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七話 議論

 泣いていたルナを部屋にやってきたメイドさんに任せ、俺は執務室に移動した。


 執務室ではリゲルが顔の前で指を組んで、机に肘をのせた状態で待っていた。


 俺はそんなリゲルの正面にある椅子に座る。

 なんと言われるだろうか。俺の顔を見てすぐに殴りかかってこないあたり話し合いの余地はあると見ていいのかな?


 リゲルが口を開くのを戦々恐々として待つ。


「なぜ呼ばれたか分かっているな?」


「ルナお嬢様を泣かせてしまったことですね?」


「そうだ。ルナを泣かせるなど言語道断。今すぐにでもお前をギッタンギッタンにしてやりたいところだが私もそこまで鬼ではない。何があったのか話せ」


 そこには有無を言わせぬ気迫があった。


「……わかりました。実は――」


 ルナが泣いた理由を話す。手短かに要点を踏まえて話す。

 話している最中リゲルが終始無言だったのが実に恐ろしかった。


 もちろん俺がルナを煽ったことは言わなかった。あたかも偶然起きてしまった悲劇と思われるように伝えておいた。

 さすがに俺も正直に伝えるほど馬鹿じゃない。そんなことしたらどんな目に遭うかなんて火を見るよりも明らかだからな。



 話を聞き終えたリゲルは眉間にシワを寄せた。


「――そうだったか……。ルナの言い分も聞いてから君の処分を決めようと思っていたが嘘をついている様子はなさそうだ。君の話を信じよう」


 その言葉に緊張がとけ思わず安堵のため息が漏れる。

 他の貴族だったら話すら聞いてもらえず、すぐに殺されていたかもしれない。いや確実に殺されていた。貴族と奴隷の関係なんてそんなものだ。

 リゲルをただの親バカだと思っていたが奴隷に理解のあるやつで助かった。


「それよりも目下の問題は君とルナの関係だな。昨日オークション会場でルナが君を見たときはとても喜んでいたから仲良くやっていけると思ったんだがな……」


 リゲルはなんとなしにごちったが俺はその言葉に驚いた。


 あのときのルナはそれはたいそう恐ろしい顔で睨んでいた。

 だからてっきり嫌われているものかと。


 信じられなかった俺は問うてみた。


「そんなに喜んでいたんですか? 私にはそのように見えなかったのですが……」


 その問いにリゲルは当然だとばかりにうなづいてみせる。


「ルナは一人でいる時間が長かったから感情の表現が少し苦手でね。あの子自身、君とどう接すればいいのかわかっていないのだろう」


 思い返してみればルナの傲慢な物言いは俺との距離を図りかねてのものに感じられなくもない。

 見た目が原因で(リゲル談)学校にも行けず、雇った家庭教師にも一日で辞められてしまう始末。これで他人を不信にならない方がおかしいだろう。


 それなのに俺はルナの想いに気づかず泣かせてしまった。

 俺がもっと真摯に対応していれば今ごろ良好な関係を築けていたかもしれないのに。

 そう思うと自分の不甲斐なさに情けなくなってくる。このまま何処かへ逃げ出したいくらいだ。

 かと言ってルナとの関係をこんな状態のままにしておくことは周りも、そして自分も許さない。


 分かっている……。すべきことはただ一つ。


「……リゲルさん。もう一度俺にチャンスをくれませんか? ルナと親しくなるチャンスを」


 それは頭を下げることだ。


 リゲルが、俺とルナに仲良くして欲しいという気持ちを持っていることは前の発言から分かる。が、こんな状況を作り出したのは俺である。それなのに俺が謝らないでどうする。


 チラリとリゲルの顔を盗み見ると朗らか顔で笑っていた。


「やはり君を選んだルナの目に間違いはなかったようだ。いいぞ、ネロ君、もう一度君にチャンスをやろう。ルナと仲良くなってやってくれ」




 ★☆★☆★




 その後セレーネ家の家臣達も交えた緊急会議が開かれた。

 議題はもちろんルナと俺の親密度UPについてだ。


 当初平和に進行すると思われていた会議だったが一時間も経つと会議部屋では怒声が飛び交っていた。


 なぜなら主張する意見の異なる三つのグループができてしまったからだ。


 それらのグループを順に紹介していこう。


 まず始めは

『ルナお嬢様を泣かせた奴隷なんて処分してしまえ!』と主張するグループ。

 別名ルナ様をお守り隊。紳士へんたいが多い。


 次に

『ネロ君カッコいい!』のグループ。メンバーはほとんど女性だが一部「掘り掘り掘り」や「バナナ、バナナ」と叫ぶ奇妙な男が数人いる。

 このグループのメンバーに見られるたび下半身に悪寒が走る。誰か理由を教えてくれ……。


 最後に

『リゲル様に従ってネロにもう一度機会を与えよう』というグループ。特筆すべきことは無い。


 以上三グループが激しく対立してしまい話し合いがストップしてしまった。


 さすがのリゲルもこれには怒りを露わにし、最初に紹介した紳士へんたいグループを部屋から追い出してしまった。


 残りの二グループは決定的に意見が異なるってわけでも無いから追い出さないとのこと。


 と、まぁリゲルが邪魔者を追い払ってくれたおかげで俺とルナが仲良くなるための案が次々と提案された。


 当然それだけ多くの案が出されればどれを実行するかなんてすぐに決まるわけで、




 ――二人でにお出かけすることなりました!



 …………諦めていいかな。



毎日のように更新してる作者さんたちはいったい何者なんですかね……。

その文章力を十分の一でいいから分けて欲しい。


モチベがとてつもなく低いので次回更新は10日か11日になります……。

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