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捨て子になりましたが、魔法のおかげで大丈夫そうです  作者: 明日
喜ばしきこと

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お話をしましょう




 僕は軽く耳の辺りを掻く。

「貴方でしたか」


 言いながら気づかれないよう、僕は作用も起こせないようなごく薄い魔力波を飛ばして周囲を観る。

 半径三十歩ほど。そこにある刃物に類するものは二十四。

 隣の家で木の実を割っている鉈と少し離れたところで爪を切っている小刀以外は、どれも一応今のところ、使う準備はされていない。


 そんな僕の魔力波を、ばれないようにしたとはいえ多分気づきながらも、カンパネラはふと僕に笑いかける。

「お久しぶりです。その後いかがでしょう? そろそろ決心がついたのでは?」

 それから一歩足を踏み出し、腕を少し振り上げたところで動きを止めた。手を下ろす。僕の視線に苦笑しながら。

「……警戒されていますね」

「あの時とは立場が違います。今の私は警護中の身。不審な行動は見逃せません」


 特にカンパネラは不可思議な魔法でレイトンの動きを封じた前科もある。

 レイトンの闘気でも防げない魔法、少し厄介だ。

 もしも僕の体に何かかかったと感じたときには、周囲の建物と地面ごと彼を焼き払う。さすがに魔法まで封じられることはないと思う……が、それも楽観すべきではないだろう。


「躊躇はしません。攻撃する意思を感じたら、即座に攻撃に移ります。危険があると判断したら、すぐに殺害にかかります」

「それは怖い」

「武器屋を監視していたのは貴方でしょう。その上でここに来た。用件をどうぞ」


 武器屋を見ていたというのは完全な憶測。だが、僕が言い切ると、カンパネラは困ったように笑顔のまま頬を膨らませる。それから軽く溜息を吐いて、周囲を見た。

「それに関しては私も失敗してしまったんですよ。勇者の様子を見ていたんですが、まさかあそこで見つかるとは思いませんでしたね。聖騎士たちも中々に侮れない」

「勇者を?」

「ええ。そしてカラス殿を見つけた。単なる挨拶に来て、その機を窺っていたんですが……紛らわしいことをして申し訳ありません」

 悪びれる様子もないが、それでもカンパネラは謝罪の言葉を吐く。僕ですら申し訳なさそうだと感じてしまうほどの演技で。……もしかしたら、演技でもないのかもしれないが。


「……お知り合い、ですか」


 さっさとあしらって王城へと戻りたい。

 そう考えて無視していたわけではないが、背後にいたルルが声を上げる。

 今のところ視線をカンパネラから外すわけにはいかない。無礼だとは思うが、後ろを向かずに僕は口を開いた。

「そうですね。お互いに顔見知りではあります」

「カラス殿にお手間を取らせるのは申し訳ない。自己紹介をさせていただけますか」

 今度は踏み出さず、カンパネラは胸に手を当てる。一応、エッセンの略式礼だ。


 僕が了承するよりも前に、カンパネラは会釈する。

「ムジカル王属五英将ラルゴ・グリッサンド麾下、カンパネラと申します。ルル・ザブロック様におかれましては、お噂はかねがね」

「ムジカルの……」


 ルルとサロメが息を飲む。

 それから僕へと向けられた視線は、……多分、懐疑も混じっているのだろう。


 その視線に、自分の行為の意味に今気が付いたかのようにカンパネラは「ああ」と声を上げた。

「前々からカラス殿をムジカル軍へとお誘いしておりましてね。今日はその答えもついでにと思ったのですが……」

「そのお話ですが、お断りすることになりそうです」


 ルルたちの視線に耐えかねるわけでもないが、僕はカンパネラの言葉を遮りながらそう答える。

 とりあえず今のところは、僕はムジカル側ではない。それが真実だし、そうルルたちへと伝えておきたかった。


 言葉を遮るというのは往々にして敵対行動だが、カンパネラは気分を害した様子もなく僕を一瞬見つめてから口元をにやつくように歪める。

「何故でしょう? 勇者召喚の見物は終えたはずでは?」

「今の私はザブロック家の食客です。戦争が終わるまでは、私はザブロック家につきます」

「……なるほど、そうですか」


 カンパネラの視線がルルの方を向く。

「彼女が、貴方の軛ですか」

 反射的にその視線を遮るようにして間へと身体を滑り込ませる。魔力波は感じない、今のところは。

 魔法使いはこういうところも厄介だ。闘気使いならば攻撃が攻撃だとわかりやすいのに。


 そんな僕の行動を笑うように、カンパネラはまた目尻を下げた。

「警戒せずとも、傷つけることなど皆目考えておりませんよ。そんなことをしてしまえば、それこそ、その日その時がカラス殿との訣別の時となってしまう」

「そうであってほしいものですが」

「私の名と太陽にかけて誓いましょう。もとより、この国にいる間は自衛のためを除き、誰一人として傷つけないよう厳命されておりますのでね」

「…………レイトンさんは」

「あれは自衛です。抵抗しなければ、私の首が落ちていた」


 カンパネラが自らの首を、手刀で落とすように軽く叩く。

 馬車の上での一瞬の攻防。お互い同時に仕掛けていたようにも見えたが、まあたしかにそうとも言える。詭弁とも思うが。



「また、聖騎士への通報も避けては頂きたいですね。追っ手がかかれば、私は殺すしかなくなる」

 カンパネラが、僕ではなく後ろの二人に声をかける。ルルとサロメ、たしかに聖騎士へと伝えるならば僕ではなく彼女らだろう。僕としては、オトフシには伝える必要があるだろうが、ルルが傷ついていない以上聖騎士に伝えなくてはいけないことではない。


 ルルが、カンパネラに歩み寄るように一歩踏み出す。僕が遮ったため、そこまでだったが。


「監視は、オギノ様と戦う準備でしょうか。ならば、私は伝える義務がある。それに、聖騎士様たちも……」

 語尾が消え入るように聞こえなくなる。その言葉の続きは、多分『そういう仕事がある』という感じの言葉だったのだろう。

 戦って死ぬ仕事。言ってしまえばその通りだと思うが、僕たちのような稼業でなければ口には出しづらいのかもしれない。

 そんな仕草をカンパネラは笑う。

「義務。義務、ですか。伝え聞く限りでは、貴方にそのような忠誠心があるでしょうか?」

 初めてだろうか、ほんの少しだけ嘲笑いの感情が見えた。


 そして嘲笑もすぐに消えて、ルルを真っ直ぐに見た。

「彼個人との戦いに備えているわけではありませんよ。ムジカルとの開戦は予定通りできそうかと、推測のための偵察といったところです。彼のやる気がないと双方困りますからね」

 カンパネラが胸の前を払うように手を泳がせる。

「ご心配なく。戦争が無事始まるまで、彼には健勝でいていただかなくては困るのです。彼はどちらかというと、『ついで』。カラス殿と同じくね」

「僕もついでですか」

 囃し立てるように軽口を口にする。

「ええ、申し訳ありません。カラス殿の勧誘は果たしたいものとはいえ、私にも優先すべき他の仕事がある。もっとも、クロード・ベルレアンの控える王城へと足を踏み入れることは敵いませんが」

「諜報に便利そうでしたからね。その魔法は」


 今度は嫌みたらしく言ってみる。何の気なしにした挑発だが、彼にはやはりあまり意味はないらしい。

「隠れていれば、聖騎士に見つかることもなかったのでは?」

「かもしれませんが、監視には不向きなので」

 カンパネラが空を見上げる。その真上に近く上った太陽の光に目を細めた。

「特に今の時間は、周囲を見るのも一苦労だ。肉眼の方が確実だった、ということでしょうか」

 溶けるようにして地面へと消えていく姿が目に浮かぶ。音以外は、僕にはまったくの手がかりがなくなるあの隠行、一面としては僕以上といっていい。



 カンパネラが周囲を見回す。

 これだけ長話をしていても、横を通り過ぎていく人間たちが一向に不審に思っていない。

 もちろん一般人がカンパネラを怪しむわけがないとは思うが、それでも僕たちのこの会話は単なる立ち話として関心の素ともならないのだろう。


「しかし、勇者様は未だにあの程度ですか。光るものはあるかもしれませんが、私はおろか部下たちですらおそらく苦戦はしない」

「まだこの世界に来て数週間。それまでは戦いとは無縁の一般人だったんです。無理もないでしょう」

「魔法使いにして剣士。一人で戦況を覆す千年前の勇者とは違うようですね」


 ははは、とカンパネラは殊更に笑う。今度は僕たちへの挑発かもしれないが、これは僕たちの誰もそれには乗らない。僕も概ねその通りだと思う。

 だが。

「ムジカルとしては理想的では?」

 僕は反論するように尋ねた。それにもカンパネラは笑顔で応える。

「そうでもありませんよ。彼自身も先代と同程度まで強くなり、陣頭に立って指揮してくれる、というのが私たちの理想です」

「敵ですけど」


 やはりその場合は、勇者は弱い方がムジカルとしては好ましいのではないだろうか。

 先代と同程度、となれば、聖獣を苦戦しながらも討ち果たせるような戦力。要はスヴェンとも同程度の戦力となるだろう。

 伝え聞く限りでは五英将もその程度なのかもしれないが、そうであったとしても。


「それに、戦力ならば聖騎士団長たちも同じようなものでは」

「ええ、ええ。千年前の勇者。強かったとはいえ、彼もおそらく現在のこの国の第一聖騎士団長と同じようなものでしょう」

 その程度、とは僕には判別できないが、そういうのならばそうなのだろう。

 ならばやはり、彼一人増えたとしても、この国にとってはほんのわずかな戦力増だ。確実にありがたいこととはいえ、望ましいと思う程でもないと思う。


 だがカンパネラは自分の言葉に首を横に振った。

「しかし勇者には、先代も今代も、勇者には戦力以外の価値がある。それこそ手足を失っても、両目も両耳も失ってもなお失われない力が」

「魔法でしょうか?」

「いいえ。ある意味では魔法といってもいいですが、それよりもありがたいものかもしれません。この国にとっては、ね」

「……どうにも要領を得ないんですが」

 仄めかすような言葉の羅列。

 何となくレイトンと話している感じになってきた。話している分にはあの男よりも大分親しみやすい気もするけれど。

 

「勇者。その言葉の意味を考えたことがあるでしょうか?」

「……先代勇者の言葉からの通称と聞きましたが」


 突然召喚された彼は、『弱きを助け強きを挫く』という『義』によってこの世界の国々に力を貸した。

 そして義をみてせざるは勇なきなり、という勇者の言葉から。

 逆説的に、力を貸した彼の、その勇気ある行動から。


「そう。先代は、その勇気を持つ者としてそう称された。ならば何故、今代の勇者は勇者と呼ばれているのでしょうか? 召喚陣で呼び出されたから? この国の食客となっているから? 何か、その勇気を示す出来事があったでしょうか?」

「召喚陣で呼び出されたから、というのがわかりやすいと思いますけど」


 同じ境遇で呼び出されたから、同じ通称が使われている。

 そう捉えるのが一番わかりやすいけれど。


 だがその答えを、カンパネラはありがたいという謝辞のようなものが込められた表情で笑い飛ばした。まるで何かのテレビショーで、司会がゲストに間違いをわざとさせたように。

 口を開いたが、多分その文頭には『違います』とつけたいのだろう。


「ムジカルには必要がない。しかしか弱いこの国にとっては『勇者』が必要なのですよ。ヨーイチ・オギノでもなく、単なる異世界人ではなく、ましてや強いだけの誰かではなく、勇者が」


 勇者の名前の発音に、やはりムジカルのなまりがある。そんな場違いなところに感心しながらも、僕はその話題に食らいつこうとして、はたと気がついた。



 ここに長い時間いてもまずい。

 勇者たちは多分まだ王城へと戻ってはいないが、彼らが戻っても、僕たちが戻らなければ邪推される恐れもある。これもまた、僕個人の問題ではない。

 短時間ならいいだろう。しかし、長時間戻らないともなれば。


「……大変興味深い話ですが、私たちは戻らなければいけないので、ここで失礼いたしましょう。貴方が刺激した聖騎士たちが、騒ぎ出さないとも限らない」


 ルルとサロメに目配せすれば、二人ともが頷く。

 僕の皮肉交じりの言葉もカンパネラは無反応で通したが。


 一応僕は食客といえど、エッセンの官憲ではない。

 微塵も敵意を見せず、攻撃の素振りすら見えなかったカンパネラへの攻撃など僕はまだすべきではないだろう。騒ぎを起こせば余計な人死にまで出るかもしれない。

 このまま別れて帰るのがベスト、といったところだろうか。


「王城へ帰還した彼らが、貴方たちの心配をするだろう、という件ですか? それについては心配ありません」

「……何故でしょう」

 僕が問い返すと、カンパネラはまたにっこりと笑みを強める。

「私の部下が手配したごろつきたちが、今頃騒ぎを起こして足止めしているでしょう」

「…………」

 ざわ、と雰囲気が変わったように感じた。主に、僕が感じているものと、ルルが発しているものの。

「もちろん、聖騎士たちがいれば何の問題もない素人です。捕まっても私たちの身元は辿れない。万一に備えた私たちが逃げるための身代わりでしたが、いやはや、何にでも準備はしておくものですね。そのおかげで、カラス殿たちとこれだけ話す時間が出来た」

「今まさに、僕が通報するべき事案が発生したようですが」


 気持ちよさそうに長い言葉をつらつらと吐くカンパネラの言葉を遮り、僕は反駁する。

 事情が変わった。

 カンパネラがごろつきを手配し、勇者が危険な目に遭うことはないにしても争乱に巻き込んだ。先ほどまではまあ不審ではあったが無辜の人物だったのに、今となっては普通に犯罪者だ。

 法に触れる行為。ならば、僕やルルにサロメは黙っているわけにはいかないのだが。


「エッセンに対するそんな忠誠心を、貴方もザブロック様も持っているのでしょうか?」

「…………。忠誠心ではなく、道義的な問題でしょう。貴方がお嬢様に危険ではない存在なのは了解しました。けれど、人を襲わせるのは通常この国では犯罪です」

 無論、それはムジカルでも。弱肉強食の国家とはいえ、平常時の強盗や傷害は犯罪として多くが認められるはずだ。

 本当は、この国でも、例外はなく。


 『通常』という余計な単語を一つ差し込んでしまったことに今更気づき、僕は内心溜息を吐く。

 そうだ。この国では、いつであってもそれは犯罪だったはずだ。


 僕の浮かべた思考を読んだ、という奇妙な感覚があった。もちろんそれは、カンパネラの表情がそう物語っていたからだろうが。

 思った通り、カンパネラはその件についての言葉を吐く。

「副都イラインで、貴方の側には心ある町人は誰一人立たなかった。それを思い出してもでしょうか」

「……僕と、勇者は違うでしょう」

「違う事なんて何もありませんよ。同じように、一人の無辜の国民だったはずだ」



「……何が、あったのでしょうか?」


 ルルが背後で呟く。

 何故だろう、少しだけ、聞かれたくない気がした。


 だがカンパネラは僕の肩越しに、後ろのルルに向かって呼びかけるように声を上げた。

「何、簡単なことです。……いい男でしょう? カラス殿は」

「…………、そうかもしれませんが」

「そう遠慮なさらずに。従者としても誇って良いところだと思いますよ。その能力も、業績も、余人の及ぶところではない。ラルゴ様は除きますがね」

 つらつらと、カンパネラは僕の褒め言葉を吐く。あまり嬉しいとも思えないが。

 

 カンパネラが、指を弾く。

「カラス殿の見目や能力、その業績に嫉妬した多くの街の人間たちが、どうにかして彼が自分たちの目の届かないどこかに行くように仕向け、人を雇った。それだけですよ」

「目の届かないどこか?」

「どこか、というのはこの世ではないようですが」

「…………!」

 一瞬悩み、そしてその意味を理解したルルが息を飲む。その視線に振り返る気も起きず、僕はただ周囲の警戒に努めていたが。


「カラス殿に向けて、カラス殿を殺す気で放った町人たちが咎を受けなかった。にもかかわらず、傷つける事すら考えていない刺客ですらない捨て石を用意した私たちが、咎めを受ける。とある一つの理由があれば別ですが、ないのであればそれは私には理解できかねますね」

「…………」


 言い返す気が起きない。呆れてなどではない。返す言葉が見つからなかった。

 おそらくあの時のグスタフさんの言葉を考えれば、そんなことは関係ない、とでも返すのが正しいことなのだろうけれど。


「とはいえ、そう長い時間は稼げないでしょう」

 言い返せない僕を詰る気はないらしい。当然だろう、彼は、僕の機嫌を損ねたくないのだから。

 気遣われている。そのことが身に染みて、少し気分が重くなった気がした。


「先ほどの言葉を繰り返すようですが、カラス殿、決心はつきませんか?」

「ですから……」

「ザブロック様の側を離れたくないのであれば、ザブロック様にもムジカルに来ていただけばよろしいではありませんか。使用人も合わせて数人程度、カラス殿であれば養うことも簡単でしょう」

「それは私が判断するべき事ではありません」

「ならば貴方は? ザブロック様」


 矛先を変えるように、カンパネラがわずかに視線を滑らせる。僕の肩越しに、僕へ向けたのと同じような柔和な笑みをルルへと向けていた。


「カラス殿が仕えているのです。貴方のことも簡単に調べさせていただきました。一般市民の身に生まれながら、今や中位貴族の一人娘となっているというルル・ザブロック様」

「私のことまで……」

「そう詳しくはありませんがね。ですがその心情も、推測してあまりある」


 …………。

 心情を推測した。それを聞いて、僕は内心眉を顰めた。

 その『心情』が、僕やオトフシがそれなりの長い時間をかけて導き出したものと同じならば、このカンパネラは有能すぎる気がする。もしかすると、そんなにわかりやすいものだったのだろうか。


「随分と、楽しげでしたね」


 だが、一瞬考え込んだものとは関連のなさそうな言葉に、僕は内心首を傾げた。

 違ったらしい。それが正しいのか正しくないのかはわからないが。


「カラス殿はムジカルの方が水が合っている。靴を脱ぐのであればムジカルでしょう。この国にいても、きっと彼には不幸しか待っていない」

「…………」

「彼が幸せに生きられる国へ。その手助けをしていただくわけには?」

 僕は反論できずに、ルルも黙ったままだ。そしてそもそも、カンパネラの言葉の意図が読めないのだが。

 何故それを、ルルに聞かせるのだろう。


「……そういえば、先ほどの話題も途中でしたね。では、貴方たちには見えない愛国心が、更に離れる話をいたしましょうか」

「何を」


「勇者が、何故『勇者』でなければならないのか、という話」



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― 新着の感想 ―
[一言] 重要な戦力である魔法使いを優遇する国と忌避する国では結果は知れたものではありますね。 エッセン側でもそれが理解できたからこそ勇者召喚なんてしたんかな。
[良い点] エッセンの闇が見えてくるかも そしてこれはレイトンの計算から外れてきているのかな
[良い点] 将を射んとするものはまず馬を…というけれども ルルを勧誘するのはいい手法。 [一言] 勇者が強くないといけない理由… ムジカル側だと五英将同士仲よくはなさそうだし そういうところに理由が…
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