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デスゲームに巻き込まれたのでさっさと死ぬことにした  作者: 今日この頃


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7.この人よく生きてるなぁ



木に寄りかかり微睡んでいた紅月は殺気を感じてすぐに体を横にずらした。

今まで自分がいた木に目を向けるとそこには深々とナイフが刺さっていた。


「貴様何者だ!今すぐ姫様から離れろ!」


ナイフが飛んできた方向を見るとそこには一人の男がいた。

男は怪我をしているようで今にも倒れそうなほどボロボロだった。

にもかかわらず、その瞳は強い意志を持ち今にもこちらを射殺さんとしている。

男が瀕死状態なのは男のHPを見れば一目瞭然でよくそんな状態で立っていられるなと感心する。

それほどこの男にとってこの女の子が大事な存在なんだと察せられた。


紅月は無害な人間であることをアピールするため、安心させるように口元に笑みを浮かべる。


「落ち着いてくれ。俺はこの子を保護しただけだ。危害は加えていない」


男の視線を少女のほうへと誘導し、少女が無事であることを示す。


「……ッ」


「信じられないか?俺は手を出さないからこっちに来て自分の目で確かめてみろ」


男は警戒しつつ距離を縮め、少女の傍に駆け寄った。


「姫様!ご無事ですか?!……ああっ、怪我もないし呼吸もしている!ご無事でよかった!本当に……ッ」


男は少女の無事を確かめるとその場に崩れ落ちるように蹲った。


「これで分かっただろ?俺は誓って手を出していない。それより、お前もかなりひどい怪我をしているだろ。治してやるからこっちに来い」


意識を保っているのもギリギリだろう?と声をかけると男ははっとしたようにこちらに目を向けた。


「回復系の”加護(・・)”をお持ちの方でしたか!先ほどは申し訳ありません!姫様を守らなくてはと気が動転しておりました……ッ。攻撃を仕掛けておいて図々しいお願いなのは理解しております!ですが、どうか怪我を治してはくださらないでしょうか。お礼はいたしますのでどうか、お願いいたします!」


「構わねぇよ。最初からそのつもりだったしな」


紅月はそんな必要はないがそれっぽく見えるように手をかざして回復をかけた。

武器は回復をかけるだけなら現れないようで武器に関して疑問を持たれることはなかった。


あの武器は特殊な形態だからな、何か突っ込まれる心配がなくて助かった。

この世界のことをまだ把握できていないうちから手の内をさらすのは避けたほうがいいだろう。

とりあえず、俺は回復しかできない非戦闘員という設定でいこう。


紅月はそう結論付け回復を終える。


「おお、ありがとうございます!こんなにあっさり怪我を治せるなんてあなたはとても強い”加護”を授かったのですね!」


ふむ、この世界では特殊な能力のことを”加護”と呼ぶのか。


「ああ。そういうお前も加護持ちなのか?」


「?当然でしょう。そうでなければこの瘴気の森に入れるわけないではないですか」


男はおかしなこと言いますねと笑う。


加護持ちは瘴気の影響を受けないということだろうか。

まあ、そう考えるのが妥当だろうな。


紅月のその考えの答えはすぐにわかった。


「でもそれだけ強い加護だとかなりつらい思いをしたでしょう?加護は我々を憐れんだ神が瘴気をある程度浴びても無事だったものにのみ授ける慈悲です。その強さは浴びた瘴気の量によって決まるものですから。それだけ強い加護を得ているってことはかなりの量の瘴気に侵されたということでしょう。浴びる量が多ければ多いほどその苦しみは強いものになりますからね」


さぞ、苦労したことでしょうと同情の目を向けられる。


そんな同情の目で見られても困るんだが……。

実際俺は加護なんて持っていないしそんな辛い思いもしていない。

まあ、オオカミには喰い殺されたけど。

でもこれで加護の仕組みがわかったな。

加護はある程度瘴気に耐えて生き延びたものにのみ授けられる、つまり加護持ちは瘴気耐性があるということで間違いないみたいだ。

俺は瘴気状態になるたびに状態異常を解除しているからその加護を授けられることはないだろうし、そもそも苦しい思いをしてまで力が欲しいとも思わない。

それに俺たちみたいに別世界の人間にもその加護とやらが授けられるとも限らないしな。

とりあえず、俺は回復系の加護持ちってことでいこう。


紅月は顔に影がかかるように俯きそれっぽい雰囲気を作り出す。


「まあな……、この力を得るときにはそれはもうつらい思いをした。思い出したくもない記憶だ……」


「……ッ。申し訳ありません、つらいことを思い出させてしまいましたね……」


暗い雰囲気になりかけていたところに紅月は明るく声をかける。


「いや、気にするな。その苦しみがあったからこそ今の俺があり、この力があると考えているからな」


「おお、そうですね!とても素敵な考え方です」


暗くなりかけた雰囲気が元に戻る。


これで加護についてこれ以上突っ込まれることもないだろう。

単純な奴で助かった。


「そういえば自己紹介がまだだったな。俺は……タダヒトだ。もう知っていると思うが回復系の加護持ちだ。改めてよろしくな」


とりあえずこのキャラの時はこの名前で通すことにした。


安直な名前だが考えるのも面倒だしまあいいだろう。


「はっ。そうでしたね!私としたことが申し訳ありません。私はディナと申します。戦闘系の加護持ちでこちらの姫様の護衛兼世話役をしております。こちらこそよろしくお願いいたします」


「……姫様。こっちのお嬢さんは王女様だったのか。俺はほぼ隠居生活みたいなもので世情には疎くてな。失礼だったらすまないんだが、なぜ王女なんて高貴な、しかもこんなに幼い子がこんな危険な場所にいるんだ?」


「……それは」


ディナが悲痛な顔をして言葉をつづけようとしたその時、寝ていた少女の身体が動き、目を覚ました。




ありがとうございました。

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