ヤサグレ聖女、侍女さんと女子トークする
「はい、どうぞ」
侍女のメリーさんが香り高い紅茶に焼き菓子を添えて出してくれます。
「ありがとう。いただきます」
はぁぁ〜。おいしい。
「やっぱり、メリーさんの紅茶最高!マドレーヌもおいしい!」
一時は一人だけ飲み食いしているのが心苦しかった時もありましたが、慣れるもの。
今はもうありがたく、いただいております。でも、もちろん、近習の皆さんの分のお菓子は用意しておりますよ。さすがにそこまで面の皮は厚くありません。みんなは後で食べるからお先にいただきます、と思わなきゃ、出来ないって。
「明日から遠征ですからね。今はリラックスなさってください」
「でも……メリーさんも同行してくれるんでしょ。いいの?けっこう大変だと思うよ」
「当たり前です。お任せ下さい。神子さまにご予定管理ができますか?お茶入れられますか?服のお手入れはできますか?ちゃんと整理整頓できますか?」
「まぁ、確かにメリーさんがいないと困ることはあるけどさぁ」
「ですから、いいんです。お気遣いなく、ドンと任せて下さいまし」
「じゃあ、お言葉に甘えます。どうもありがとうございます。心強いです」
メリーさんと遠征中も女子トークできるしね。思いっきりおしゃべりするのってすっごい楽しいんだよね。
メリーさんは聖女の侍女としての数々の試験と面接をくぐり抜け、合格した優秀なお方です。貴族が通う学園でも優秀な成績を収めていたそうです。でも、ほら、この世界は女性が働くところって限られてるから。
わたしがなんにも知らないから、話し相手でもあり、一般常識から貴族社会での付き合い、歴史などの必要知識、時に代筆、社交の際の準備やらもろもろを一手に対応してくれるスーパーウーマンでございます。
伯爵家の令嬢ではあるけれど、貧乏貴族で使用人もろくにいなかったので、家事とかも自分でやってたんだって。だから、侍女のお仕事をするのもちょっと楽なんです、と笑って教えてくれました。
『聖女さまの侍女に選んでいただけて本当に幸せです!』なんていっていただくと、こちらは恐縮してしまいます。そして、出来る人には働いてもらわねば!ということで徐々に秘書的業務もやってもらうことにしました。密かに、そのうちに聖女付きの秘書として、女性登用ルートの開拓として、王国の役人的な何かにねじ込めないかと考えております。本人が希望したらだけどね。
だってさ、優秀な貴族もいるけど、ほーんと顔だけしか取り柄がない奴が貴族ってだけで幅きかせてるからね。顔だけよくたって、性格悪いわ、頭悪いわ、いいとこなし。かっこわるいっつーの。
メリーさんの方が何千倍も使える人なのよ。性格もいいし、比べるまでもない。
というものの、固いことばっかり考えているわけではなく、女子トークやりますよ。
そして、女子トークといえば、恋バナ。
ここの国の王族は美形だね、という話から、どんな人が好みか、とか女子トーク全開。
どこも変わらないなぁ。わたしが、元の世界だとお笑い芸人とかもモテてたよ、というと、メリーさんはびっくり。そりゃ、そうか。
「でも、笑わせてくれる男ってよくない?」というと、「確かに」といって、ちらっとエクセルを見たのには、笑った。微妙に失礼じゃないかね。メリーさん。
エクセルが無表情ながら、ちょっとピクッとしてたから。元騎士団副団長には女子トークきついかもなぁ。だが、悪いが、止められん。まぁ、許してくれ。
そして、大丈夫。元の世界でもイケメンは人気があります。




