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デスゲームに巻き込まれたのでさっさと死ぬことにした  作者: 今日この頃


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9.全体回復は回復キャラには必須だよな



すごい勢いで森を駆け抜けたクマはあっという間にキャンプに到着した。


キャンプには多くの負傷者がおり傷の手当などを受けているようだった。

王女はクマから飛び降りるとキャンプで指揮をとっていた屈強な男のもとへと駆け寄った。


「リッター!」


「姫?!」


そのまま王女はリッターと呼んだ巨漢に抱き着いた。


「よかった……ッ。最後に見たときに血まみれで倒れていたからもうダメかと思っていました……ッ」


「俺はこのとおり無事です。すべてはソウルイーターの気を引いてくださった姫のおかげです。本当にありがとうございます。ですが、もう二度とこのようなことはしないでください。俺の心臓が持ちません」


「ごめんなさい……。あの時はそれが最善の選択だと思ったのです……」


「リッター様!あまり姫様を責めないでください!姫様は私たちを想って行動したのです!」


「別に責めてはいない。ただ、姫にあまり自分を犠牲にしてほしくないだけだ。それよりリッター、後先考えずに姫の後を追っていったそうだな。本来なら、動けるお前が体制を整えるために指揮をとらねばならなかったというのに。お前のその身勝手な行動が隊の生存率を大幅に下げるということしっかりと認識しろ」


「くッ。確かに今回の私の行動は愚かでした……」


「まあ、みんな無事だったんだから今回はいいんじゃないか。ところで、リッターさん?あんたかなりの怪我を負っているな。よかったら治療しようか?」


ディナとともに王女のもとに来ていたタダヒトはリッターのHP残量を見てそう声をかける。


「……お前は?」


リッターはタダヒトを認識すると警戒したようにこちらに鋭い視線を向ける。


「リッター!失礼ですよ!こちらは私とディナの命の恩人のタダヒトさんです。王城まで我々と行動を共にすることになりました」


「タダヒトさんは回復系の加護をお持ちなのです。その力で瀕死の私と姫様を治療してくださったんですよ」


「……そうだったのか。失礼な態度を取り申し訳ない。姫とディナを助けてくださり感謝する」


リッターは警戒を解くとこちらに頭を下げ謝罪した。


「いや、俺は当然のことをしたまでだ。それよりリッターさん、早く治療をしたほうがいい。その状態であまり動きすぎると死んでしまうぞ」


「え?リッター、あなたそんなに悪いのですか?ごめんなさいっ、そうとは気づかずに思いっきり抱き着いてしまいました。タダヒトさん!リッターの治療を頼んでもいいですか?」


「ああ、もちろんだ」


タダヒトはリッターに手をかざすとディナの時と同じように治療した。

リッターのHPが満タンになったところで治療をやめる。

治療が終わったタイミングでリッターは腕に巻いてあった包帯をほどきその下の腕を見る。


「これはすごいな……。傷がきれいに消えている。体の痛みもなくなった。タダヒト殿、感謝する」


「いや、気にするな。それにしてもこのキャンプの皆さんは大なり小なり怪我をしているみたいだな。リッターさん、皆を一か所に集めてもらえないか?重傷者はそのままで大丈夫だ。動けるやつだけ集めてくれ」


「……ああ、わかった。それと、俺のことは呼び捨てで構わない」


リッターはそれだけ言い残すと、頭に疑問符を抱きながらもケガを治したということで信頼を得ることができたからだろうか素直にタダヒトの言うことに従ってくれた。


「タダヒトさん?いったい何を……?」


「一人ひとり治療するのは時間がかかるからな。時短だ」


「時短……?」


王女と話しているうちに続々と怪我人が集まってきた。

皆、何故集められたかわからずに困惑している様子が伝わってくる。


「タダヒト殿、ご要望通り集めたぞ」


「ありがとう。じゃあ、始めるぞ」


「始めるとは……?」


疑問を口にしたリッターをおいてタダヒトは全体回復を展開する。

緑色の粒子が舞い、兵士たちの傷を癒していく。


「おお……ッ!」


「傷が消えたぞ!」


「痛くない……、奇跡だ!」


あちこちから声が上がる。

暗かったキャンプの雰囲気は元気になった兵士たちによって明るく変わった。


「これは……」


「タダヒトさん、全体回復もできたのですね!すごいです!本当にありがとうございます!」


「俺の力は回復に特化した力だからな。軽傷であれば一気に治療するのは簡単だ」


「いや、これはすごすぎですよ!タダヒトさん、あなたは私たちの救世主です!」


「大袈裟だ。それじゃあ、重傷者のところに案内してもらえるか?そっちも治療してしまおう」


「それは助かるが、そんなに一気に回復して大丈夫なのか?身体に相当負担をかけているのではないか?」


「残りの怪我人を治すくらいなら問題ない」


「それならいいのだが。もし体調が優れないのならすぐに教えてくれ」


「ああ、ありがとう」


心配そうにこちらを気遣ってくるリッターにタダヒトは少しやりすぎたかと反省した。


回復を頻発しすぎたか?

俺的にはいくら回復を使おうと全く問題ないんだが、もしかしたら加護には使用制限なんかがあるのかもしれないな。

今度からは気を付けて使おう。


タダヒトは重傷者の治療を済ませると疲れたので休める場所はないかとリッターに聞いた。

実際には全く疲れていなかったがこういうパフォーマンスが大切なのだ。


「やはり無理をさせていたのだな。我々のためにすまない。すぐに休める場所を準備しよう。少し待っていてもらえるか?」


そういうとリッターは近くにいた兵士に指示をしてタダヒト専用のテントを準備してくれた。


「急ごしらえで申し訳ないがこれでよいだろうか」


「ああ、ありがとう。だが、俺一人のためにこんなに立派なテントをいいのか?」


「もちろんですよ、タダヒトさん。あなたは私たちの救世主なのですから。むしろこの程度のことしかできず申し訳ありません……」


「王女様、気にしないでいい。これだけでも十分だ。ありがとう」


「お心遣いありがとうございます。それでは、これより食事の準備を行いますので出来上がるまでテントでゆっくりお休みください。


「食事まで用意してくれるのか。ありがとう。じゃあ、お言葉に甘えて俺は休ませてもらう」


「はい!ごゆっくりお休みください」



__________



テントに入ってすぐにタダヒトは結界(バリア)を展開する。

このバリアには防音効果もあるので盗聴防止のためだ。

テントの中は六畳半ほどの広さでベッドと机、椅子といったものだけが置いてあるシンプルなものだった。

しかし、ベッドの寝心地は良さそうで椅子はふかふか、机は高級感のあるもので一目で一級品とわかるものだった。


「ラグもふかふかだな。こんなにいいものを用意してくれるとは親切にしてみるものだな。一回ログアウトしてもいいけど、ログアウトすると呼ばれてもわからないからなぁ。やめておくか」


タダヒトはとりあえずベッドに寝ころびショップを見てみることにした。


「ショップは共有のはずだよな。貢献度もなんか結構稼げたし少し商品を見てみるか」


ショップを眺めているうちに結構時間がたっていたらしく食事の準備ができたという王女の声にショップ画面から視線を外した。




ありがとうございました。

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