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それは空が青すぎたせいだ

作者: 透流

それはあまりに嘘のように

夢の景色のように美しく

奇跡的な確率で出会えたような

怖いくらいの青空だったんだ


そして隣に君がいたから

僕はその手をそっと握れたんだ

それから互いに強く握り合ったのは

夢ではなくしっかりと過去になった


その表情をいつも見ていた

髪や目や鼻や口を見ていた

仕草や口癖、声や匂いまで

抜き打ちテストしても満点さ


雲ひとつない青空を眺めて

涼しい風を一緒に感じて

互いに離すまいと手を握り合い

僕らは空でも飛べそうだった


その横顔を見つめてみたら

やがてそれに気づき君は笑った

僕は笑って抱きしめたかった

でも君の瞳に広がる世界で


果たして僕はどう映るのか

いったいどこに映っているのか

僕の中で君がそうであるように

僕が真ん中に映っているのか


二人の間を風が抜けてゆく

僕は思わず目を逸らし空を仰ぐ

繋いだ手が頼りなく震えてしまう

少しずつ、力が弱くなる


それは空が青すぎたせいだ

僕が笑えなくなったことも

すべて空が青すぎたからなんだ

それでなぜだか納得するんだ


それ以外の理由なんてない

君のことを失いたくはない

もし99% 君のことが嫌いでも

残りの1%に恋して君を愛するだろう


だけどそれは仕方がなかった

なぜなら空が青すぎたからだ

僕らはどうしようもなく青かった

風に吹かれて立ち尽くしていた


空は僕の上に重くのしかかる

記憶は始終僕を苦しめる

それでも僕は空を眺めている

すべては空が青すぎたせいだ

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