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スカイブルーの決意の反政府活動者

帝国南西部にある、中心都市、テロール

「竹細工人形で有名なナイーカの高級竹細工、今なら格安です!」

 クーパが、材料費だけで買った高級竹細工を、通常値段の半額で売って居た。

「あー僕もそれ持ってる」

「私も」

 ナイーカの竹細工人形を持った子供達が大人を引き連れてやってくる。

「あら本当に安いわね」

「これだったらお買い得ね」

 売れ行きかなり好調だった。



「情けは人の為ならずって言うのは、本当だね。まさか竹細工人形が客を引っ張ってくれるなんて思わなかった」

 幸せそうに宿屋の一階の食堂で食事をするクーパであった。

「マスター、俺達を誰だと思ってるんだ!」

 その濁声にクーパが声のほうを向くと、一見すると高級そうな鎧を装備した、兵士達だった。

「帝都守護隊員様だぞ!」

 偉そうな言葉に帝都事情を良く知らない宿屋の主人が頭を下げて言う。

「すいません。しかし、お勘定は頂かないと……」

「何だと、陛下のお力で平和な暮らしをおくれているというのに、その陛下の住まう、帝都を護る我等に勘定を請求しようと言うのか!」

 兵士の言葉に、宿屋の主人が気後れするが、クーパが、大声で言う。

「因みに帝都守護隊って、簡単に言えば、警邏隊で、普通に兵士の訓練をすれば誰にでもなれる、帝国兵士の中でも下級の役職だよ」

 その一言に、周りの視線が冷たくなる。

「何を言うか! 我々は帝都を護る重要な任務を仰せつかっているんだ。田舎の兵達とは比べ物にならない重要な役目を担っているんだ!」

 兵士の方を向いてクーパが言う。

「はっきり言っておくよ、さっきも言ったけど、帝都守護隊は、帝都を守護する一般兵、間違っても地方に任務で来る事は無いよ。ここに居るって事は、帝都守護隊を首になって、帝都守護隊だった事をネタに雇って貰おうって算段でしょ?」

 その言葉に、一瞬怯むが兵士達だったが、クーパに詰め寄る。

「舐めるな、くそがき!」

 周囲の客が、目を背けるが、クーパは、冷静に斬り付けてくる相手に対して、一歩前進して、懐に入り、剣を持った手首に自分の手を当てて、振り下ろされる勢いを利用して引っ張り、同時に放った足払いで、その兵士を投げ飛ばす。

 大斧を振るってきた別の兵士に、クーパは、兵士を飛び越し、肩を蹴り押す。

 それだけで、大斧の勢いに引っ張られて、壁に激突する。

 あっさり二人をいなされた兵士達が、怯む中、クーパが蛇輝を抜く。

「これ以上、やると言うんだったら、腕の一本や二本は、覚悟してね」

 暫く躊躇した後、倒れた仲間を担ぎながら逃げていく。

「覚えてろよ!」

 クーパは、蛇輝にダイヤをあてる。

『ダイヤよ、その力、光の力を我が剣に宿せ』

 蛇輝に光が宿り、クーパが気合と共に振り下ろす。

『光波斬』

 光が、逃げていく兵士達の横を通り過ぎて、目の前の道に大穴を空ける。

「覚えていて欲しい?」

 クーパの言葉に、顔を引き攣らせる兵士達。

「忘れてください!」

 そのまま蜘蛛の子を散らすように消えていった。

 クーパは、肩を竦めて宿屋の主人に言う。

「これで、二度と来ないよ」

 頭を下げる宿屋の主人。

「ありがとうございます。本日の食事代はもちろん、宿代もタダにさせてもらいます」

 内心でガッツポーズをとりながらもクーパが言う。

「当たり前の事をしただけです」

 その時、拍手が聞こえた。

 クーパが拍手をした方を向くと、そこには、良い体つきをした、一目で歴戦の戦士だって解る男が居た。

「なかなか良い腕をしてるな。しかし、帝国でも高位の軍人である輝石剣士がこんな所で何やってるんだ?」

 少し敵意が籠められた言葉にクーパが肩を竦めて言う。

「旅の商人だけど。まさか密偵か何かと思ってる?」

 男の隣に居た、細身で美形だが、鋭い目付きをした男性が言う。

「輝石剣士が、旅商人をやっているより現実的な判断だと思うが」

 クーパは気にした様子も見せず言う。

「別にどう思うかは、勝手だけど、仕事の邪魔だけはしないでね」

 そのまま、食事に戻るクーパであった。



 数日後、宿屋に居た、歴戦の戦士風の男、ホルス=バーセルクが、窓も閉じられた屋敷の中で告げる。

「あの娘を仲間に組み込もうと思う」

 その言葉に一緒に居た男性、マルッセ=ケーレントが驚く。

「正気ですか? 相手は、帝都でも指折りの権力を持つ、輝石剣士ですよ」

 ホルスは頷いて答える。

「だからこそだ、今度の計画に輝石剣士が入れば、百人力だろう」

「駄目です。帝都の密偵の可能性は捨て切れません。地方の復権を願う我々にとっては、一番気をつけないといけない相手です!」

 マルッセの言葉に、ホルスが部下の一人に視線で促す。

「あの娘、クーパ=ホーが、密偵の可能性はほぼありません」

 その言葉に、マルッセが厳しい視線で問いただす。

「何の根拠を持って、そう断言する」

「帝都に居る仲間に確認した所、クーパ=ホーは、皇帝に言寄られて、立場上断る事も出来なかった為、帝都を離れる事になったとの事です」

 部下の回答にマルッセが少し思案した後、更なる質問をぶつける。

「それが、偽装の可能性は?」

 部下は、首を横に振る。

「彼女が、帝都を離れた後、皇帝が荒れていたと言う証言もあります。王宮の中では、かなり有名な話らしいです」

 ホルスが纏めるように告げる。

「詰り、あの娘は、皇帝の我侭で、輝石剣士としての道を閉ざされた。皇帝には、恨みがある筈だ。我等の計画にも協力を惜しまないだろう」

 マルッセが溜息を吐いて言う。

「仲間にするとしても監視はつけます。それが妥協点です」

 ホルスが頷いた。



『気付いているか?』

 クーパの胸のペンダントに居るキキの言葉にクーパが頷く。

「ドアの外に居る人? でも今のところは、敵意は一部の人間からしか感じないよ」

『油断するなよ』

 キキの忠告に頷くクーパ。

 そして、ドアがノックされる。

「どうぞ、開いてますよ」

 そして、ドアが開きホルスが入ってくる。

「あちきになんか用ですか?」

 クーパの質問にホルスが単刀直入に言う。

「俺達に協力して欲しい。我々は帝国の今のやり方に問題を感じている」

 その言葉に頬を掻くクーパ。

「もしかして、反政府組織の人?」

 頷く、ホルス。

「テロールでは、常日頃から、中央からの過剰な干渉に晒されている。古くからの祭事や習慣は制限され、若い人間は皆、帝都の流行を後追いする事にしか目を向けない」

『ホーク帝国がこの土地を侵略する際に行った、植民地政策がいまだ現役だったのか』

 キキの言葉に困った顔をするクーパ。

「でも、実際どうするつもりなの?」

 ホルスは一枚の地図を見せる。

「近々、ロ皇帝が、この町の視察に来る。その際に、その身柄を拘束し、我々の要求を突きつける」

 その地図を見て、クーパは難しい顔をする。

「その情報の信用度は?」

 それに対して、マルッセが言う。

「帝都にも我々と意見を同じにする者が居ます。その者からの情報です」

 少し考えるポーズをとった後クーパが言う。

「でもどうしてあちきに協力を頼んだの? 輝石剣士が、皇帝家とは、仲が良い事は知られてる事だと思ったけど?」

 ホルスが頷く。

「しかし、君は、ロ皇帝に関係を求められ、断る為に、輝石剣士としての道を諦めたのだろう? ロ皇帝には恨みがある筈だ」

 なんとも言えない難しい顔をするクーパであったが、頷く。

「まー大きく外れてないね。解った、協力するよ」

「感謝する。今は少しでも戦力が欲しかったのだ。細かい話は後日させて貰おう」

 そして部屋を出て行くホルス達を見送った後、キキが言う。

『本気か?』

 肩を竦ませてクーパが呟く。

「無駄だよ、ロの周りには、バン兄さんが居るうえ、ロ親衛隊は一対一で戦ってもあちきだって苦戦する。どうやっても襲撃は失敗するよ。問題は、その事実を知りながら、こんな成功する筈も無い襲撃を行わせようとしているのが、どんな勢力かって事」

『一番考えられるのは、ロだな。あいつはお前が絡まない限り、切れ者だからな』

 キキの回答にクーパは、首を横に振る。

「抵抗勢力を潰すために、故意的に情報を流出したって事も考えられるけど、ロが後ろに居るんだったら絶対、輝石剣士を関らせない。第一、あいつ等の主張ってロが押し出している、地方の活性化に繋がる話だよ。あいつ等の邪魔する勢力を裏工作で潰す事もあっても、逆は無いと思う」

『なるほどな、ロの事はお前の方が詳しいな』

 キキの意味ありげな言葉にクーパが溜息を吐く。

「小さい頃からの付き合いだからね。それよりも、どうやって黒幕を割り出すかが問題だね」

『それだったら良い手がある。もっと美味しいネタをぶら下げてやれば良いんだ。襲撃よりもより確実な手をな』

 キキの言葉にクーパは首を傾げる。

「そんな物、何処に転がってるの?」

『ロを秘密裏に動かす効率的な手がな』

 キキの言葉にクーパが嫌そうな顔をする。

「気が乗らないな」



「襲撃は止めろと言うのか?」

 ホルスのアジトに案内されたクーパの言葉にホルスが驚き言った。

「そう、相手の戦力を考えても、襲撃では確実性は低いよ」

 ホルスは机を叩き言う。

「数少ないチャンスなのだ! 帝都に居る時には手も足も出ないのだぞ!」

「だからといって、あちきの兄弟子、バン兄さんやロ親衛隊が警護してる中に襲撃するのも同じ。断言してあげる、このメンバーじゃ、ロ皇帝に触れることなく全滅だよ」

 クーパの言葉に、周囲のメンバーが唾を飲む。

「それでも俺達に残された手段は、他には無いのだ!」

 その言葉に、クーパが皇家の証のペンダントを取り出して言う。

「これを証拠にあちきが、商売で失敗して大損して、損害の補償して欲しいと手紙をだして。命が取られそうだから最後に頼れるのはロ皇帝だけだとあちきが言っていたと一文つけてね。あちきとロ皇帝の関係を持つことは回りの人間も嫌がってるから、色に迷ったロ皇帝は、少数のお供と共に指定した場所に来るはずだよ」

 マルッセは、ペンダントを受け取り絶句した後、言う。

「お前、こんな物まで持っていたのか?」

「色々あってね」

 クーパが肩を竦める。

「なるほど、その方が確実だな。もし皇帝が、話に乗らなかったら、襲撃すれば良い。こっちにデメリットは無いな」

 ホルスの言葉にマルッセが少し躊躇しながら頷いた。



 数日後、テロールの下町にロがオシロとウドンだけを連れて、来ていた。

「陛下、思い直して頂けませんか?」

 ウドンの言葉にロが言う。

「当然だ、クーパが私に助けを求めているのだ! 待っていろ、クーパ!」

 大きく溜息を吐くウドンにオシロが言う。

「こんな事をして本当に良いの?」

 ウドンが首を横に振る。

「本来は不味い。しかし、これに付き合わないと、クーパを捕捉出来なかった俺達の罪になって、家名断絶させられる事になりかねないんだ」

 顔を引き攣らせながらオシロが言う。

「冗談だよね?」

 ウドンは諦めきった表情で首を横に振る。

「本気だ。陛下もそういう脅しが出来るから俺達を選んだのだ」

 涙目になるオシロの肩に手を置き、ウドンが言う。

「俺達に出来るのは、陛下に傷一つつけさせないで、この一件を解決させる事だ」

 そして、ロは、指定された倉庫に入る。

「クーパ、助けに来たぞ!」

 ロの言葉に答えるようにホルスが現れる。

「本当に現れるとは、色に迷ったなロ皇帝」

 ロは、きっと睨み言う。

「クーパをどうした。金なら幾らでも払おう。直ぐにクーパを解放するのだ!」

 ホルスが手を上げると、周囲をホルスの部下達が囲む。

「色に狂った皇帝でも、人質にはなろう。生かして捉えろ!」

 ホルスの宣言にウドンとオシロが構えた時、倉庫の外から声がした。

『ホルス=バーセルク。お前の企みは、全てクーパと言う少女の手によって我等テロール方面軍に密告されていた。大人しく縛につけ!』

 ホルスの部下達が、外を見るとそこには、テロール方面軍が、戦闘態勢で倉庫を二重三重に囲んでいた。

「謀られたのか!」

 ホルスが悔しげに拳を握り締める。

 安堵の息を吐くウドンとオシロを他所にロが軽く溜息を吐いてから言う。

「茶番は、おしまいにしてもらおう」

 その一言に、テロール方面軍の責任者が戸惑う。

『陛下、早く安全な所に退避して下さい!』

 ウドンがその指示に従おうとした時、ロが言う。

「もう一度だけ言おう。茶番は、おしまいにしろ」

 困惑する一同の中、ロがホルスに告げる。

「お前の意見を今すぐ聞かせてもらおう。お前を消したいと思っているテロールの役人が邪魔する前に」

 ホルスは戸惑いながら言う。

「どういうことだ? あのクーパが俺達を謀ったんでは無いのか?」

 ロがホルスを睨む。

「クーパを呼び捨てにする事は認めん。クーパは私の妻になる者だ。不敬罪で処刑するぞ!」

 掴みかかろうとするロをウドンが必死に押さえる。

「落ち着いて下さい。あの男の話を聞くのが先でしょう」

 ロは、渋々、堪えて言う。

「クーパがお前達を引っ掛けるのだったら、テロール方面軍は使わない。バンと自分の二人でお前等を全滅させる自信があるからな。お前等を罠に嵌めたのは、テロール方面軍、その物だ」

 混乱の極みに達したホルス。

「どうなっているんだ?」

「全ては、帝都との繋がりで甘い汁を吸ってる、テロールに派遣されてたお偉方の企み。今回の視察で、ロが、テロール自治能力を認めた場合に地方にかなりの権力が移り、自分達の利益が損なわれるのを恐れて、貴方達に失敗するロの襲撃をさせようとしていたの」

 倉庫の屋根から飛び降りたクーパの言葉にホルスが驚く。

「クーパ!」

 ロが駆け寄ってくるが、そこにバンがクーパと同じ様に屋根から飛び降りてきて言う。

「危険ですから、ウドンとオシロの傍に居てください」

 バンが視線で促すと、ウドンとオシロが慌ててロを拘束する。

 不満げな顔をするロにオシロが言う。

「安全になってからゆっくりとお話しをすればよろしいのではないでしょうか?」

「場合が場合だ、仕方ないな」

 渋々納得するロ。

 バンは、テロール方面軍の方を向いて言う。

「お前達の企みは、全てホルスの部下に紛れ込ませていたマルッセ=ケーレントの口から白状させた。例え失敗するとしても陛下を襲撃しようなど、言語道断。それ相応の処罰は覚悟しろ」

 その言葉にテロール方面軍のお偉方が叫ぶ。

『こうなれば、皆殺しにし、全ての罪をホルスに被せ、我等は陛下の敵を討った事にするしかない。いけお前等』

 後ろのほうからの自分の都合のみの発言にテロール方面軍の兵士達は、躊躇する。

『ここで、私が断罪されたら、それに協力したお前等にもそれ相応な罰が下るぞ!』

 その一言が引き金になって、テロール方面軍が襲い掛かってくる。

 クーパが頭を掻いて言う。

「普通に考えれば、罰を受けるのは、あのしゃべってる奴等だけなんだけど、そんな正論は、通じないよね?」

 バンは、虎輝を抜き放ちながら言う。

「少し、頭を冷やさせてやる必要があるな」

 クーパも蛇輝を抜き構える。

『我が戦いの意思に答え、我が前に戦いの姿を示せ』

 戦闘状態になった蛇輝にクーパは、エメラルドを当てる。

『エメラルドよ、その力、風の力を我が剣に宿せ』

 風を纏った蛇輝を大きく振るうクーパ。

風烈斬フウレツザン

 蛇輝から突風が発生し、テロール方面軍の動きを封じる。

 その間にも虎輝にサファイアの、水の力を封じ込めていたバンがその力を最大まで高め、渾身の突きを放つ。

水虎乱舞スイコランブ

 虎輝から生み出された水で出来た虎達は、動きが止まったテロール方面軍を殺さずに蹴散らして、突き進んだ。

 たった一撃ずつで、テロール方面軍は、その戦力の三分の一を失った。

 動きが完全に止まったテロール方面軍の兵士達にロが告げる。

「剣を収めろ。私の目の届かない所で悪事をしていた者に使われていたお前達に、謝罪があっても断罪する事はない。そして今、お前達に不要な怪我をさせた事を心の底から詫びたい。すまなかった」

 頭を下げるロに、テロール方面軍の兵士達は戸惑い、慌てて剣を収めていく。

 そしてロは、振り返り、ホルスを見る。

「お主にも迷惑をかけた、謝罪をする」

 頭を下げるロにホルスは慌てて言う。

「どうして貴方が頭を下げる? もし罪があるとしても、それはあいつ等であり、貴方では無い筈だ」

 ロは、首を横に振る。

「上に立つものは、その下に居るものの行動全てに責任を持たなければいけないのだ。例えそれが、命令していない事でも、変わりはしない」

 ホルスは、大きく溜息を吐いた。

「器が違いすぎる」



 そうして、暗躍した者達は捕まり、ロの視察の際にホルスが提案した、テロールの祭事や習慣の保護の為の計画は、ホルスを始めとする者達の手で実行される事がロの決定によって決まった。

 全てが丸く収まったと思われたが、ある兄妹だけは、不幸の運命の波に飲み込まれようとしていた。



「何にしろ、お前達が陛下を危険な所に行かせた事には間違いは、ない」

 バンの言葉にウドンが慌てて弁明する。

「あれは、陛下に命令され仕方なくで」

 バンが睨み言う。

「陛下に逆らおうとも陛下を危険から護るのは我々の仕事だ!」

 何も言えなくなるウドン。

「陛下からバン様に何か言っていただけませんか?」

 オシロが、奥に居るロに救いを求めたが、ロは遠い所を見ながら呟く。

「あの時、躊躇せず、クーパを掴まえていれば、一緒に帝都に帰れた筈だ」

 あの事件の直後にクーパが姿を消した為、会えなかった事に不満を感じたロの、止めたオシロに対する、嫌味である。

「お前達は、暫く帝都に帰還する事は許さん。ペンダントをクーパに届け、暫く今回の様にクーパを悪用する者が現れないかの、監視する任務を与える」

 バンの言葉に、ウドンは心で泣きながら頭を下げる。

「その任務、しかとお請けしました」

今回はかなり水戸黄門らしい所が出たと満足です。

ロが、最初っから説得しなかったのは、タイミングを見てからだったりします。

謝っていますが、バンを止めて、自分を本気で危険に晒す事はしません。

ロって民衆には、良い顔し、善政を行っていますが、邪魔をする人間には容赦が無い所があったりします。

因みにホルス達は、ロの良い様に利用されて格安で働かされているのに気付いていません。

それにしても、ウドンとオシロの兄妹は、本気で不幸ですよね。


ギリナが再登場。

今度は、どんな詐欺を行うのか?

不幸なコーナ兄妹に救いがあるのか?

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