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クローズコンクリフト  作者: 弓雲
第一章 新生guilty silence
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8話 家の地下二階

自分で言うのもなんだけど、説明ばっか・・・。

 全員でぞろぞろと移動しているのは、さっきいたリビングやダイニングの二階下。

 つまり地下二階だった。靴を履いてから階段を下り、コンクリート製の廊下を進んで、鉄の頑丈そうな扉の前に来た。

 この扉にも玄関のように厳重なロックがかけられている。


「ここが僕らのトレーニングルームで~す。」


 そう言って奏が扉を開けた先は、だいたい10m×25m位の広い部屋だった。

 しかしだいぶ普通の部屋とは違っていた。

 10m×5mの位置で五つのブロックに分けられていて、手前からアスファルト、コンクリート、土、大理石、深めの草むらという風に並んでいる。

 あとは、ブロックごとに一つ、壁にモニターと天井にプロジェクターがついている。


「バーチャルタイプの中・近距離戦闘訓練室。

 訓練したい地形の場所のモニターで状況を設定すると、モニターの反対側の壁に設定した敵や背景が映し出されるんだ。」


 弓弦が説明をしている間に、奏がMEGを操作するとシステムの電源が入り、壁にJSPのロゴが映し出される。

 そこで彩音はふと疑問に思ったことがあった。


「いくら部屋が広くて使うのがゴム弾だからと言って、閉鎖空間で弾を撃ったら跳弾の危険がありませんか?」

「お!彩音は頭がいいな。僕なんて実際撃ってから気づいたからな。

 あの時は危なかったわ~。ハハハ。」


 奏は楽しそうに笑いながら歩いて行って、入り口とは違う扉から台車を引っ張り出してきた。

 その台車には金属製のハードケースや折り畳みの机などが載っている。

 それを押しながら戻ってきた奏はハードケースを持ち上げる。


「弓弦、刃弦、この机組み立てといて。

 で、跳弾を防ぐためにこれを使うんだ。」


 そう言って開けられたケースの中にはハンドガンのアンダーレールにつけられるサイズのレーザーモジュールのようなものが入っていた。

 レーザーモジュールとは電源を入れると赤いレーザー光が出て、銃に装着すると着弾点に赤い点が映るあれだ。

 サイトを見る必要がなくなる為素早い照準からの射撃を可能にする。

 照準以外にも、火力支援目的に行われる航空作戦、いわゆる近接航空支援の際の攻撃目標のマーキング(攻撃する場所を指し示す)にも使えるため、世界の軍隊に配備されている。


「レーザーモジュールですか?」

「チッ!チッ!チッ!違うんだな~。」


 奏が指を振って舌を鳴らす。

 その時小鳩の方から小声で


「コイツ、うぜ~な。」


 と聞こえたが、彩音は気づかなかったことにする。

 そんなことを考えているうちに奏がケースから何かわからないモジュールの入った段を取り出すと、下からもう一つの段が顔を出した。

 そこには9mm para(9×19mmParabellum弾)や45.ACP弾のケースが入っていた。


「あの、弾は入ってますけど……。」

「この中に入ってるのは空砲なんだ。」

「???」


 彩音がかわいらしく首を傾げている。


「このモジュールは空砲の炸裂によって生まれる銃の反動(リコイル)を感知して、不可視光である赤外線レーザーを出す。

 レーザーのポイントと映像との位置関係をカメラで取り込み、ヒット判定をする。

 あと、攻撃側のヒット判定もあるから、実戦通りの動きをしないと被弾して、最後に成績をもとにコンピューターが出す総合得点が大幅に下がるから注意するように。」

「わかりました。それで、さっき言ってた『あれ』って何のことなんですか?」


 さっき言ってた『あれ』とはまだみんなでダイニングにいるときに、奏がみんなに向けて言っていた『あれ』である。


「ああ、そうだった。はいみなさん整列。……では、只今より第十九回ハンドガン技能大会を始めます。わ~い!」

「「「「わーい。」」」」


 彩音は奏に棒読みで歓声を返すメンバーに苦笑いしか出て来ない。


「一位には賞品、ドベは罰ゲームね。」


 付け足された奏の言葉によって彩音以外の全員が顔をこわばらせる。

 いつもは完全に無表情な小鳩でさえ眉間にしわが寄っている。

 あまりの状況にとてつもなく不安になった彩音は、奏が壁のモニターで何かを設定しているうちに隣にいた弓弦になぜみんながこうなったか聞いてみると、


「一位は決まってる(・・・・・)からどうでもいいんだけど、ドベの罰ゲームが毎回えげつないんだよ。

 例えばここの薬莢拾いとか、庭の芝刈りとか。砂の場所の薬莢を拾うのは大変だし、庭は広いから、終わらせるのに半日かかる。」


 は~。とため息をつく一同。


「なるほど……。」


 彩音は再び苦笑い。そこに奏が口笛を吹きながら戻ってくる。

 彼だけは通常運転のようだ。


「弾込め競争で順番決めるから、みんなマガジンからノックポイント弾抜いて。」


 各々返事してから、先ほど弓弦たちが組み立てた机でマガジンから弾を抜いてく。

 全員が終わったのを確認して、奏がスタートの合図をする。


「マガジンの本数は四本、マガジン一本に入れる弾数は十五発で統一しよう。あ、栞は十三発しか入らないか。ま、ハンデという事で。じゃあいいかな?……はじめ!」


(ハンデ?)

 彩音はそこに引っかかったが、すぐに忘れていた。


 弾込め競争の結果、栞→小鳩→弓弦→刃弦→彩音→奏の順番になった。

 栞は、彩音に『わざとですよね、それ!?』とツッコませるくらいのどじっ子っぷりだった。

 手元に集中しすぎて、弾の載っているプレートを肘でひっくり返したり、変な角度で弾を込めようとしたのか、マガジン内部のスプリングに押し返された弾が顔にあたって悲鳴を上げたりなどなど。

 ハンデがあってもダントツ最下位。

 先ほど思った『すごい人?』は撤回すべきかもしれないと彩音は思った。


 小鳩はなんだか弾をジロジロと見て、選別してから、とても丁寧に弾を込めていた。本人いわく、

「順番なんて関係ありません。あたればいいんです。」

 正論だと彩音は思う。

 後の四人は、めいっぱいの速さで弾込めをした為そこまで差はなかった。



 一番になった栞は置いてあったバックからFN ブローニング・ハイパワーDAをぬるりと引き抜いた。

 ダブルカラム(弾が二列になって装填されるため、装弾数が多い)のわりに細いグリップを持ち、手が小さい人でもしっかり握れるため、完成から七十年以上経った今でも人気がある銃だ。

 栞はブローニング・ハイパワーを右手に持ち、スタートの位置に立つ。

 その瞬間さっきまでののおっとりした雰囲気がすっと消えていくのを感じた斎藤彩音であった。


細かいところですけどとても言いたいので・・・

FN ブローニング・ハイパワーDA

のDAはダブルアクションのことで、ハンマーを起こさなくてもそのまま撃てる機構のことです。

DAの方が色々お得です!

以上!

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