叔父。でもって、ここの家主」

「まだ35才でサルの叔父の三浦尊。タケル様か兄貴と呼んでくれたまえ」

「腐れおジジぃ様、他人の前でサルって呼ぶなって言ってんだろ」

「サトルなんだからサルでいいだろ」

「だったら悟って呼べよ」

「サトちゃん、4才から変わってないねぇ~」

「そう言うおジジぃ様は老けすぎだろ」

「で?彼女の名前は?」

「あ…、忘れた」

タケルは、弦とローテーブルを挟んだ一人がけのソファーにふんぞり返った。

サトルは彼女が座る三人がけのソファーに並んだ。

「オマエ、名前何だっけ?」

「ユヅ。枚方(ひらかた)弦…あれ?」

答えてユヅは違和感を覚えた。

「枚方って、ひらパーの枚方?」

タケルは電子タバコを口にした。

「ひらパー?」

眉間を寄せるサトルは、長い手を伸ばし、タケルの口から電子タバコをひったくった。

「うわぁ~、知らないのかよ!?関西で初めて仮面ライダーショーやったところだぞ」

「?」

「気にするな。ジジぃの()れ言だ」

小首を傾げるユヅの前に、サトルは缶コーヒーを置いた。

「ダメだよサトちゃん、本当のこと教えてあげなきゃ」

「いきなり過ぎだろ」

「そのために、俺んとこまで連れてきたんだろ?」

「まぁ…」

ふたりの三浦のやり取りに、ユヅは何となく居ずまいを正す。

 突然消えた女性

 冷房設備もないのに暑くない部屋

 ふたりの気配…

「さっきの女は、昨日の新聞に載ってた人だと思う」

タケルは電子タバコの代わりに、缶コーヒーで一息ついた。

「自宅の浴室で自殺したらしい」

「自殺!?そんな…」

(なた)で左腕を切断した、って書いてた」

「…まさか」

ユヅは公園での笑顔を思い出した。最後まで話を聞く前に、三浦悟が乱入してきた。そして、ふたり揃ってここへ着いてきた。

「ユヅちゃんに触れてるときだけ、サトルにも見えていた。だろ?」

「あぁ。池の前でこいつが突っ立てて、誰もいないとこ見て顔面蒼白だった」

「誰もいない?」

ユヅは間違いなく、彼女の話を聞いた。

「ま、すぐに見えたけど」

サトルは飲みかけの炭酸水で口を湿らせた。

「ヤバい空気だったから、ここに直行したんだ」

「それが買い物してこなかった言い訳ってことだね」

「買い物はこれから行く」

「さすが、サトルはむかしっから優しくていい子だ」

タケルは甥っ子が可愛くて仕方がない、といった笑みを浮かべ、電子タバコを取り返した。

「この部屋はある種の結界になってる」

「結界…」

電子タバコをくわえるタケルを、ユヅは凝視した。

「わかりやすく言えば、怨念っていうか、強い気持ちを残して死んだ輩とかが、存在できない空間」

タケルはタバコをくわえているだけで、ふかす気がないようだ。

「あの、つまり、それって…」

「俺んとこ、そういう家業だから」

タバコの尖端がサトルを指す。

「オレは違うぞ」

「実家継がなくても、そういう血筋なんだよ」

サトルは背もたれに体を預け、天井を仰いだ。

「三浦くん、幽霊…とか見えるの?」

「あ?…初めてまともに見た」

「初めて?」

「オレ、科学的に証明できないことは、信じたくないんだ」

「だからって、向こうの工科大辞めてこっちの大学に入るとは思わなかったな」

「…成り行き」

「そういうことにしておいてやる。けど、兄さん未だに泣いてるぞ」

「オレじゃなくても継ぐだろ」

「妹に押しつけるとか、サトルはイヤラシイよな」

「押しつけじゃねーよ」

妹の芙華(ふうか)が学生坊主を親父にプッシュしたんだ。と、サトルは仰け反ったままぼやいた。

「三浦くん、実家は都内のお寺さんなの?」

「サトルでいいよ」

叔父きも三浦だし。

サトルは話す気がないらしい。

「うちはね、谷中ってとこで昔からお寺屋さんなの」

上野動物園から近いんだぞ。とタケルはユヅに笑いかけて、彼女の缶コーヒーを開けてやった。

「というわけだ、サルは買い物してこい」

「どーいうわけだ!サルじゃねーし!」

「俺はユヅちゃんと、縁側でゆっくり語りたいんでね」

有無を言わせないタケルの口調に、サトルは何も言わず立ち上がった。

「エコバック持って行けよ」

「わかってる!」

サトルはユヅをちらりと伺い、足音をたてずに出て行った。

「さて、河岸を変えますか」

軽い物言いとは違い、タケルの目つきは鋭かった。

自殺した人がでてくる話は

もしかして15禁とかじゃないですよね?

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