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捨て子になりましたが、魔法のおかげで大丈夫そうです  作者: 明日
魚の国

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振り返り

 

 お昼時。巻き貝の串焼きを齧り、水平線を見つめながら。

 ひとつふたつ、情報を整理し更新してゆく。


 なんの目的もなく始めた旅行だが、その先でまで、仮面の男のことについて考えたくはなかった。

 まあそれはいいだろう。特に危険もなく、旅は続いたのだ。当初の目的通り、海も見た。

 そのついでに、僕への脅威を取り除く材料を集めた。そういうことにしておこう。



 さて、始めに既知の情報だ。

 まず、事の発端はクラリセンでの竜騒動だ。魔物騒動はヘレナが起こしたもので、多分そこには関わりは無いだろう。

 その竜を誘き寄せたのが、獣人の姉妹だった。そして、その姉妹を仮面の男が救出した。僕が直接見たのはそれだけだ。


 その少し前、仮面の男はオトフシに僕の殺害を依頼。オトフシはそれを未遂に終えたが、重ねて姉妹の救出の補助を依頼され、そちらは実行した。

 姉妹が僕のことを『ご主人様の敵』と発言し、さらに仮面の男が僕の殺害を依頼していたことからその二人を同一人物と考えた。


 仮面の男は、魔法か魔道具を使い、姉妹を救出。そしてオトフシを支配した。


 関連して、五年前のデンアが撃ち落とした火竜も同じ犯人かと思われたが、そちらは姉妹の仕業ではなかった。そのため今となっては関係があるかどうかわからない、と言った感じか。



 そのときにわかっていたことは大雑把に言えばそれくらい。

 で、次に、この旅で得た情報だ。


 竜を誘き寄せた姉妹、その二人は銅犬出身だった。

 彼女らは被差別階級で、祖国ミーティアを恨んでいた。その名前や足取りなどは、今サーロが調べてくれている。

 正直それだけでも竜を誘き寄せた動機が説明出来てしまうが、確定はしていない。だが、疑わしい。それは確かだ。


 イラインやその近くでは聞けなかった、旅に出たからこそ手に入った情報に、噂に関するものもあるか。

 レイトンが言っていた『噂』とはきっとそういうことだろう。

 クラリセンで僕が竜を殺したこと、それが伏せられている。吟遊詩人が歌う曲にも僕の名前がないのだ。他の街では僕の名前すら広がっていないのではないだろうか。

 宿屋の夫妻が僕のことを知っていたのは、やはり客として旅人と触れあうからだ。生の声を聞いた、と考えていいと思う。

 噂への違和感に、僕の名前が消えて、その竜を殺した者に架空の人物が入っていたというのもある。そして、その人物は竜を『射殺』した。それも何かありそうだ。




 銅犬の姉妹に関しては、あと約一月で調べがつく。わからない、という場合もあるが、それなら今までと変わらないというだけだ。残念だが、それならそれでいい。


 では、そこからわかることだが……。

 あんまり無いか? レイトンは既に怪しい人物を特定しているということだが、同じ情報を持っているとは限らない。考えても無駄な気もするし、考えればすぐに解ける気もする。

 多分、僕が見逃している情報もあるだろう。もう一度、見返すべきだ。


 もう一度。

「よし」

 串を燃やして立ち上がる。情報の精査が必要だ。僕の体験を振り返り、見逃しがないかチェックしなければ。


 とりあえず、もう一本食べてから考えて。

 それからこの街を発とう。適当にどこか回って、それからイラインへと帰るのだ。




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