閑話:駆け足
ハイロ注意。
本編との関わりはほぼないです。
「ちわーっす、今日の分受け取りに来ましたー」
石造りの平屋。大通りに面した扉もない小屋の前で、灰色の髪の少年が叫ぶ。
その声に応えて、無精髭のあるこの店の店主が、奥からのっそりと姿を現した。
「やあ、おはよう」
「おはようございまーっす。今日の分、出来てますー?」
「いや、すまないね。今日は少し寝坊したようで、まだ封をしている最中なんだ。少しだけ待ってもらえるかい?」
「了解でーす」
元気よく、それでもどこか気の抜けた風にハイロは店主に応える。朝の早い時間。この店の封筒を回収し、そして配り歩くのがハイロの一日で一番はじめの仕事だ。
毎日同じ時間に、同じ場所に出向く。最初は辛く、それだけでもやめようと何度も思ってしまうほど、ハイロにとっては厳しい仕事だった。
厳しいのは、いわゆる『仕事』だけではない。
朝に起きて、顔を洗って身だしなみを整えて、という一連の動作。決まった時間に朝食をとるという『重労働』。
どれも貧民街にいた頃はしたこともなく、街に出てからも最初の数年はリコ指導の下苦労して身につけたものだ。
しかしそれでも慣れはある。
もう、十年近くにもなる習慣付け。それにより、無意識に出来るほどではないものの、やらなければ落ち着かない程度には習慣化できていた。
やっとのことだ。
やっと、人並みに生活できているとハイロには思えていた。
本来街で暮らす人間が、親や周囲を見て覚えるはずの『何か』がハイロにはない。
絶対的に欠けているものがきっとある。それはハイロも承知していた。
それでも、周りの人間と遜色なく動くことが出来ている。そう、薄々とだが自信を持って働くことが出来ていた。
もちろん、他の仕事も同じように、とは出来ない。今自分がしている、御用聞きとされる仕事に限ってのことだ。
ハイロは周囲を見回す。『雨降り屋』と号されたこの店の中には、様々な器具が置いてある。
温度に反応し、中の液体が上下する測定器。その測定器の先に、湿らせた綿がついているような別の機械。店の上部に取り付けられた風見鶏。風見鶏が取り付けられた軸を伝って内部に伝えられた動きが、紙に記録されるような測定装置。中に何かの水と固形成分が入った瓶。
そのどれも、ハイロには使い方がわからず、そして価値すらもわからないものだ。
待っていると、すぐに店主が姿を現す。
それを見て、ハイロが一応背筋を正した。
「はい、これお願い」
「ありがとうございます」
頭を下げて、店主から封筒の束を受け取る。封蝋が使われて分厚くなった封筒たちは、中身は全て同じ、そして行き先は既に決まっている。
届け先を間違えぬよう、ハイロはこれから配り歩かなければならない。それも、九の鐘が鳴る前に。
枚数を確認する指が、滑らないように気を遣った。
この店『雨降り屋』は、観天望気の腕ではこの街でも有数の店だった。
温度と湿度、風向きにその強さ。それに天気壜と呼ばれる魔術ギルドの錬金術師に特注した秘伝の観測機械に、そして何より店主の経験。
数々の要素が絡み合うそれを的確に解析し、この街のその日に限っては、二刻の狂いなく天候の変化を言い当てる。
もっとも、その得体の知れない機械類の多さも相まって、胡散臭いとされているのも事実だったが。
そんな気象の変化を書いた紙片。それを、ハイロの所属する商店が特別に発行している封筒に詰め、そしてこれまた特製の封蝋で封をする。
天気というのは、商いの種類によっては酷く影響を与えることがある。
この封筒一枚に、届け先の商店の一日の利益がかかっていることすらある。そんな責任を、ハイロは知らなかった。
配り歩き、その少し後に九の鐘が鳴る。
間に合った。毎日のことではあるがそう安堵し、ハイロは安心して詰め所に出向いた。
「おはようございまーす」
「おう、戻ったか」
朝は来ていなかった先輩に声をかけて、ハイロは出入り口にある自分の名前が記された木札を裏返す。その字は未だに読めなかったが、ハイロはそれが自分の名前だと言うことは知っていた。
詰め所の少し奥。自分に与えられた机に荷を詰める鞄を置いて、一息つく。
これからまた外回りだ。決められた巡回経路に沿って、工房や商店を回り、物品の注文や配達などを受ける。その前に、先輩たちのものも少し手伝わなければならないだろうか。
そう、一息の中に溜息を隠して、壁際に積まれた封筒の山を持ちに向かった。
「えーと、これは、赤……」
様々な大きさの封筒を手に、ハイロが眉をしかめる。
ハイロの商店が請け負っている郵便事業では、その封筒の表面に記された詳細な行き先の他、封蝋や捺印された文様の色でおおざっぱに行き先が分類されている。
ハイロは文字を読むことは出来ない。実際には読み取ることは出来るが、それは文字ではなく模様としての判別だ。故に間違いが多く、色での分類以上のことは未だにさせて貰ってはいなかった。
ただ、それでも一応仕事の手伝いにはなっている。
それを届ける係が出発する前に、それを分類して机に届ける。その程度でも、大いに手伝いにはなっていた。
「はい、これセータカさん」
「あんがと」
封筒の分類と、その日の予定を組んでいた先輩。その机に持っていた封筒を置いて、ハイロは席へと戻る。その繰り返し。
ようやく机の上が空になり、自分が巡回に出る時間が近くなってきてハイロは座り込んでまた一息つく。
商店間の書類の授受。そんなに連絡することがあるのかと、ハイロは背もたれにしなだれかかり、先輩たちの持つ紙の山をぼんやりと眺めた。
今日、ハイロがリコのいる商店を訪れたのは偶然だった。
三軒目。鍛冶職人の使う手袋が破れてしまったので、その替わりのものを手に入れたいとの依頼を受けてのことだ。
ハイロは、いつものこの商店に来る度に唾を飲む。
出入り口から見える、黙々と働く人の群れ。綿花から糸を紡ぎ、機を織り、布を裁断し、また縫い別の製品に変える。
どれも自分には出来ないことで、理解が出来ない行為の数々。
それぞれ数十はあるであろう、針の数や形がそれほど重要なのだろうか。布に関しても、そんなに種類はなくても構わないだろう。型紙を切る鋏と布を切る鋏は分けていると聞いた。何故そんなことがと何度聞いても理解できなかった。
親友であるリコに、よく講釈される。布の手触り、質感、使い道の差。どれも、どれも、ハイロは理解できなかった。
「……さーせん」
いつものように意を決して、裏口から手近にいる職人に声をかける。裏口から一番近いところに席のある彼は、本来そうではないのに、応対担当という風になっているのが薄々不満だった。
「はいはい」
それでも、しなければならない。手を止めた職人は、鋏を置いて立ち上がり、ハイロに歩み寄る。ハイロが精一杯浮かべたぎこちない笑顔を無視して、その手に目を留めた。
「こんちは、――商会からの依頼なんすけど、革の手袋を十枚都合してもらえないかと」
「革?」
ハイロが持っていた注文書を見て、職人は数回頷く。
たしかに、これは正規の依頼だ。ハイロたち巡回員の持ち歩く注文書に、規定に則って記されている。
ならば、いい。
だが、と職人は悩んだ。
今日は革製品の担当者がいただろうか。倉庫に在庫があればそのまま渡しても構わないが、調整するのであれば彼がいなければ困る。まして、今から大急ぎで作らなければいけない可能性もある。
革の縫製は、布の縫製と違う箇所が多々ある。対応した職人に出来ないわけでもないが、万全のものを渡さなければ仕立屋の名折れだ。
ちらりと中を見渡してみても、革職人の顔がない。今日は材料の確保に出かけていると聞いた気もするし、休みなのかもしれない。その辺りを把握していない彼は一瞬悩んだ。
それでも、まあまずは物がなければ話にならない。
というよりも、あれば問題ないのだ。在庫の確認を頼もう……と職人は考えたが、遠くに見えた事務職の集中している顔にその手間を惜しんだ。
「待っててください。今、在庫を確認してきますんで」
とりあえず中へ。そう示して、職人は席を立つ。
足を踏み入れ一人になったハイロは、ざわざわと鳴り止まない音に、何故だか耳を塞ぎたくなった。
「あれ、仕事?」
そんなハイロに、横合いから声がかかる。その、抱えられた生地の山の上からちょこんと目から上を出しているのは、友人だとそこで初めて気がついた。
「おう。手袋の在庫確認を頼んだとこ」
「手袋? それなら普通にあったと思うけど……」
リコは横を向いて、全身をハイロに見せる。白墨で汚れた前掛けが、無地であるはずなのに模様がついているように見えた。
「いや、革の」
「革かぁ……。それなら、……あったかな?」
リコは少し前に見た倉庫の様子を思い浮かべる。自分がよく見るのは材料の棚で、商品の棚ではない。だが、遠目にも、そこに茶色い物体があったかもしれないと、おぼろげに覚えていた。
しかし、まあ、なかったのなら自分がなんとかしよう。そう内心考えた。
「ハイロさん」
「あ、はい」
虚を突かれ、ハイロが振り返る。在庫を確認しに倉庫へと向かった職人が戻ってきたのを見て、居住まいを正した。
職人は申し訳ないと言うような顔で頬を掻いた。
「申し訳ないけれど、注文された革の手袋、在庫が八つしかなかった」
「そうっすか……」
投げかけられた言葉に、ハイロは肩を落とす。なにかしらの反論も出来なかった。別に彼らは悪いことをしたわけではない。
だが、ならばどこか別の場所で手配しなければ。どこがいいだろう、と算段をつけつつ。
「ちょっとなら時間あると思いますけど、ここで新しく作ることは?」
「新しく、ねえ……?」
それは先ほど自分も考えた。そう言いたかったが、やはり取引先に向けてそう簡単に口にはできない。
とりあえず持ってきた予備のもの。代わりにそちらを見せて、納得してもらおうと口を開く。
「他にもいくつかあるんだけど、……」
油紙に包まれた革の手袋を広げ、職人はハイロに手渡し示す。
「大きさが合わない。ちょっと大きいんだよね。でも、その加工できる奴が……」
専門の職人が、今はいない。確認してきた職人は、そう言葉を濁す。自分にも出来ないわけではないし、もちろん他にも出来る者はいるが、今は皆手一杯に近い。
それに、やはり腕の方も……。
「あ、調整なら俺やりますよ。切り詰めるだけでしょ?」
だから、とりあえず納品は八枚で、残りは他の場所でどうにか、と続けようとした職人に、リコが声を上げた。
「……え?」
「……ああ、リコ君なら……」
そして、職人は気がついた。そうだ、腕前も問題ない者が他にも一応いた。そして、暇であろう者が。
「え? お前、そんなの出来るの?」
「フフ、革製品ならお手の物だぜ。カラス君の靴で何度もやったし」
いえい、と見得を切りながら、リコが鼻を鳴らす。最近試行錯誤を続けてきた魔物の革の加工、その熟練度は『魔物の革』に限ればこの工房でも上位に入ると自負していた。
もちろん、牛や猪の革などであれば、その触った時間は下から数えた方が早いのだが。
「…………」
カラス君、と名前を聞いたハイロの顔が少しだけ曇る。
リコはそれを知りつつも、無視した。
「……じゃあ、時間あるなら、二枚分? 頼める?」
「わかりました」
持っている荷物の上に置かれた大きめの革手袋を見て、リコはどう直そうかと考え始めていた。
革手袋といっても、今回欲しいのは貴婦人が使い、飾り立てるようなものではない。
鍛冶師が使う手袋。分厚く、炉の熱や槌の摩擦や圧力から手を保護するためのものだ。
革で作られている太い糸を切り、解いていく。
構造も薄い革手袋と違う。単純な構造で、縫い代を多くとって強度を高めている。そんな構造を出来るだけ崩さぬよう、それでいてきちんと大きさだけが小さくなるよう、リコは白墨と銅の尖棒で印をつけていった。
縫い代の端に既に穴が空いてしまっているために弱い生地に、最近贅沢に使えた魔物の素材や補修材を加えて補強してゆく。他に使い道のない端切れも多数余っている。
いつか使うかもしれない、などと取っておくのはリコにとっては愚の骨頂だ。そのいつかが、来るかどうかもわからないのだから。
小刀で革を切り、専用の針で紐を通す。靴よりもだいぶ単純な構造故に、その程度は慣れたものだった。
「……カラス君と、何かあったの?」
生地から目を離さずに、リコはそう問いかける。その背中で、ハイロが息を飲んだのを感じ取りながら。
ハイロの喉が凍り付く。突然出された名前。親友の察しの良さに。
「な、なんで……?」
「だってお前、さっきいきなり顔色変えたじゃん。自分でもわかるでしょ?」
「そりゃ……まあ……」
「言いたくないならいいけどさ」
言い淀んでいる間に続けられた甘い言葉。その甘言に乗せられ、黙っていようかと思った。だが、いずれわかることだろう。いや、しかし……。
数瞬の静寂。その間にも悩み続けたハイロは、やがて口を開く。
「もう、俺は距離を取ろうと思う。あいつにも、そう言ってきた」
「距離?」
リコが手を止めて、ハイロを見る。ギシ、と椅子が軋んだ。
「今後付き合わないってこと? なんで、また」
「なんてこたあねえよ。ただ、……怖くてさ」
怖い。そうハイロは口にし、それから少しだけの罪悪感を覚えた。釈明したかった。そうではないと。だが、心の端に湧いた羞恥心が、それを押し留めた。
「四日前か? お前が腹撃ち抜かれたのって」
「まさか、そんなことで?」
まさか。リコはそう本心から口にした。
まさに、『まさか』だ。傷を負う。死に近づく。その程度で、怯む男だとは思っていなかった。
友人の変わりよう。一緒にいた時期が長いほど、その間の変化はわからない。
そして本当はそれだけではないという理由が、更にハイロの言葉を理解不能にしていた。
「俺はまだ、死にたくねえんだよ」
ハイロは拳を握りしめる。ようやく、ようやく普通に暮らせるようになった。なのに、なんの予兆もない突然の事故で、リコは死にそうになった。ならば自分がそうなってもおかしくはない。
そう、自らの心に弁解しながら。
「……喧嘩、した?」
「してない。もう話さないって言ったら、あいつも快く頷いてくれたよ」
言い訳染みた言葉が、無意識に近い感覚で口から紡ぎ出されてゆく。快く、頷いたはずだ。多分。おそらく。きっと。
「…………」
じ、とハイロの顔を見つめて、リコは沈黙する。
だが、ふと笑う。
「そ」
そして何も言わずに、振り返って作業を再開した。
捉えようによっては冷淡な反応。それを感じたハイロは不可解に思う。リコは、そんなにも冷酷な男だったか。
「……何も、言わねえのか」
「…………」
ちくちくと針が革に刺さる。瞬く間に縫合されていった革は、リコの魔法の指により、扁平な形を立体へと変えられていく。
「……言わないよ」
そんな手元の精密な業を見つめて、ハイロは無意識に唇を噛んでいた。
「喧嘩して仲が悪くなったとかなら、俺も仲直りくらい勧めるけど」
口元だけで笑みを作り、リコは紐を切る。結んだ感触を確かめながら裏返せば、元の手袋をそのまま小さくしたような様に見事に変化していた。
もう一枚、と作業に取りかかる。同じ作業、それも今まさにやったばかりの作業に、もう手元に淀みはなかった。
「でも、今回はそうじゃない、だろ?」
リコにはわかる。ハイロは嘘をついていない。少なくとも、喧嘩をしてはいないし、仲が悪くなったわけでもないだろう。
ならば、そこから先は当人同士の問題だ。それ以降、口出しする気はなかった。
「それとも、そんなふうに邪険にするな、って言って欲しい?」
「…………っ」
ハイロがまた息を飲む。世間話の口調なのに、やけに話題が重い気がした。
「言わないよ。少なくとも、俺は」
練った補修材を革にすり込み、ボロ布で拭い去る。この手袋は、元の加工が拙い。そんなことを考えつつ。
「俺は、カラス君とも仲良いつもり。今後も、同じような関係でときっと思ってる。でも、だからってお前にまでそれは求めないよ」
「何で……」
「『あいつは俺と仲が良いから、お前もあいつと仲良くなれ』」
振り返ったリコの顔に、ハイロは怯んだ。迫力もない、ただの親友の顔なのに。
「それは言わないよ。だって、それは『俺はあいつが嫌いだから、お前もあいつを嫌いになれ』と何が違う? 一緒だよ、それと」
リコにもハイロにも、好きなものと嫌いなものがある。人や物、土地や食べ物や概念まで。ありとあらゆるものが。
またリコは手元に目を戻す。そして、自嘲に口元を歪めた。
自分が一番嫌いなもの。それを、ハイロは好きと言って憚らないのに。
「だから、好きにすればいいじゃん。そもそも仲悪くもなってないんだし、距離取るくらいはいいんじゃない?」
命が惜しい。それは、考えてみればリコにもわかることだ。リコとて、けして自分から矢に当たりに行きたいわけではない。
ならば、止めることは出来ない。親友が、自分を止めないように。
だが。それでも。
「でも、俺はカラス君とは仲良いつもりだから」
ぽつりと呟いた言葉。なんとなく、腹の奥がズキリと痛んだ。
「なんとなく、残念だとは思うかな」
リコは手の速度を上げてゆく。
慣れに、そしてこの空間を早く終わらせたいという願いに。
ハイロは黙ってその後ろ姿を見つめる。
リコの後ろ姿を見て、その手先を見て、自分のわずかな嘘に気がついて口内が乾いた。
違う。先ほど口にした理由。カラスに口にした理由。その全てが嘘ではないまでも、真実を自分は隠しているのだ。
布が机を擦る音が響く。
ハイロは、耳を塞ぎたい気分だった。さして大きくない音が、耳障りだった。
「カラス君に貰った宝石。今持ってる?」
「……ああ」
「どうせお前のことだし、そのまま持って歩いてるでしょ」
リコの軽い口調に、それでも軽く返せずに、ハイロは苦々しく唾を飲む。
「俺、最近彫金も挑戦してみたいんだよね。だから、置いてってくれない? 磨いて、装飾品にして返すからさ」
振り返ったリコの笑顔に、否とは言えない。
鞄の中。胡桃よりも少し小さな粒が、やけに重たく感じる。
「ああ。頼んだ」
「よしよし。どんなのにするかなー、へへへ……」
納得し、裏返した革の手袋の感触を確かめるリコ。
きっと、間違いのない品質なのだろう。先ほどの職人の反応からしても、全くの問題のない仕上がりなのだろう。
ハイロは知らない器具の数々。目の前で使われた多数の薬品。それらを使いこなしているのも、リコの確かな力量なのだろう。
リコは、よし、と全ての手袋をもう一度検品し、まとめてゆく。
楽しそうに数えるその横顔に、ハイロは、予感していた。
この親友との別れも、近づいていることを。




