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十一話 霊力使い

忙しいけど投稿しないとブクマ外すんでしょ?!私知ってるんだからね!

 変身した人型八烏ちゃんはかなり可愛い。髪の毛は濡羽色で、今まで見てきた黒髪の中で一番綺麗だった。瞳も黒でまるでアテネのようだ。…………アテネ?!


「八烏ちゃんはアテネとなんの繋がりも無いよね?」


「さっきこの世界に出てきたばかりなのにそんな訳無いですよ」


 思わず安堵のため息を吐く。


「それならいいんだ。で、ここから脱出する方法を教えて欲しいんだけど」


「そうでしたね。ネロさんが変なこと言うからすっかり頭から抜けていましたよ。脱出する方法ですが、ネロさんには霊力を使ってもらいます」


「霊力?」


「霊力です。魔力のことはもちろんご存知ですよね?」


 流石に魔力を知らないってことは無い。


「おそらく現代の人は全員知らないのでしょう。魔力とは霊力のぱちもんなんですよ」


 へー。それが事実なら凄いことだけど、本当か分からないからなー。


「む、疑ってますね? いいでしょう、証拠を教えてあげます。ネロさんは霊感というものを知っていますか?」


 幽霊が見えるとかいう胡散臭いやつだよな。


「霊感とは霊力がそこそこある人が持っているものです。古代の霊力を知らない人たちは霊感を魔力なるものがあるからだと勘違いしました。恐ろしいことに勘違いを事実だと強く思い込むことで、本当に魔力を生み出してしまったのです。

しかしそうやって創り出された魔力は霊力の出来損ないに過ぎない。なので私たち神は魔力のことを欠陥霊力と呼んでいます」


「つまり現代にも霊力は存在していると?」


「そういうことです。さらにネロさんにはその霊力を使ってここから脱出してもらいます」


「あの女神(引きこもり)が言ってたやつか。でも俺霊力なんて使えないぞ?」


「その説明のために私が変身したんですよ。ここから脱出する、つまり天魔を倒すほどの霊力を使いこなすには何日か掛かるでしょう。けど幸いなことにこの空間内ではお腹が空かないようなので好きなだけ特訓できますよ!」


 俺そんな厳しい特訓やりたくないんだけどな……。


「どうやって特訓するんだ?」


「まず胡座の状態で精神統一してください」


 言われた通り座る。目を瞑り、意識を自分の内側に向ける。いわゆる黙想の姿勢だ。


 ――――――――

 ――――――

 ――――

 ――


 どのくらい経っただろうか。心臓の鼓動以外何も聞こえなくなった。これはすごい集中できるな。


「集中できましたか? すると身体から感じたことのない力が湧いてきませんか?」


 ……………………へその辺りから何か感じる。これが八烏の言っているやつか?


「へその辺りにポワポワしたのを感じるよ」


「それですそれ! それが霊力です! そのまま集中して身体全体に広げてください」


 ……………………分かるぞ。腹から放射状にジワジワ広がっている。


「全体に広がりましたか?」


「ああ」


「そしたら手のひらに力を集めてください」


 力を集めるってこうか?おっ、できた気がする。


「まずは霊力で左腕を回復させてみましょう。その手で左腕の切断面を触れてください。そこで腕が回復するよう強く想うのです」


 左腕回復できるの?! 霊力素晴らしいな!


 左腕に右手を添え回復しろと強く願う。左肩がムズムズしてきた。これはもう少しか?


 先ほどよりも更に強く念を送ってみる。すると切断面を体内から推し出て来る力を感じた。


 目を開けて腕に視線を落とすとすでに左腕が回復していた。


 霊力凄い! 四肢切断は神殿に行かないと回復できないのに自力で治せたら神殿必要なくなるじゃないか!


「どうですか! これが霊力ですよ! さあこの調子で霊力をもっと練ってください。今の十倍は霊力を使わないとこの空間から脱出できませんよ」


「はい! 霊力鍛えるの頑張ります!!」


 こうして地獄の特訓が始まった。




 ★☆★☆★




「ふむ、ここまで霊力を練ることが出来たらこの空間をぶち壊すくらい余裕でしょう。ではその霊力玉を一思いに投げちゃってください。無事脱出出来たらこの特訓も終わりです。今までご苦労様でした」


 やった、ぞ……。ついにこの厳しい特訓も終わるんだ……。一睡の暇も与えてくれず、霊力を練るのを失敗すると霊力玉をぶつけてくるスパルタ教師ともおさらばだ。


「それと、そろそろ天照様のご機嫌を取らないと不味いので、しばらく出て来れなくなります。私がいなくなっても基礎の練習は毎日やってくださいね?」


 八烏ちゃんもいなくなったら、もう二度とこんな苦しい目に合わなくて済む。


「はい! はいッ!!! 本当にありがとうございました!」


「では次に会うまでさようなら」


 それだけ言うと巴模様の魔法陣が浮かび上がり八烏ちゃんは消えていった。


「よし、俺もそろそろ帰るか!」


 鍛え上げた集中力で即座に頭サイズの霊力玉を練り上げる。そして天に向かって打ち上げた。


 霊力玉は天井にぶつかって弾ける。ぶつかった場所を起点に空間に亀裂が走った。


 どうやら成功したようだ。結局何日間この空間にいたのだろうか。ココは無事助かっただろうか。そんな心配をしながら亀裂を眺めていると青い空が見えてきた。


 ……何やら外が騒がしい。もしやゴブリンの死体を漁りにきた魔物がいるのか? あり得るな。あれだけ死体があったらそれをスルーするはず無いもんな。


 周囲に警戒しながら空間が完全に壊れるのを待つ。


 長いようで短い時が流れ、空間が完全に崩壊した。そして集まっているものが見えた。――大勢の冒険者だった。



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