その7
その7
以前「玉璽」を拾った近所の山があったが、そこでまた手に入れてしまった。 ちょっと道なき道を行こうと草むらを歩いていると何やら光っているのが見えたのでそちらの方に向かうと当たり前だがだんだん光が強くなってくる。 近づくにつれピカピカっていうかテカテカっていうか光っている。
発光源迄来ると目がチカチカしてきた。地面には20cm四方の箱が一定の間隔で光っているけど目を細めないと本当にチカチカする。…「?」と各面に書かれているようだ……!!!
こ、これは?!
「?ブロ○ク(伏せる必要があるのか?まあ念のため)」を手に入れた!
うわっ、眩しいっていうか頭痛くなって来そう。
上着でブロックをくるんで帰ったので少しはましだった。それでも家に帰った時ブロックに布団を掛けると目の疲れをとるため軽く眠った。 目覚めて隣りを見るとブロックが布団を掛けていてもぼんやり光っているのが分かった。そりゃ近くにいたら目も痛くなる。
そうだなサングラスを着けて見ればましになるかもしれない。
むか~し買ったのを探し出し着けるとゆっくり布団をめくる。やはり裸眼と比べると随分ましだ。?なブロックは永久機関が有るんじゃないかと言うぐらいひっきりなしに光ってる感じだ。
恐る恐る触るが危険はなさそうだ。調べてみたが開けるような隙間もスイッチも無い。
やはりパンチか頭突きとか亀の甲羅をぶつけるとかの何らかの衝撃を与えないと中身が出て来ないのだろう。赤い帽子のオーバーオールを着たヒゲの人がいつもやっている。 問題は中身が何かという事だ。最低でもどこに使えるか分からないコインが一枚……いや最悪があった。毒きのこだ。おいおい、もしそうなら下手に触ったらお陀仏じゃないか!しかもあれ追っては来ないにしろ動いたよな…。
えーでもマイナスアイテムってアレぐらいだったよな…。
……とするときのこ、花、星、一人増えるきのこ、コインいっぱい…ぐらいだよな。 それぞれの場合を検討してみよう。
きのこ…まず生で喰うのか?…そこらへんも後にしよう。身体が倍になるとこの家住めない…。その時はダメージ受けるか…。しかしあのジャンプ力は魅力的だ。まあ、ノーマルでも相当のジャンプ力あのヒゲさんは持ってるけど。
花は…手から火の玉が出るのか。日常じゃ使えない。
星。そうだ。閉め切っとかないと飛んで出ていっちゃうな。…無敵か。突っ走ってみるか。あらゆる物をはね飛ばしていける。しかし無敵と言う名の落とし穴がある。 正に落とし穴で命を落としてしまう。まあ日常に落とし穴なんか見ないけど。 一人増えるきのこ…どうなるんだ?
コイン…無難。記念品だな。金だったら売りにいけるのに。
まあどれも害はなさそうだ。それじゃあブロックに衝撃を!って軽く叩いたが反応が無い。やっぱ衝撃だもんな。そこそこ強く叩かないと中身が出ないか?
よし!下から叩こう!このスタイルでないと!
?なブロックをバスケットボール開始のように垂直にほおり投げると下から勢いよく殴りつけた!!あっジャックと豆の木みたいなのもあった!一瞬脳裏に浮かんだが時すでに遅し妙に鈍い音がして中身が出た!花だ!良かった家を壊さないですみそうだ。
「ファイアーフラ○ー」を手に入れた!
花はブロックごと落ちたが起き上がりこぼしのように立ち直りブロックの上に咲いている。まるでど根性○○のようにたくましい。 いや植物は凄いね。フラワーはブロックの養分?をすいとったかのように輝いている。逆にブロックは静まり返って冷たいコンクリートみたいになってしまった。 フラワーの輝きは力強いが優しい。近づくと熱を感じ触ろうとした時はっと気付いた。
ファイアー○リオになってしまう。まあ細かい摂取の仕方は分からないが接触による能力摂取の可能性もある。その辺は慎重にならなければ。幸いブロックで持ち運び出来るので良かった。ちなみに大きさだが、デカイ。例えて言うなら小型の扇風機だ。 夜が来ていた。普段ならテレビを見るかインターネットを使って過ごしていたが部屋の明かりを消し極力光が入らないよう努力していた。何故ってフラワーの輝きに魅せられたからである。手から火の玉なんて出せなくてもいい!
観ているだけで良いのだ!しかしこのフラワーはどう育てればいいのだろう? 水を遣ってもいいのか?まさか火を遣るのか? それともこのまま放っておいても大丈夫なのか?それなら助かるけど。
それから幾日が経過したがまだフラワーは元気そうだ。ブロックが何らかの肥料になっているのか?
試しに水を少しかけて遣ると嬉しそうに光って見えた。良かった。
実は出来るだけ窓際に出しておきたいのだが誰かが持って行ってしまいそうで部屋の中に置きがちなのだ。多分、地下とかでも咲いたりするから大丈夫だろうけど。
そんなある日事件は起こった。それは天気が素晴らしく良かったので窓際にフラワーを置いて外出した時の事だ! 油断大敵とはよく言ったもので油断していた。帰った時ブロックごとフラワーは無くなっていた。
がく然としながらも近所に怪しい奴を見なかったか聞いて回ったがそういった奴を見た人はいなかった。 諦めて帰ろうとした時目をぱちくりさせた男が話しかけてきた。
「俺見たんだよ。赤い帽子と緑の帽子の人間がピョンピョン跳ね回っているのを。で、一人が一瞬姿が消えたかと思ったら白い帽子になってたんだよ。あんた信じてくれる?俺この話どっかに売り込むつもりなんだよ。俺より先に言うなよ!」
だったら真っ先に売り込みに行けばいいじゃないか!
……ちょっと待て!ちょっと待て!それって、キツネかタヌキか!違うボケ過ぎた!
ノーマルの方かか?それともジャンプ力あって止まりにくい方か!?
背が低くて愛嬌のある方か?背が高くてお人好しの方か?
「何が?」
男にそう言われて自分の説明不足に気付いた。
どっちが白くなったのか?つまりフラワーをとったのはどっちなんだ!(しまった!あの頃は緑の方ってゲーム中は白かった。)…やっぱ接触による能力摂取か?…こんな時に思う事じゃなかった…。
「そんなの覚えてないや」何故肝心な事を忘れるんだ!この男デタラメ言ってるん…!そうだ!こんな時こそ!
男を待たせると「心見の窓」
を急いで取りに帰り直ぐ様戻る。
結果、男の言う事に嘘は無いようだった。
男は怪訝そうにこちらを見ていたが今の話を売り込まないように念を押し去って行った。 頭に血が昇っていた。そうだよな。フラワーはあの二人の必需品だ。多分家はステージの一部だったんだ。それなら仕方ない…。まあ黄色い奴か紫の奴だったらなんとなく許せないがあの二人なら有効活用してくれてるはずだ。
ただやはりフラワーとの突然の別れは寂しい限りだ。花なんか今まで夏休みの朝顔の観察日記をつけたぐらいだったのに。 それから2、3日が過ぎた午前中。小包が届いた。龍を彫刻を持ち手に施した「玉璽」を使って配達の人を驚かせてやろうと思ったがそんな勇気もなく受け取りの判子を押す。
何だろう?実家からか?それともお中元?お歳暮?怪奇祝い…違う。それを言うなら快気祝いだ。
結構大きな箱だ。箱を開けるとドカーン!なんて事無いよな。
んっ?何だこのマーク?赤い帽子に「M」?消えかかってはっきりしないがそう読み取れる。 これはもしかして例の赤い方のヒゲの人からか?
勝手にフラワーを持っていったお詫びかな?それしか考えられない。
じゃあ、安心して開けよう。あれ、これは
「?ブロ○ク」を手に入れた!
しかし前のと違って一回り小さい。ただ8個も入っていた。その前にフタをしてサングラス、サングラスと。
では早速ブロックを真上に投げて叩く!痛いんだよな。
……えっコイン?呆気に取られながらもブロックがまだ変化が無い事に気付きすかさず叩きまくった。
勿論出てくるのはコインだけだったが追加で5、6枚出てきた。
大きいのを予想していたが5cmぐらいの金色?っぽい物だった。何かマークが描いてあるがよく分からない。
ブロックはコインを出し切ると無表情に変わり転がっている。
…残り7個。全部叩くか、1個でも残しておくか。 …全部叩こう!
…叩いた。残り1個を残して出てきたのはコイン99枚……。
素直になんじゃこりゃと思った。
偶然なのか意図的なのか、だったら詰め合わせで売ってるのか?やはりフラワーは過ぎた代物だからこれで我慢しろと言う事なのか? いや見ているだけなら良いけど手にした時危険だからだな、きっと。 で、最後の1個を投げて叩く!軽快な金属音がしたかと思うとそれにかぶせるかのように不思議な音がした。それに反応して上を見ると……
「1UP」した?!
確かに白いドットで書かれた文字が浮かんで消えた……。
んっ?足元が寂しい。10枚ごとに重ねて置いてあったコインが全部無くなっている。あるのは?も何も書かれていないブロックだけだ。そっか100枚だったらそうだよな。だけどそれをどう試せばいいんだ??
しかし手が痛い…ボクシンググローブでも買っときゃ良かった。
…さすが1UPしたかを試す事はしてない。結局残ったのはブロックだけになった。
でも手頃な大きさなのでちょっとした台にしたりオブジェとして使っている。