苦痛
全身が痛い。
特に頭は酷く、視界がグラグラする。
何故こうなってしまったのか。
何故私はここにいるのか。
何も分からない。
誰にも説明できない。
誰にも···私が何故どこかのビルの屋上にいるのか、なんて説明できない。
だが好都合だ。
クワンクワンと鳴り響くこの頭痛を、そして全身を走る苦痛を止めるには死ねばいい。
私は身を投げ出す___
妙なことが起こった。
フワリと、浮遊感を感じる。
空を飛んだのだ。
私が望むと、下からゴオッと風が吹き上がる。
それは不思議な感覚で、しかし悪くなかった。私はその後、グングンと高度を上げ飛んでいった。
自身を覆う、痛みなど忘れて。
だが、事故は起きる。
不意に風が弱くなった。
焦った。グングンと、しかし今度は逆に高度が下がっていく。
私は思わず目を瞑る。このままでは、私は地面と激突してしまう。
先程の感情はすっかり忘れ、私はすぐ後に来るであろう衝撃に耐えるため体を強張らせた___
だが、そこで気付く。
世界が揺らぎ、崩れる。
地面も、ビルマも、風も、自分でさえも。
全てが音を立てて崩れ、黒が辺りを支配したとき__私は初めて思った。
そして、世界は完全に壊れた。
記録。