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すぐ傍にある陰謀
世界が漆黒に塗り潰される新月の夜。
黒髪で長身の男と、背が高くはない男がいつもの場所で話をしていた。
「全てが、か…」
「はい、悉くが潰されました」
黒髪で長身の男は苦虫を噛み潰したように、顔をしかめた。
「今のところは取れる手段は全て取った。他に何かないのか」
そして悔しさか憤りか、拳を握りしめ俯いた。
その際、痛めていた肩を無意識に押さえた。
「痛むのですか?」
「いや、大丈夫だ」
ここで会話は途切れ、沈黙が2人の間に漂う。
「一つ、」
背が高くない方の男が静かに提案した。
「一つ、方法が在ります」
「本当か!?」
諦めかけていた長身の男の口調に希望が灯る。
「只、是は成功するか分かりませんので、報告は後程でも宜しいでしょうか?」
「あぁ、大丈夫だ。お前なら任せられる」
「有難う御座居ます」
背の高くない方の男は一礼すると、姿をくらました。
長身の男はしばらく逡巡したあと、その場を離れた。