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クローズコンクリフト  作者: 弓雲
第一章 新生guilty silence
9/30

7話 歓迎パーティー

少し短いです。

 柚留木邸にはguilty silenceのメンバー五人とプラス一人(・・・・・)がそろっていて、ダイニングで机を囲んでいる。

 すぐにプラス一人(・・・・・)が彩音の方を向いて話し出した。

 きれいな栗色の髪を肘あたりまで伸ばし、白いワンピースに身を包み、にこやかな微笑みを浮かべている。

 整った顔立ちも相まって、『お嬢さま』が似合う女性だった。


「はじめまして、guilty allayのチームリーダー高城栞(たかぎしおり)です。これから少なからず関わりがあると思いますので、どうぞお見知りおきを。」


 物腰が柔らかく、とても親しみやすい調子で自己紹介をする先輩。


「それと、私のことも下の名前で呼んでくださいね。あなたのことも『彩音さん』で大丈夫かな?」

「はい。こちらこそ宜しくお願いします、栞さん。」

「ふふ、礼儀正しくていい子ですね、奏さん。」

「だろ~。弓弦を初めて栞に会わせたときの第一声なんて、栞先輩胸デkうむむむっ」


 何かを言おうとした奏の口は、戦闘状況にも負けず劣らずの素早さで動いた弓弦の腕によって塞がれてしまった。

 そう、手ではなく腕だ。

 裸締やヘッドロックみたいに腕をしぼるので、その腕の内側にある奏の顔からギリギリという音が漏れてくる。


「ひふ!ひふ!(ギブ!ギブ!)」


 奏が必至に弓弦の腕を叩いてギブアップを表すと、ようやく力が緩む。息も止められていたようで、奏が荒い息を吐いている。


「はあ、はあ。弓弦、僕を殺す気か。」

「お前が悪い。」


 うそ~!と奏が叫んでいるが、背中をつつかれたので、彩音は後ろを向く。

 そこには栞さんが、身長の高さと容姿の良さが合わさってモデルのように佇んでいた。

 ついさっきまでは机の反対側に座っていたのに、いつの間に移動したのか彩音には全くわからなかった。

 それに一般人とは違う、ただものじゃないオーラをまとっている気がした。

(おっとり美人かと思ったけど、この人すごい人?)

 心の中で苦笑いが漏れるが、表情は笑顔をキープする。すると自分の方に手が差し出された。


「やっぱり出会いは握手からよね。てことで握手しましょ。」


 彩音は立ち上がってから、奏の時のようにその手を力強く握って言う。


「あらためてですけど、このたびguilty silenceに入隊しました。齋藤彩音です。先輩方のような一流の隊員を目指して努力していきますので、ご指導のほどよろしくお願いします。」


 手を放してからお辞儀をする。なぜか返答が返ってこない。彩音の耳に入ってくるのは

「抜け出すなんて簡単だよ。」

「さっきはだめだったじゃん。」

「本気だしてなかっただけだもん。」

 という奏と弓弦の声だけだ。

 彩音が不思議に思いながらも顔を上げると視界に入ってきたものは、二つの大きな球体。

 直後ボフッという音とともに彩音の顔が柔らかいものに包まれる。


「ああ~。か~わ~い~い~!この子いい!奏さん、この子私にちょうだい♡」

「あげないよ!あ~、始まっちゃったよ、栞の『かわいい物を見るとキャラが変わっちゃう病』が。」

「いいでしょ~。別に減るもんじゃないし~。」

「いや、減るし!おもに人数減るし!」

「一人くらい大した事ないよ~。」

「五人中一人はデカいですよ!」


 そこへ、漫才の途中悪いんですけど、と言って小鳩が会話に割り込んでくる。


「彩音さんが軽く死にかけてますよ。」


 そう言われて全員の視線は栞に抱きつかれた彩音に注目する。

 さっきまでは手足をバタバタさせて微力ながら抵抗していたが、今は全身から力が抜けてぐったりとしている。


「「「「窒息してる~!」」」」


 絶賛気絶中の彩音と何事にも動じない小鳩以外の四人の声がハモる。

 栞が慌てて腕の力を抜くと彩音が床に崩れ落ちそうになったので、一番近かった弓弦が抱き留める。

 奏が手首を触って確認すると、脈は正常なようだった。

 リビングのソファーに寝かしてみんなで見ているとすぐに目を覚ました彩音が


「何がどうなったんですか?」


 目をぱちくりさせながらみんなに聞くと。


「彩音さ~ん。ごめんね~。さっきは私のせいで~~~うぐっ!」


 再び抱き付こうとしている栞を奏が猫のように首根っこをつかんで持ち上げている。


「彩音も目覚めたことだし、歓迎パーティーやるぞ!」

「うい~。」

「は~い。」

「・・・。」

「で、何が起こったんですか!?」

「うぐぐぐ。奏さんそろそろ手を放してもらえないでしょうか。」

 奏の掛け声に弓弦、刃弦、小鳩、彩音、栞が返事をする

(一部、いや、過半数が返事になっていない)。

 そんなとてもとても長い前置きを経て、ようやく歓迎パーティーは軌道に乗った。



 栞がここにはいないguilty allayのメンバーを紹介したり、基本的には仕事が少ない夏休みの予定を相談しながら食べた食事は彩音にとって久しぶりで、とても楽しくて、あっという間だった。


「あ~、食った食った。今日は巡回休みにしてもらったし、これからどうする?」


 そんなことを弓弦がみんなに尋ねている。

 JSPも年中無休な訳ではなく、土日は自衛隊諜報部関係の人が働く(・・)ので休みで、申請をすれば振替休日もできる。

 新入隊員が来たという事で奏が一週間はかかる手続きを一日で終わらせた、と彩音はさっき聞いた。


「そ~だな……。彩音、Px4もってきた?」


 全く脈絡がない質問だったが、彩音は一様返事をしておく。


「もちろん持ってますよ。持ってないと、JSPクビじゃないですか。」

「ですよね。じゃあメンバーも増えたことだし、久しぶりにあれ(・・)やろうか。」


 そう言ってニヤついている柚留木奏であった。


次は、次こそはアクションを・・・。

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