騒然
夜の街で、突如としてそれは起こった。
光る空、奏でられた音色、美しき光景。
それを見た友は、私を連れて特異点へと向かう。凄まじい高さを誇るそれを前にして私は圧倒されたが、友は強引に私を連れ込んだ。
いや、それは友だったか。
今となっては覚えていないが、少なくともそのときの私にとっては間違いなく友であった。
花火の正体は紙吹雪だった。
音色の発生源は建物に写された映像だった。
光景の中心は、そこに佇む一人の彼女だった。
彼女は私たちを歓迎した。その瞳は透き通っていて、友も私もそれを拒むことを考えなかった。
彼女は一人でその建物を守り続けていた。私たちは、明日もここへ来ることを約束した。
だが私の中では、この建物へ入りたくないという気持ちが強かった。
彼女が嫌いなのではない。だが結局、私は次の日彼女と会うのを大きく遅らせることになった。
それでも彼女は、遅れてきた私を叱ることなく迎え入れてくれた。
彼女はこんなに優しかっただろうか。彼女の知らないはずの私は、彼女の現在を疑っていた。
花火が止まない。
彼女と私は街を眺めている。
虚構が終わる。
全てが崩れ去る。
問題は虚構そのものでない