異世界召喚は計画的に
うまくまとめられませんでした。そのうち修正入れようかなと思います。
異世界に召喚された。
正確には送り込まれたというのだろうか。
家への帰り道の途中、突然景色が変わったと思ったら崖っぷちに立っていたのだ。
危うく落ちそうになり、あわてて止まったのだが、すると今度は「チッ」と舌打ちが上から聞こえてきたのだ。
人の危機一髪に舌打ちかますとは何事かと見上げれば生意気そうな顔をした銀髪美少年が古代ギリシャかよと言いたくなるようなひらひらした服というより、布をまとっている状態な姿で浮いていた。
大事なことなのでもう一度いうが浮いていた。
これに唖然としない人間はファンタジーな人間くらいだろう。
現実を生きる私はもちろん唖然とした。
その間になんちゃってギリシャ人な美少年が語りだした。
「そのまま落ちときゃあよかったのによ~。まぁ、いい。落ちなかったから説明してやる。今俺の管理してる世界がやべぇんだよ。なんか悪い感じのやつが増えててさぁ~。面倒だから天罰~とかいって皆殺しにしようと思ったんだけどよぉ、隣のシルファがそれはやめろっつうからじゃあどうしろっていうんだよってきいたらなんか勇者召喚が~とか言い出してよ~」
と、説明っていうか愚痴っぽいことを飽きることなく言い続けていた。お前誰だよ、とかシルファって何者やねん、とかいろいろ突っ込みたいところだが、奴はノンブレスで愚痴り続けているので突っ込むすきがない。だが、長すぎて私が聞き飽きたので無理矢理割り込んで突っ込んだら「あぁん?お前、俺が話してる時に割り込んでくんじゃねぇよ!お前何様だぁ?」と一昔前の不良のように言ってきたので、誤っておとなしくしといた。
立ってるのもつらくなり、座り込んだ。座り込んでお尻が痛くなった頃に漸く話は終わった。そして蹴り飛ばされた。
「ってわけだから言ってこい。」
と言われたと同時に後ろに回り込んでいた奴が思いっきり蹴り飛ばしたのだ。めっちゃ痛いと思ったがその後の恐怖に痛みは吹っ飛んだ。
私は崖からけり落とされたらしかった。
ここで私はブラックアウトという初の気絶を味わった。
こんなのあり?というくらい理不尽っていうかなんて言うかな感じで送り出された私。
気絶していたので知らないが崖から突き落とされた私は、某名作天空の○のほにゃららのヒロインのように光ながらゆっくりと空から落ちていき、神殿の奥の祭壇に着地したらしい。
その時神託が下ったらしい。
曰く「乱れた世界を正すべく、御子を遣わす。」と。
そして私は知らぬ間に御子に祭り上げられてしまったのである。
その後、私がどうしているかというと、与えられた部屋に引きこもっている。世話してくれる人を付けると言われたが断った。人とは極力会いたくないのだ。
どうしても外出しなければいけない時、人と会わなければいけない時はベールで顔を隠すことにしている。
世界を救えと言われたが、私は了承していないし、あのあほ神の考えた作戦では到底世界平和は来ないだろうと思ったので、私は事情を知る一部神官さんにぶっちゃけた後は顔を隠してひっそりしていることにしたのだ。あとは神官さんたちがあくせく働いてくれている。
おかげで今、世界は大混乱中だ。きっとそのうち御子のこともこのどさくさで忘れられていくだろう。
そのころになったら、帰れないらしい私は夢の自給自足生活を送ろうと思い、今はこの世界の常識を学んでいる。
こうして考えると私何やってんの?って感じだがしょうがないのだ。
愚痴混じりというか、ほぼ愚痴なあの説明から愚痴をぬくと、曰く、あの美少年はこの世界を管理する神様で、自世界の風紀が乱れまくっていたらしい。政治において不正は日常茶飯事。飛び交う賄賂と横領。重税に苦しむ国民は生きるために食料を奪い合い、敗者は飢え死に。度胸のある奴は貴族の屋敷に盗みに入るが成功者は少なく、殺されるといった有様。
逃げ込める者は神殿に逃げ込もうとするのだが、神殿内には神が選んだものしか入れないため、神殿周辺には助けを求める人であふれかえっていたそうな。
そうして神殿内外の人々は神様助けて~と祈りをささげまくって、その声は神様に届くほどになった。ところが、神様は「うるせぇなぁ」とつぶやいて無視。それでも続くので人間皆殺し計画を立てたところで止められ、悪がはびこるなら勇者召喚をするよう勧められたらしい。そこで余計なことを言ってしまったシルフィさん(彼女も神様)。曰く「勇者は愛で世界を救うのよ~」だそうな。この余計な一言で神様の中の勇者象がおかしなことになった。愛で世界を救うっつうことは、世界中のやつらを惚れさせて言いなりにしてしまうのか。と。
で早速ハンティングで適当な人間を異世界からひっかけた。それが私だった。そして私は神様が考える勇者にされ、この世界へ「世界中のやつら惚れさせて何とかしてくれ」と送り出されてしまったのである。
ちなみに勇者じゃなく御子の名称になったのは、シルフィさんの「女の子なら御子かしら~」という意味の分からない言葉による。
そんな私に与えられた力はいわゆる「ニコポ」である。詳しく説明すると、まず顔が改造された。かわいい系の庇護欲誘う美少女顔にされたのだ。女子ならかわいがりたいと思い、男子なら守りたいと思うようなすべての人から愛されそうな美少女顔。そして付加された「ニコポ」こと、にこっと笑うと発動する魅了スキル。神様はこの魅了スキルで世界中の人間を虜にし、「悪いことしちゃだめよ」と言えば魅了された人間は誰も悪行できなくなるだろうと考えていたらしい。
神様の考えることはぶっ飛びすぎていると思う。
正直、そんなんで平和になるわけがない。
御子として担ぎ上げられた私は周囲の事情を知らない神官たちに「救世の旅に出ましょう」などと言われた。彼らは知らないのだ。救世の旅=魅了の旅だということを。世界中のやつらに惚れられるとかマジ勘弁。脂ギッシュなオヤジに迫られたり、百合な世界を開かれそうになったりしたらどうしてくれるのだ。大体、目に届かない範囲で争うやつだって出てくるかもしれないじゃないか。ハーレムも逆ハーレムも大概うまくいかないものだ。ヤンデレやサイコな奴がいたらさらにややこしい。いろんな意味で身の危険を感じる。それに私の死後はどうなるというのか。そんな一人に頼りっきりな平和が長く続くわけがない。
そう考えた私は、顔を隠し魅了スキルを封印し、賢そうな神官さんに神様との間の話を説明した。結果、神殿の人たちが総出であちこちの問題解決に出ている。脅し文句は「御子に悪行を発見されると天罰が下り皆殺しにされる」というもの。これで御子の顔出しはなくなる。そして、このまま不正の類が横行すれば皆殺し計画発動は事実なので神殿の人々はもちろん、他のまともな人々も必死に不正の類を正し、世界を平和に導こうと必死になる。神殿の人たちは神様に気に入られた何かがある人たちで、神託を授かることもある人たちだ。彼らが神が皆殺しを考えていると言えば信憑性が上がるのでたいていの人が信じる。それなのに悪行繰り返す人たちは捕らえられ処罰を受ける。
こうして、世界は自力で平和を目指すこととなった。正直私は呼ばれ損。神様に元の世界に返せと訴えたが「無理」という神託が返ってきただけだった。
異世界召喚はもう少し計画性を持って行ってほしいものだ。




