11話 始まりの足音
活動報告にも書かせていただきましたが、先週の更新は資格試験があったためお休みさせていただきました。
今週から再び頑張っていきますので、よろしくお願いします。
え~、11話は一章のエピローグということになりますね。
「ということで、ビリは弓弦に決定しました。」
「「「「「イェ~イ!」」」」」
弓弦が『だまれ~』と弱弱しく抵抗の声を上げるが、自分以外の歓声にかき消される。
「刃弦。お前だけは味方だと思っていたのに。」
「何を言っておられる弓弦殿。
『鷲見と鷹見は悪しきものがある限り共にあり。』ですぞ。
…という事で離れたとこから優しく見守らせていただきます。」
手を太ももの前に付けた侍のような、丁寧なお辞儀をした刃弦を
「言っとることが矛盾しとるわ!
あと、盟約の詞を変なことに使うな!」
と叫んだ弓弦が肘でどつく。
「ぐほ!……い、今の、入ったよ…。」
「え?お、おい大丈夫か!?」
弓弦が床に崩れ落ちた刃弦を抱き起す。
バシッ
「いてっ!」
突然、弱ったふりをして閉じていた眼を開いた刃弦のデコピンをもろにくらった弓弦が悲痛の声を上げる。
「鷲見の名に懸けて、慎んでバツゲームを受けてくだされ。…プッ。」
弓弦の腕から抜け出た刃弦は抑えきれなくなった笑いを吹き出しながら部屋の反対側に逃げていく。
「この!待てやゴラ~!」
それを追いかける弓弦。
「ところで、なんで刃弦君、たまに弓弦先輩のこと名字で呼んでいるんですか?
あと盟約の詞?ってなんですか?」
「あれだよ。おうちの事情的な?」
彩音の質問によくわからない答えを返す奏。
「詳しく言うとだな、あいつらの家は、ん?」
突然話を切った奏が取り出したのはJSPの情報端末MEGだ。
マナーモードになっていたのか、静かに振動している。
「ごめん不破から電話。……柚留木だ。」
そう言って電話に出るが、五秒くらいでよろしくと言って電話を切ってしまう。
「短いですね。」
「ああ。
みんなちょっと話があるから集まってくれ。」
栞と小鳩はトコトコと奏に近づいてくるが、残る二人は相変わらずである。
「おら!いいかげん捕まって俺のサンドバッグになれや~!」
「いやで~す!機動戦なら僕の方が上手いですからね。出来るのなら捕まえみ。ほら!ほら!」
二人して飽きずに部屋じゅうを走り回っている。
「あの二人仲いいですよね。」
彩音が微妙な表情を浮かべたまま振り返ったら、奏が顔に青筋を浮かべている。
「彩音。わかっていると思うけどコレをこんなことに使っちゃだめだからね。
良い子はまねしちゃ駄目だからね。」
(この人、完全に目がすわってる。)
彩音を恐れおののかせながら、奏はホルスターから再びP226を取り出す。
さらに空砲弾が入ったマガジンを装填して、コッキングをする。
この動作をしたらやることは一つ。
パッ~ン……カンカララン
奏が天井に向けて放った空砲の音で全員が押し黙る。
普段は気づかない、空薬莢が床に落ちた音がやけに大きく聞こえる。
「そこの二人。ちょこっとここに座ってくれるかな?」
そう言った奏の目からは光が消えていた。
二人が奏に説教を受けること約十分。
「あ、喋りすぎてしまった。二度目だけどみんな集まって。」
「「は~い。」」
「お前らはそのまま正座してろ。」
「「はい…。」」
ちなみに元気よく返事をした弓弦と刃弦の二人は説教の時から正座させられている。
「ようやく本題です。さっき予定をワイワイ決めたばっかりなんですが、急遽京都に旅行に行くことになりました。」
((((旅行!?))))
突然のワードに驚くメンバ一同であった。
第2章は京都!?彩音の戦いはまだ始まってすらない。