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虚視  作者: uto-pia (translated)
15/15

制裁

 人の遺体をトイレに流した。


 相手は、私の想い人へ危害を加えた男だった。

 私には好きな人がいる。この人でなければならないというほどではない。ただ、互いに何となく、この人と居たいと思う仲だった。

「大丈夫、今回もきっと勝てるよ」

 私のことを思ってか、彼女はそう笑った。


 相手を手に掛けたのは、戦いの大前提を破ったからだった。

 こっちがやらなければ、想い人がやられていた。手に掛けたこと自体に後悔はない。だが、死体を肩に担いでから、なぜ自分はこんな面倒事を産み出したんだろうと激しく後悔した。


 何度も水を流すが、死体が流れていく様子はない。

 引っ掛かっているのだろうか。だが死体を、それも便器から引きずり出すことは、あまりにも汚い故に実行したくない。

 私の反抗を見ていた者は皆、何事もなかったかのように戦いの準備をしている。

 覚えているのは、それを目の前にしている私だけだ。


 忘れたくても忘れられない。

 対処するべきだがしたくない。

 しかし見つかるのは怖い。

 どうするべきか分からず、流し続けた水と混ざるように、私は虚影へと落ちた。

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