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消化不良の乱入者

 


 ドッという音と共に着地する。

 眼前には切り立った崖のように陥没した地面と、断面が綺麗に見える竜の死体があった。

 熱は発していていないはずだが、僕のイメージの中にあったのだろうか。傷口が焼けて血はあまり出ていない。


 崖に手を掛け下を見下ろせば、地の底は見えずにただ暗い穴が広がっている。

 穴は向こう岸まで三十メートル程だろうか。

 名前の由来にもなっている、デンアが開けた山の穴。それと比べたら少し小さいが使った魔力の量にしては上出来だろう。威力に関しても、慣れれば上げられるとは思う。



 熱気が上がってくるような穴を見つめる。

 この結果を基に、反省点や改善点を考えなければ。



 僕の魔法は僕の想像通りのものが形作られ、それを想像通りに動かせる。

 それが僕固有の魔法なのか、それとも魔法というもの自体がそういうものなのかはサンプルが少なくて未だにわかってはいない。だがそれを使い色々なものが再現出来る。それは確かだ。


 最強の一撃《山徹し》を再現する。それが僕の奥の手だった。


 この結果を見て、心底思う。


 余裕のある今使ってみて良かった。やはり実証実験というものは大事だった。

 出来るだろうという自信はあったものの、実際に使ったのは初めてである。


 先程の対レイトンで不用意に使わなくて良かった。規模が大きすぎる。レイトンを倒せても、やはり僕の手で第二の大惨事が起きてもおかしくはなかった。

 まあもし使おうとしても、タメが大きくて殺されていただろうが。


 溜め息を吐きながら顔を上げる。

 ちょうどそこでは、地竜が憎々しげに空を睨んでいた。



 僕の八つ当たりに付き合うことになった辺り、この竜も災難だったろう。

 死してなお倒れ伏すことなく目力強く立っている姿に、僅かな尊敬すら覚えた。


 それにしても残っている部分は綺麗な鱗だ。

 鮮やかな橙色だった火竜とは違い、黒みがかった茶色い色だ。どちらが綺麗というわけではないが、渋さも感じられる茶色も綺麗だ。

 その色を眺めていて、気がついた。


 背中に傷がある。


 下から見れば気付かないような小さなものだったが、跳び乗ってよくよく見ればこれは金創(切り傷)だ。それも泥が詰まっている。手で払いのければ、治癒の傾向が見られない。

 命を絶つことはおろか、怯ませることすら出来ないであろう浅い傷。消し飛んだ胴体の部分にも繋がっていただろうその傷は、特異な傾向を示している。

 内傷だ。しかも切り傷ということはおそらく、人為的に付けられている。


 僕は指を切り落とした以外、斬撃は使っていない。

 それに傷口に泥が詰まっているということは、傷がついてから地中を行動したのだろう。

 となると、僕と遭遇したときにはもう負傷していたはずだ。


 つまり、これは……。




 後方のクラリセンを確認する。

 街に向かい、竜が釣り出されている。そして、その身体には内傷。


 僕はこの竜を殺すのに、以前見た開拓村の光景を思い出していた。

 イラインへ向かい釣り出された竜が、その通り道であった開拓村で撃ち落とされたあの事件。

 まさにそうだ。あのときの事件と本当に一緒じゃないか。




 たしかあの事件は、未だにグスタフさんにも犯人の目星も目的も掴めてはいなかった。

 だが、今回は怪しい人物がいる。先程の姉妹、僕を(かたき)と言ったあの姉妹が前回と関わりがあるのかどうかはわからないが、事情を聞かなければなるまい。


 子供らしくしようと考えてはいたが、これは重要な事だ。

 竜の死体の検分もそこそこに僕は街へと走り出した。





 大分街から引き離した気がしたが、ヘレナの小屋までは一キロメートルも離れていない。

 急ぎそこまで戻ると、レイトンと先程の姉妹が見えた。


「おや、憂さ晴らしは済んだかな?」

 ヒヒ、と笑いながらレイトンが振り返る。その足下には、先程の姉妹がぐったりした様子で転がっていた。

「気遣いどうも。それよりも、先程の竜に気になる事がありました」

「へえ」

 形の良い眉を上げ、僕の言葉に興味を示すレイトン。促されるままに、僕は先程見た内傷について伝えた。



 顎に手を当てレイトンは納得する。

「なるほどね。やっぱりか」

「やっぱりというのは……」

 具体的に何を指して言っているのだろうか。相変わらず、この人は何処まで掴んでいるのかわからない。

「竜を釣り出したのは、彼女たち。五年前の山徹しが撃たれた件についてはわからないけれど、今回は確定だね。さっきからの様子や装備からも明らかだ」

 レイトンは足下に転がしてある剣や小袋を軽く蹴って示す。先程彼女たちが持っていた物だろう。


「そうだね。一応、尋問を引き受けているんだ。今のところわかっていることを提供しようか」

 今気がついたかのように、レイトンは顔を上げてもう一度僕を見た。

「剣を見ればわかりやすいんだけど、装飾が全て削り落とされている。捕縛されても身元を明かさないようにするためだろう。他の持ち物も同様だ。身元がわかるものは無かった」

「本人達からの話は……って、彼女たちはどういう状況ですか」


 四肢をだらりと投げ出して彼女たちは横たわる。こちらを向くことも出来ないようで、目線だけで彼女たちはこちらを睨んでいた。

「関節を全部外してあるだけだよ。逃亡の防止に都合が良いんでね」

 なんでも無いことのように、しれっとレイトンは言った。縛る物も何もないので仕方ないかもしれないが……。

「いくつか()()をしたけれど、答えない。キミが消えて落ち着いたのか、妹らしい方も(だんま)りだ。キミが知りたいだろう事情は聞けなかった。ごめんごめん」

「……そうですか」


 本人は得意ではないと言っていたし、僕がやっても同じようなものだろう。

 自分から言い出したのだから……とも思うが、僕が出来ないのだ。あまり責めることは出来なかった。


「でもま、さっきキミを見た時の反応と言葉遣い、細かな所作から考えると、エッセンじゃなくて南方の小国ミーティアの方出身かな。まあ、こっちを見ても」


 レイトンは、グイッと姉のフードをはぎ取るようにどける。

 手入れされていないような茶色い髪の毛。その頭の上に、プリックイヤーと言っただろうか、直立しふさふさとした毛が生えている耳があった。

「身体的特徴から見ても、ミーティア出身で決まりだろう。半獣と呼ばれる彼の国の……」

「あんな獣どもと一緒にするな!」


 姉が吠えた。叫ぶと言うよりも、まさしく吠えるようなその声。

 見た目は肌が少し毛深い気がするが、あまり獣という感じはしない。だが唇や鼻の形は僕たちと一緒なのに、喉を鳴らすように叫ぶその声は、何処か僕たちと違うように聞こえた。


「おや。喋った」

 楽しむようにレイトンは彼女を見下ろす。そして頭のところにしゃがみ込むと、真上から真っ直ぐに見るように、彼女の目を見つめた。

「喋れるんだね。じゃあ、教えて欲しいことが色々とあるんだけど」

 笑顔のまま、そう続ける。

 ギリと歯を軋ませながら、姉はそれを見返す。先程とは違い、その表情には怒りが見えた。



「すまないが、そこまでだ」


 声が響く。

 低めの女性の声で、冷たい感じ。この声はオトフシか。

 何処から聞こえたのか。僕は周囲を一度確認するがどこにも見えない。レイトンは姉妹から目を離さなかった。



 次の瞬間、視界が白一色になる。

 バサバサと紙吹雪のような物で視界が覆われる。いやこれは、折り紙だ。


「……、さっきので仕事は終わりじゃなかったかな?」

 レイトンが呟き立ち上がるが、それにオトフシは答えない。姿を見せずにどこからか伝えているらしい。

 魚の群れが泳ぐ向きを変えるように、宙を舞う折り紙が襲いかかる。

 僕は跳んで何とか躱そうとするが、躱し損ねたようだ。腕にびっしりと張り付き締め上げてきた。


「っ……!」

 僕は幅の広いゴムで締め付けられるような痛みと不快感に眉を顰める。

 振り払うように腕を振るが、離れなかった。

 レイトンは白い障害物の隙間からそれを見て僅かに微笑む。

「慌てるなよ。オトフシの紙を操る魔術は、そんなに大きな力は無い。寸法にもよるが、締め付け骨を砕くぐらいが精々だ。闘気で簡単に失活する」

 その言葉が終わらぬうちに、レイトンが腕を振り闘気を拡散する。それだけではらはらと大半の紙が落ちた。


 僕もそれに倣い、腕の紙を無力化する。目の細かい和紙のような紙を手に取ると、それはやはり普通の紙だった。


 レイトンも紙を一枚掴み、ヒラヒラと弄ぶ。そしてそれを見ながら呟く。

「こんなもので、ぼくを」

「後ろ!」


 僕は叫ぶ。今度はわざとの隙では無い。

 ヒラヒラと落ちる紙吹雪の隙間から、レイトンの背後にオトフシが忍び寄っていた。


「お前は魔術に対して無防備に過ぎる」


 ギン、と金属の打ち合わされる音。レイトンとオトフシの刃が交錯した音だった。

「魔術に対してってのは同意だけど、白兵戦で負ける気はしないんだよ?」

「ああ、そうだな」


 オトフシにとって乾坤一擲の攻撃だったのだろう。だが、それはレイトンの剣で易々と防がれていた。

 それを確認して、オトフシは微笑む。


「お前には勝てない。だが、これで目的は達成された」



「ガッ……」

「ンム……!?」

 捕らえていた姉妹たちの呻き声が聞こえる。

 オトフシの操っていた折り紙がクナイの様な形となり、姉妹の急所に突き立てられる。

 刺したりする意図は無いのだろう。傷は出ていないが、即座に気を失ったらしい。


「何を……!」

 僕も援護のために飛びかかろうとする。

 だがそれよりも、乱入者の方が速かった。


 上空から飛び降りるように姉妹の足下に降り立った、黒いコートを着た仮面の人物。

 それがどんな者かを確認する間もなく、しゃがみ込み姉妹の足に両手を触れる。


 次の瞬間、姉妹が消えた。音も衝撃も無く、跡形もなく。

 そして乱入者はオトフシを一瞥すると、街へと駆けだしていく。


「ま……」

 今ならまだ間に合う。追おうとする僕の足下に紙のクナイが突き立てられる。

 レイトンに吹き飛ばされたのだろう、ひび割れた壁を背にして項垂れるオトフシが、僕を見てニヤリと笑っていた。




 足を止められた一瞬。それから急いで振り向き街を見ても、もう仮面の姿は無い。

 煙と綺麗な空が広がっているだけだ。


 僕はクラリセンを見て、唖然として肩を落とす。

「驚いたなぁ。一日に何度も出し抜かれるなんてね」

 場違いなほどに、あっけらかんとしたレイトンの呟きが響く。

 内臓を傷つけたのだろう。口の端から血を垂らすオトフシが、弱々しく横に倒れた。


 この街では、急展開が多すぎる。

 無意識に溜め息を吐いていた。






 仮面を追っても無駄だろう。

 そう判断した僕は、オトフシの元に歩み寄る。地面に銀色の髪が散らばっていた。

 強引に引き起こす。僕の荷物を探り、気付け薬を探し出しその蓋を開ける。

 辺りにアンモニア臭が僅かに香った。


 オトフシの鼻の下にそれを宛がうと、すぐに顰め面をしてオトフシは目を覚ます。

「ゴホッ……!」

 目を覚ましたと同時に血の塊を吐くのは予想外だったが、狙い通り目を覚ましてくれたようだ。

 二三回瞬きを繰り返したオトフシは、現状を把握したらしい。苦笑いして目を伏せる。


「残念ながら、治療は出来ません。教えて頂きたいことがあるんですが」

 僕が言うと、オトフシは力無い微笑みで返した。ヒュウヒュウと、喘鳴音が聞こえる。

「連中の正体についてだろう? 言えん」

「尋問は不得意なんですよね……」

 首元を締め付ける。かなり息苦しくなっているはずだが、オトフシはただ短く息を吐くだけだった。


「尋問など不要だ。妾は包み隠さず全てを話そう」

「信用出来ると思いますか……?」

 締め付ける力を強くしても、オトフシはその怜悧な目をやめない。

「お前に加えてレイトンがいる。彼我の戦力差はわかっているつもりだ。今更敵対なんてしようとも思わん。言えぬのは嫌がらせでも奴等への義理でも無い。知らんからだ」

「何処の誰とも知らない人物の命令で、僕たちを襲ったんですか」

「ああ、そうだ。探索ギルドを通さない裏依頼、というやつだな」

 空を見上げ、長く息を吐く。その顔は、微笑みを湛えていた。


「お前はそんなに不用意なことはしないだろう?」

「そうだな。いつもの妾なら、そんなことはせぬ」

 オトフシは目線をゆっくり下ろし、僕とレイトンを交互に見つめる。痛みからか、その額に汗が伝って落ちた。

「先程一度退却した拠点で、仮面の男に声をかけられたんだ。『探索者カラスを殺害せよ』とな」

「んな……!?」


 僕の殺害依頼? まさか、オトフシが声をかけてきたのはそのためか。


「不思議だった。あの声か仕草か、何かはわからないが、従わなければならない気がした。声をかけられ、肩に手を置かれた時点で断るという選択肢は消えていたよ」

「……精神に干渉する魔術か魔法か……魔道具か……」

 レイトンは地面を見つめ、ぽつぽつと呟く。

 精神干渉というと、フルシールのようなあれだろうか。


「あの男が姿を消した後は、妾は正気を取り戻したらしい。だが、契約したのは事実だ。私も着手はしたが、結局失敗した。そしてついさっきまた男が現れ、暗殺失敗をたてに次の指示が出た。『姉妹の逃走を幇助するため、二人を気絶させよ』とな。よくわからない指示だったが、その通りにお前達の気を引き、姉妹達を気絶させた。その結果がこの様だ」


「ヒヒ、まあ、お前が依頼を途中で投げ出すなんてしないよね」

「それくらいの矜恃はある。それでも、カラス。お前の暗殺は実行出来なかったが」

 真っ直ぐに、透き通った微笑みでオトフシは僕を見つめる。


「さあ、妾の情報は以上だ。用は済んだだろう。殺すのならば殺せ。今なら、魔物の暴走に巻き込まれたと言うことで済む」

 力なく手を下ろし、オトフシは目を閉じる。

 本当に殺されることを覚悟しているのだろう。僕が鉈に手を掛けてみても、身体によどみは一切見られなかった。




 今の話を全面的に信用するのならば、オトフシは使われただけだ。指示に従い、言われるがままに竜を釣り出した姉妹の逃走を幇助した。


 罪が無いわけではない、だがあの仮面の男に比べれば軽い物だろう。

 僕への暗殺は取りやめている。それも私怨でのものではなく、依頼として受けたものだ。

 探索者の流儀に従えば、僕への暗殺未遂は何の罪にもならない。仕事で敵対し、次の仕事で手を組むことなどよくある事らしい。

 こういうものこそ、オラヴに事情を話して任せるべきだろうか……。

 いや、そうしたらあの人情派のことだ。無罪放免で済ませてしまう気もする。


 レイトンをチラリと見れば、意味ありげに微笑み、そして口を開いた。

「何かな? 彼女の処遇なら任せるけど、助言でも欲しい?」

「そうですね。どうするべきだと思いますか?」

 どうせならばレイトンの意見も聞こう。

「探索者としての意見と石ころ屋としての意見、どっちを聞きたい?」

「どうせなら、両方お願いします」


 欲張りな僕の発言に、嫌な顔一つせずレイトンは語り出す。

「ヒヒヒ、探索者としてであれば、オトフシは無罪放免だ。依頼に従い、そして半分達成した。それだけだ。探索者として、犯罪でもなんでも無い」

 意外にも、レイトンも無罪放免派だった。では、石ころ屋としては?

 そう無言で続きを促すと、レイトンは口の端を釣り上げた。

「石ころ屋としても、放置かな。話を聞く限り、オトフシはそうするしかなかった。不当に抵抗を封じられ、仕事を受けざるを得なかった。そして彼女の正義に従って、依頼を遂行した。つまり彼女は悪を為す人間、それも管理しやすい部類だ。使いどころが一杯あるからね」


「どちらにしろ何もしないんですね。オトフシさんが嘘を吐いていて、自分の意思で彼女らを救出した、という恐れは?」

「オトフシはこういうところで嘘はつかない。ぼくはそう思っているし、実は嘘だったとしたら大した役者だ」


 

 レイトンも無罪放免派、恐らくオラヴに聞いても無罪放免となるだろう。

 どうするべきか。

 一応、本人の意見も聞いておこう。


「……オトフシさんは、どうしたいですか?」

「妾はどうなろうとも構わんよ。敗者とは勝者の足下に這いつくばり沙汰を待つ身分だ」


 恐らく本音だろう。先程の覚悟から見ても、死んでも構わない、くらいには思っている。



 二人の意見を聞いて、僕は目を閉じ考える。

 ……ふと、さっき街中で声をかけられた事を思い出す。

『考えすぎだ。まず目の前のことをやれ』そう言われただけで、随分と気が楽になった。


 答えが出た気がする。

 そうだ。軽い罪だ。

 恩を返そう。

 殺さないだけ。恩返しにもならないかもしれないが、オラヴに落着させよう。


 僕はオトフシに、命令するように言った。

「では、これよりストゥルソン卿の下に赴き、ことのあらましを伝えて下さい。仮面の男と姉妹達についてだけで結構です」

「承知した」

 即座にオトフシは目を上げ、了承する。さっぱりとしたその返答に、少し好感を持てた気がする。潔いその態度。ヨロヨロとしたその歩みが、何故か格好良かった。





 オトフシの後ろ姿を見ながら、僕は考える。

 仮面の男。僕を狙ったその正体不明の男に関して、手を打っておかなければならない。

 といっても、伝手がない。衛兵は信頼出来ないし、ギルドかそれともグスタフさんにでも……。



 そうだ。ギルドや石ころ屋に任せてしまえば良いのだ。

 別件への天恵が、僕の脳内に走る。 

 竜をあしらいながら考えた、大人に任せようという考え。それを実行すればいいのだ。


 そして、先程レイトンの口から出た『石ころ屋の考え』。オトフシにも使い道がある。それが僕への大きなヒントになった。

 そうだ。ものは全て使いようなのだ。失敗した結果も、状況も、手持ちの資源も全部使い道はある。


 僕は一つ思いついた。

 クラリセンの復興のため、大人に役目を押しつけるのだ。


 オラヴに働いて貰おう。あの馬鹿正直な正義の男に。

 不意に思いついた嫌がらせに、僕の頬は綻んでいた。




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― 新着の感想 ―
[一言] ほむ、なるほど、そういう意図でしたか。 油に火がついて火災になった時にとっさに水かけてしまうこともあると思います。冷静に考えれば余計燃え広がるだけですが、慌てるとその考えがどっか行っちゃいま…
[気になる点] >危機的状況でも絶対に間違いを犯さない系の方には、ちょっと頭が足りなく見えてしまうようです。申し訳ないです。 流石にこれは言い過ぎでは?
[一言] 振り払うように腕を振るが、離れなかった。このシーンで主人公の対応力が低いのと馬鹿なことが分かる
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