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三話 ルナ切れる


 彼がルナのおじいさんだとすぐに分かった。

 そう判断したのはなんてことはない。


『愛しのルナよ! ルースへようこそ!』


 などと書いてあるプラカードを持っているのだから……。


 かわいそうに……。たて続けに人前(俺の前)で恥をかかされたルナは羞恥心で茹でダコのようになっている。


 てかルナ怒ってないか? ひたいに血管が浮かび上がっているのが見てとれるんだけど。


 身の危険を感じた俺はルナから距離をとる。


 その動きが場を譲るように見えたのだろう。おじいさんは満足そうに俺に頷いてルナに近寄る。


「ルナちゃ〜ん! おじいtyガボラッ!」


 まだ話の途中だったおじいさんに殺意ののったルナの右ストレートが突き刺さる。


「ル、ルナちゃん? どうsイボォッ!」


 だが流石かな。俺が喰らったなら生死を彷徨うところをおじいさんは平然と起き上がった。すぐに追撃が飛んできたけれど。


「え、え? ルナちゃァイッッ!」

「ごめん!許しデゴォッ!」

「悪かっダダダダッ!」

「もグヘェッ!」

「kァッ」


 あわわわわ。ルナさんそれは酷すぎますよ。おじいさんだって謝ろうとしてたじゃないですか。えっ、何か文句あるかですって? ……いえ、なんでもないです。ハイドウゾ、続きをお楽しみくださイ。


 俺に救いを求めていたおじいさんの目が絶望に変わる様は見ていて本当に辛かった。ごめんなおじいさん。でも俺にはあの化け物を止めることはできないんだ。



 ★☆★☆★



「で、いったい何のつもりだったの」


 地面に転がる実の祖父に問いかけるルナ。その冷酷な視線はまるで汚物を見るかのようだ。


「私が安全に来るためだけ(・・)に街の税金で魔物の間引き。私の安全祈願のためだけ(・・)にこれまた税金で謎の舞を作り。完全に権力の乱用じゃない! 見損なったわ」


 ルナが怒るのも当然で、なんとこのじいさん、街の代表の立場を利用しあんなことやこんなことをしていたのだ。擁護のしようがない。


「まあ姫様落ち着いてくだせえ。ボスには街のみんなが感謝してるんすよ」


 黙秘権を行使するおじいさんに代わり、集団の一人がルナに話しかける。


「お祖父様に感謝? どういうことなの?」


「へぇ、まず周囲の魔物を狩ったことで街道の安全を確保でき、人の流れも物流も良くなったんすよ」


「へ、へー。それだけかしら?」


 落ち着けルナ。動揺しているの丸わかりだぞ?


「いやいや、それだけじゃあねぇ。さっきあっしらが踊っていた舞は経営が苦しい孤児院に少しでも金を与えるために考えさせたやつでさぁ」


 おじいさんを見ると照れ隠しなのかそっぽを向いている。頬が赤いのが丸わかりだぞ。


 この話にはルナも驚いたようで殴ったことを後悔してオロオロしていた。


 だが、男の話はまだ続く。


「この街は農業が盛んじゃあねぇし他の街がやるような収穫祭などの祭りもねぇ。一年中変わりばえのない退屈な毎日を過ごすだけでさぁ」


 おや? 何やら話の流れが変わったぞ?そして何故だかおじいさんが慌て始めたぞ?


「そこで優しいボスはこう考えたのさ。祭りがなければ作ればいいと」


 おじいさんが顔を真っ青にして汗をダラダラ流しだす。


「そして出来たのがルナティックフェスタ! 姫様を崇め、祝う祭りさ!」


 ぷっちーんとルナから何かが切れた音が聞こえた。

 おじいさんも聞こえたようで数秒後の未来を想像してしまったのだろう、目を虚ろにして過呼吸になっている。


「しかも明日姫様の無事を祝ってパレードをするんでさぁ!」


 それがトドメだった。その時のルナは聖母のような慈愛に満ちた笑みを浮かべていた。



 ★☆★☆★



 そして現在おじいさんの家にお邪魔している。諸事情によりおじいさんの意識がないのでこの街に来たことのあるルナが案内してくれた。


 それと家なのだが、元貴族なのでやはりでかいのかと思いきや、大きいのは庭だけで家はこじんまりとした平民よりは少し立派なだけだった。


 玄関を開けると明るい茶色のうさ耳をしたお姉さんが出迎えてくれた。

 あとでルナに誰だったなのか尋ねると、なんとおじいさんの奥さん、つまりはルナのおばあさんだった!

 貴族の結婚、出産は早いので、それらを考慮してもアラフィフだと思うのだが二十代と言われても違和感がない。おじいさんも若いのだが、おばあさんと比べてしまうと驚きは少ない。


 まあ明日はルナが主役のパレードで忙しくなるので今日は早く寝ることになった。

 王国にいた頃は妹のアテネに振り回されて祭りを楽しむことができなかったので一人で行動できる明日が楽しみだ。


 ああ、そういえばおじいさんの名前が判明した。ベテルギウス・セレーネ。ついでに言うとおばあさんがベラトリクス・セレーネ。似た名前が理由で仲良くなったそうだ。


 後に馴れ初めを嬉々として語るラヴラヴモードの二人に「俺だって作ろうと思えば王女が彼女になるんだがらな!自慢されたって悔しくないんだから!」と言いたくなった。

 しかし何故かこちらをちらちら見てくるルナが何を考えているのか分からなくて怖かったし、あんなヤンデレはいらないと思ったので黙って聞いているという一幕があったことをここに記しとく。


ブックマーク減って傷心中なので30日までお休みします


追記:文章の神様が降りてこなくて難産を極めているのでまだまだ投稿遅れそうです……。

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