短編のつもりで書いてました。
その3
近くに山がある。ハイキングやピクニックにうってつけで休日ともなると家族連れや団体で賑わっている。
何故そんな事を言い出したかのか。実は手に入れた……。
日頃の運動不足と気晴らしついでに登っていた。十分程するとちょっとした広場に出る。川がゆるやかに流れ、近くで鳥のさえずりが聞こえなんとも心地よい。
浅い川の岩場を調子に乗って跳んでいるとなんと滑ってずぶ濡れに…。
だが川の中の右手が何か握っている。恐る恐る右手を上げると10cm四方の物を持っていた。
「玉璽」を手に入れた!
中国の皇帝が持つと言う日本で言えば三種の神器みたいなもんだ。テレビ、洗濯機、冷蔵庫………だっけ?電子レンジ?これは新・三種の神器の方か?クーラー?これは3Cか?
アレだ!草薙の剣、勾玉、ヤタの鏡!
日本には神器が多すぎる。
何時もながら話がそれた。
と、言う事は皇帝名乗って良いのか?
……ブルッ!ずぶ濡れのままだ。早く帰ろう。
帰り、道行く人に気付かれはしないかと心配したが誰も声をかけて来る人いなかった。
さて、どうしよう?皇帝を僭称した所で今の世の中誰が付いて来るのか?まあこの玉璽に憑いている歴代皇帝ぐらいだろう。上手い事言った。っていうか言いたかった。 やっぱネット配信か?世界に向けて発信するには今やこれに限る。
いや、ここは冷静にならねば。先ずは実績がなければ誰も認めてくれない。
そうだ。『三國志』の中にこんな話がある。後に呉を建国する孫権の兄である孫策と言う人物がいる。
小覇王とまで呼ばれるが父孫堅亡き後苦労した人なのである。
その孫策が父孫堅の見つけ密かに持っていたという玉璽をかたにその頃世話になっていた袁術に兵を借りるのだ(元々は孫堅の兵らしいが)。
何とか千かニ千の兵を借りた孫策は破竹の勢いで勝ち進み軍勢を増やし中国南東部に地盤を固めたのだ。 しかしながら孫策は暗殺されてしまい弟の孫権が継ぐのである。そして三國志最大の見せ場「赤壁の戦い」へと向かうのである。
つまり、兵を借りよう。 ここは日本。と、なれば自衛隊を置いて他には無い。陸、海、空、それぞれ千人で計三千人。これぐらい貸してくれるんじゃないか?時代や国が違うと言われると困るが玉璽である。 国家反逆罪になるのか?まあ兵だけ借りても島国だから空母とか輸送機とか必要だな。戦車に潜水艦も欲しいな。
…そうは言っても一番の問題は攻める事とか考えて無いんだな…。やっぱ平和がいいよね。
玉璽ってハンコだから無理して宅配便用に使うか? だめだ、これって何彫ってるか分からない。まあ名字彫っててもデカ過ぎてはみ出すのは必至だけど。 まあ、インパクトあるし玄関先にでも置いておこうか。