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クローズコンクリフト  作者: 弓雲
第二章 名家の堕ちた刃
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2話 京都ブリーフィング①

短いうえに台詞がありません(汗)

 

 京都駅に着いたのは八時過ぎだった。

 奏の言った予定通り、全体ブリーフィングに参加するために京都支部に徒歩で移動する。

 京都支部も名古屋支部と同じで、駅に近いビルの中に本拠地を置いている。

 関係者以外立ち入り禁止の札がかかったロープをくぐって地下に降りていく。

 先頭だった奏が機械にMEGをかざすと、今まで動く気配がなかった金属製の扉が自動で開いていく。


(近未来的なのは、全国共通なんだろうか…。)


 彩音は何となくあきれつつも、奏に続いて入り口をまたぐ。

 京都支部の中は名古屋のそれと何ら変わりない。

 よく言えばシンプル、悪く言えば殺風景だ。

 そんな廊下をしばらく進むと、一つの部屋の前に女性が立っている。


「名古屋支部の方々ですね。ようこそJSP京都支部へ。」

「どうも。」


 奏の声とともに五人とも軽く頭を下げる。


「では、こちらへどうぞ。」


 女性は余分なことを一切話さずブリーフィングルームへ案内してくれる。

 部屋に入ると五人と同じようにラフな格好をした二十人程の学生がすでに着席していた。

 入り口近くでどうしていいのかわからず、立ち尽くしていると、部屋の奥の方に座っていた一人の男が五人のもとに近づいてくる。


「初めまして。JSP京都支部の石田です。今回の作戦の指揮をとらせていただきます。」


 歳は奏達と同い年くらいだろうが、自衛隊のレンジャー部隊にいそうな体つきをしている石田は、見かけによらず丁寧な握手を順番にしていく。


「どうぞそこに座ってください。すぐにブリーフィングを始めますので。」


 五人が着席したのを確認すると、石田は部屋の前、スクリーンがある方に戻っていく。

 石田はスクリーンの横にいる、メガネをかけた女の子と少し話してから再び前を向く。


「ではこれから今回の作戦においての詳細な説明をする。」


 その説明の中で彼がこの作戦を成功させるのため、特に重要と言ったのが次の三つのことである。


 ・警戒の密度を上げるためバディー(二人組)を組まず、単独で歩哨にあたること。

 ・三チーム合同の作戦であるため、チーム間の連絡を密にすること。

 ・何か些細なことでも発見があったら、石田に連絡を取ること。


 作戦自体の説明を終えて、石田は先ほどの女の子を指しながら言う。


「こっちのはうちの参謀みたいなもんで、作戦や詳細な質問には俺とこいつで話し合ってから返答させてもらう。何か意見がある者はいるか?」


 何人かが手を挙げて、初めにあたったのは奏だった。


「相手の戦力が未知数なのに単独での行動はリスクが高すぎるんじゃないか?」


 それに対して今度は女の子の方が答える。


「ではお聞きしますが、この人数を半分に割った数で作戦範囲をカバーしきれると思われますか?」

「確かに厳しいことかもしれませんが、安全性には変えられないかと…。」

「それに、そちらでも今回の相手が単独の可能性が高いことくらいわかるでしょ。わざわざ暗殺を自分たちが、見つかりやすくなる大人数でやることはない。金で雇った暗殺専門の殺し屋かなんかを実行犯にしようとすることなんて容易に予想できます。」

「でも……。」

「この問題はこれ以上話しても埒があきません。次の質問を…はい、そこの方。」


 彼女は取りつく島もなく、次へ進んでしまう。

 不満な顔をしつつ、黙ってしまった奏。


「いいんですか?奏先輩。」

「彩音。今回の主導権はあちらにあるんだ。それに、向こうの言い分も間違ってはいないしな。まあ、僕らなら大丈夫でしょ!」

「善処します…。」


 彩音は元気になった奏に、自信がなさそうに答える。


「いざとなったら俺らが速攻で駆けつけるから心配すんな。なんてったって全国三位だからな!」

「……、はい!私精一杯頑張ります!」


 弓弦の言葉にguilty silenceの四人の顔を見てから、彼女は力強くうなずく。

「その意気だよ彩音ちゃん!まあ、彩音ちゃんが敵わない相手に僕らが敵うとは思えないけど…。

 」

「それは!……。そうだけど。」


 刃弦の言葉に今度は弓弦が元気をなくしてしまう。


「何でもいいですけど、睨まれてますよ。」


 そう小鳩に言われて四人がそろって前を向くと例の女の子が、それはそれは力強く四人を睨んでいた。

 深刻なことについて議論しているのに、後ろでガヤガヤ騒いでいるやつがいたら、そりゃ睨みたくもなる。

 それを悟った四人はそろって愛想笑いを向けてから姿勢を正す。


 ***


 その後、guilty silenceのメンバーが手を挙げても一度もあてられることなく意見タイムは終わった。

 担当の範囲を決めることなどのリーダー同士の打ち合わせも終え、この場でやらなければならないことをすべて終える。

 石田がもう一度立ち上がり、終わりの言葉を述べる。


「これにて全体ブリーフィングを終了する。この後は装備を整えてから、チーム内で割り当てられた範囲を各自歩哨してくれ。では、解散!」


 全員が立ち上がり、あいさつをして部屋を出ていく。

 五人も部屋を出ようとドアのところに向かうと、先ほどの女の子が待ち構えていた。


「リーダーの柚留木さんでしたっけ?ちょっといいですか?」

「は、はい…。お前ら休憩室で待っててくれ。」


 再びメンバーの方を振り返った奏の顔は、ひどく……疲れた顔をしていた。

 四人が去ると、女の子が話し出す。


「柚留木さん、この案件の指揮権は私達京都支部にあります。あなたのチームが全国トップレベルなのはわかっていますが、先ほどの三つのことは必ず守ってください。勝手な行動はやめてくださいよ!では。」


 それだけ言うと、すぐに自分のチームのところに戻って行ってしまった。

 奏は小さく嘆息しながらみんなが待つ待合室に向かって歩き始める。


(完全に目付けられたな……)


 今度は気を配ることなく、大きく息を吐く。


「ため息をつくと幸せが逃げますよ。」


 手に持ったジュースやお茶の缶が、彼がみんなの分のジュースを買ってきたことを主張している。


「お。立派に下僕やってるのかい?刃弦君。」

「違います。親切心ですよ!」


 そう言った彼に刃弦はいらっときて、思わず乗り出してしまった体をひっこめてから静かな調子で続ける。


「で、何言われたんですか?」


 奏は、その自分を心配させるような調子の質問を聞き、慌てて頬が落ちてぶきっちょになっていた顔に笑顔を作る。


「大丈夫だよ、なんでもないさ。」

「あ、何で突然走り出すんですか!それと、運ぶの手伝ってくださいよ~。」


 刃弦の言葉を奏は聞いていない。さっきの刃弦に言われたことが引っかかっていた。


(リーダーたる者、仲間に心配させてどうする!)


 奏は心の中で自分を叱咤しながら廊下を駆け抜ける。



 …もちろん走ることに意味はない。

 修学旅行、部活の大会、学年末テストが連なってあるため、もしかすると?いや、もしかしなくてもしばらくの間、更新できない可能性があります。

 申し訳ありませんが、気長にお待ちください。


 あと、この期に、最初から単語などの細かい修正や、一文を丸ごととっかえるくらいの大幅修正を行っていくつもりです。

 重ね重ねお詫び申し上げます<(_ _)>


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