少年とヒーロー
薄暗い夜、子供は2人で山に行く。
少年と少女だ。
山は近所で一番高く道が整備されているへび山と呼ばれる山。
高いと言っても子供が遊ぶために往復できる程度の距離。
山と言うものは基本的にあまり人が立ち寄らず所により危険な生物や生息していたり、上下の激しく木々がそこ等かしこに広がっていて大人の人たちは行ってはいけないと常日頃から言われている。
彼らの住む土地は都会とは言えないが多くの人が住み道はすべてアスファルトになっていて交通量も少なくない。
さらに周囲の家々はほとんどが一軒家である。
生活するのに困るような貧乏でも無ければ、大きな土地を持っているような富豪でも無い。
多くの家庭が少し金のある裕福上に中々に心配性である。
彼らの親もそんな心配性な親である。
しかし彼らにそんな事は関係いなく心から仲間と呼べる友とのはじめての冒険であった。
「真っ暗な空だな・・・」
頬の腫れが治りかけた少年が言う。
「真っ暗だけどすごく落ち着くよな」
少年の様な口調の少女が言う。暗い空とは反対に彼らの心は晴れやかだった。
授業では精霊と人の歴史とも言えない陳腐なお話が教室には響いている。
少年は思う。
退屈だ。
「(こんな事、いくら小2でも低レベルすぎるでしょ。)」
8歳そう呼ぶには海斗の頭は些か出来すぎた。
彼には親がいなかった。
両親は刺し殺されたしたらしい。らしいと言うのは彼が両親の事を欠片も覚えていないから。
刀傷で死んだ夫婦の家には特に荒された跡はなかった。
遠山家、彼が暮らす家だ。
爺、婆、から従兄弟の親子の大家族である。
従兄弟の親は自分を実の子と変わらぬ様にやさしく接してくれた。
だからと言って同じ愛情が来た訳ではなかった。
「お父さん、離さないでよ」
一つ上の敦は2輪の自転車に乗っていた。
僕は晴香と砂遊びをしていてわざとらしく砂山を崩した。
「おっと」
「ぶぅええええええん」
晴香はいつも泣いていた。
というより自分が泣かせていた。
従兄妹の敦と晴香が嫌いだった。
憎い訳では無い。
ただ無性に羨ましかった。
自分を一番に考えくれる人が欲しかった。
伯父さんに父親になって欲しい訳じゃない。
それは自分の気持ちにきずいた瞬間だ。
それから従兄妹とはとても仲良くなり、敦とは近所のみんなとサッカーをするようになっていた。
そんなある日、海斗は何時ものように遅行ギリギリで登校する。
学校の勉強は嫌いだ。
今の時代はインターネットで大抵のことは調べられる。
彼かネットをとても有効に使用していた。
学校で習うような魔術は彼は小六レベルまで使用できる。
「人と精霊は大昔は共に生活していました。」
自分にとって当たり前の知識を男の教師は言う。
「(目に見えない精霊とどうやって一緒に生活すんだよ。)」
教師に心の中で突っ込む。
精霊は人の目には見えない。
だが精霊を使役できない海斗にはどうでも良いことだ。
海斗は精霊を行使できない。
幾ら精霊魔術の術式を組んでも精霊が反応せず魔力が術式から霧散して流れてしまうのだ。
夏休み手前の日、授業で簡易精霊魔術で氷を作りかき氷を作る実習が出てきた。
自分は授業中最後の最後まで精霊魔術を行使しなかった。
「もうみんな氷は作れたかな?」
先生が周囲を見回す。
海斗は酷く焦っていた。
普段は自分が周囲を馬鹿にしていた。
術式は最初から先生が書いており後は唯魔力を流すだけ。
氷を作れない者など出るはずもない授業だった。
「先生ぃー天才遠山がまだやってないよぉー。」
うるさい馬鹿がばらした。
「うそー遠山できないの天才なのにぃ。」
便乗する奴らも出てきた。
「どうした遠山かき氷いらないのか?」
先生が助け舟を出してくれたそう思った。
「おなか冷えるから要らない。」
誤魔化せた。これでやらなくて済む。
「なら、先生が食べてやるぞー」
期待を裏切る声だった。
「いやです要りません。」
意味が分からなかった。頭が緊張で混乱していた。
「でもな、勉強なんだ。すこーし魔力流すだけだから、なっ。」
やさしいく責めてくる言葉。怒られているようだった。泣きたくなったが泣
かなかった。泣いて出来なかったなさらに馬鹿にされる。
「(なんだよその目は。)」
先生を含め教室全体の奴らを目だけを動かし見回す。
「なんだよできないのかー」
「みんなやったんだぞ遠山くんもやれよー」
「やーれ、やーれ」
だんだんと責める声の数が増える。
終わる事無く続くと思ったコール。
「はーい、はーい皆の氷が融ける前にかき氷に削っちゃおう。」
突然、先生が機器を持ち声を上げる。
「遠山がまだだよー」
いい加減にしろよ、と声に出さず叫ぶ。
「でもかき氷食べたいだろう?早くしないと減っちゃうよー」
生徒を追い立てる。
生徒が削る隙に先生は自分に近ずく。
「なんだよできてるじゃん。」
無駄に大きな声で言う。
そういうと見せるように機器まで運んで行った。
嘘だ自分は何もしてない。なのに器には氷が乗っている。
先生だ。きっと先生がやったんだ。
「先生、うちが持ってく。」
そう言って短パン少女が持ってきた。
「ほら食べていいぞー」
そう言いながらレモンシロップのかかったかき氷を差し出す。
無言で受け取る自分。
「出来るならもっと早くしろよな。」
そう言って彼女は皆の器を回収しに戻って行った。
そのかき氷はなぜか熱かった体をやさしく冷やしていった。
初投稿で突拍子もなく書きたかったので書きました。
構成はできていますが、文を書く暇がありません。
連載は続かないかもしれませんがよろしくお願いします。