保身
そして、直ちに緊急の会議が開かれた。
議題はもちろん、ルキアの結婚の事だ。
しかし、この会議に参加する全ての人間は知っている。
すでに結果は決まっている、と。
レックスの国はクロノ達の国に比べ、遥かに大きい。
単純に国の面積もだが、人口も軍事力も比べものにならない。
兵の数も桁が違う。
相手は今まで無駄に戦力を消費したくないこと、攻め落とした際のメリットが見合わないこと等の理由から比較的友好的な関係が続いていたが、いざ攻めるとなると、いとも簡単に決着はつくだろう。
侵略された国がどのような扱いを受けるか、何万の人が死に堕としめられるか、想像にかたくない。
それが一人差し出せば、回避出来るのだ。
しかも命を捧げるわけではない。
さらにレックスはこうも提案した。
「私どもの王とルキア様の間に儲けられた子は、貴方方の国へ嫁がせましょう」
それは互いの国に互いの血を混じらわせる事。
半永久的な同盟、親交、協力関係が出来るということだ。
会議はおおよそ1時間程で終了した。
意外な結果などなく…
会議が終わり、その結果はすぐにレックスに知らされた。
ルキアが嫁ぐ際にいくつかの条件が出されたが、レックスは快く受け入れた。
その中の一つに、ルキアの誕生日まで待つ、というものがあった。
クロノ達の国では、婚姻は16歳からという決まりがあり、ルキアは現在15歳であるため、一月後の誕生日にならないと結婚が許されない。
もちろんこれもレックスは快諾した。
そして、レックスはその日まで城に滞在する事となった。