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Forget me not  作者: 林檎亭
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体が汚れたらお風呂ですよね

クロノとルキアは国立公園に来ていた。

前回遊びに来てからまだ半月も経っていないため、特に景観に変化はない。

強いて上げるなら、普段の倍の人が園内にいた。

なぜなら今日は、

「クロノー! これ運んでくれないー?」

「はい、ただいま」

ルキアに指示され、クロノは傷んだベンチを持ち上げた。

大の大人が3人がかりでやっと持ち上がるような大きく重いベンチを、クロノは軽々と運び、周りからは感心の息が漏れる。

「ルキア様ー、このゴミはどちらへ運んだらよいでしょう?」

ゴミがいっぱいに詰まった箱を抱えた男がルキアに指示を仰ぐ。

「それはあっちの囲いの中に入れちゃって」

テキパキと指示を出すルキア。

そう、今日は国立公園のゴミ拾いの日なのだ。

もちろんボランティアで。

ルキアは意外にと言うか、さすが王族と言うべきか、一つの仕事の責任者を勤めていた。

それは簡単に言うと、社会福祉のようなものだ。

ゴミ拾いなどのボランティア活動から孤児院の国営化などを行っている。

これは元々の事業を引き継いだ等ではなく、ルキア自身が王に提案し、運営しているものだ。

太陽が頂点まで昇ってから少し経った頃、ようやく園内の掃除が終了した。

「んー、終わったぁ」

ルキアは手を空に伸ばして、気持ち良さそうに唸った。

「お疲れ様です、姫様」

隣ではクロノが全く疲れていない様子でルキアを労っていた。

「じゃあ、後は手伝ってくれたみんなにお礼を言って終わりね」

「はい、もう皆さん集まっています」

「ホントに? じゃあ急がないと」

ルキアは小走りで参加者が集まっている広場に向かい、壇上に上がった。

「みんなー、今日は手伝ってくれてありがとうねー」

ルキアが言うと、あちこちから「どういたしまして」や「気にしないで下さい」などの声が上がった。

「私一人じゃ出来ないことだけど、みんな頑張ってくれたから公園が凄く綺麗になったよ!」

ルキアが話す間、誰もが口を開かず耳を傾けている。

明るく朗らかな中に、凛とした意志が見える声は、人々の心に抵抗なく入っていく。

「また何かお願いするときがあると思うけど、その時はまたよろしくね! 今日はお疲れ様でしたー!」

ルキアが言葉を締めると、大きな拍手が起こった。

誰ひとりとして疲れた顔を見せず、何処か満足げな表情を浮かべている。

それは紛れも無くルキアの人徳によるものであり、またカリスマだった。


公園のゴミ拾いを終えたクロノとルキアは城まで戻ってきた。

「さってと。汗もかいたし、お風呂に入りますかー」

「そうですね、すぐに用意させましょう」

クロノが手早く指示を出すと、間もなく準備が整った。

「じゃあまた後でね、クロノ。先に上がっても待っててよ」

「大丈夫です。ちゃんと待ってますから」

いつもの会話を交わして2人は浴場へと入っていった。


以下サービスシーン。


ルキアは長い髪を慣れた手つきで結わえると、服を脱いでいく。

上着を脱ぐと、「ルキア様服をこちらに」があらわになった。

続いて下を脱いでいくと、白くて「あ、ありがとう」なり、下着に手を(侍女がうっかりタオルを手放してカメラの前へ)なった。

浴場に入ると、魔法で温められたお湯から湯気が立ち上っている。

ルキアは嬉しそうに顔を綻ばせると、一直線に湯舟へ駆けていく。

健康的な「ルキア様、浴場で走ると危ないですよ」れる。

振り返ると、「う、ごめん」な形の胸「それに先に湯浴みを済ませて下さい」った。

湯浴みの際に、どうせだからとルキアは体を洗うことにした。

柔らかなタオルが「んー、この石鹸いい匂いだなー」を撫でる。

体を洗っている時に自分の体を見たルキアが呟いた。

「うーん、クロノはおっきいのと小さいのどっちが好みかな?」

そして体を洗い終わり、泡を洗い流すと、改めて湯舟へと身を沈めた。

お湯に浸かり「ふぅ、きもちいいー」がほんのり桜色に染まる。

何かを思い付いたルキアは湯舟の真ん中まで行くと、全身の力を抜いて、湯の上に浮かんだ。 「あー」な「これいいかもー」が「ルキア様、はしたないですよ」でいる。


しばらくの後、体の芯まで温まったルキアは少し名残惜しそうに浴場を後にした。


以上、サービスシーン終わり。


「クロノっ、お待たせー」

お風呂上がりのルキアが小走りでクロノに駆け寄ってくる。

ほのないい香りがクロノの鼻をくすぐる。

「あまり待っていませんから大丈夫です」

淡々と答えるクロノの耳が少し赤くなっていることには、ルキアも侍女も気付かなかった。

「そだ、クロノ。ちょっと行きたいところがあるんだけど、いい?」

「今からですか? 折角お体を清められたのですから、明日になさっては?」

「ううん、大丈夫。そんなに遠くないし、動き回ることもないから」

「かしこまりました。そうおっしゃるのでしたら、お供させていただきます」

「うん、ありがとうクロノっ」

「ところで、具体的にはどちらまで?」

「ちょっと姉様の所までっ」

「魔導研究所、ですか?」

「そそ、城内だしパッと行こう」

そう言うとルキアは、方向を転換し、元気よく歩きだした。


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