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デスゲームに巻き込まれたのでさっさと死ぬことにした  作者: 今日この頃


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5/18

5.まあ、死ぬよね



イデスによって強制的にゲームの世界に転送された紅月は右も左もわからない鬱蒼とした森の中に一人ぽつんと立っていた。


「イデスのやつ覚えてろよ……。

はあ、んでここはどこだ?なんか、すぐに猛獣に襲われて死にそうな雰囲気の森なんだが。てか、視界が悪いな。これ霧か?いや霧にしてはなんか変だな……」


紅月が周囲に漂うもやのようなものを観察しているとガサリと近くの茂みが揺れ、巨大なオオカミが姿を現した。


一瞬の間、紅月とオオカミは見つめ合う。


「……あー、はいはい。お約束ですよねー。秒速フラグ回収乙って感じだな」


紅月はオオカミから視線を外さずじりじりと後退し、一気に走り出した。


あー無理無理。これ絶対、すぐに追いつかれて喰い殺されるパターンだわ。

あんなでかいオオカミにただの人間、しかも丸腰がどうやって勝てってんだよ。

どう考えても無理だろ。だから外に出るのは嫌なんだ。外に出るとろくなことがねぇ。

えー、俺喰い殺されんの?生きたまま喰われるとか嫌すぎるんだけど。絶対痛いじゃん。

はあ、もう足音すぐ後ろなんだけど。俺の二回目の人生もこれで終わりか。短かったな……。


木々を利用してうまくオオカミを交わしていたり、蔦を使いオオカミの足を引っかけたりと時間稼ぎをしていたがそんな悪あがきも終わりを迎える。


木の隙間が大きく少し広い空間に差し掛かった時、悪あがきにイライラを募らせたオオカミが一気に加速して紅月の身体を捕らえた。


ガブリッと紅月の身体にオオカミの牙が突き刺さる。

オオカミはそのまま紅月の身体を地面に強く叩き付けると首の骨を折って仕留めた。


「がは……ッ」


口から吐血し、視界が赤く染まる。

そのまま意識は途切れた。


『メインスキル”死は訪れない”の発動条件が満たされました』

『派生スキル”現身の顕現”を獲得しました』

『派生スキル”憩いの場”が発動します。遺体が転送されます』



__________



意識が覚醒し、飛び起きる。


「……ッ!はぁはぁ。うぅ、牙が身体にめり込む感覚がまだ身体に残ってやがる……」


腹部に手を当て脂汗を流している紅月に呑気なイデスが声をかける。


「おうおう、お早いお帰りで。てか、死ぬの早すぎだろ。もう少し粘れよなー。にしてもおまえ、運悪いのな。転送先はランダム設定だけどだいたいのやつは安全な街中とかに転送されるのにおまえはよりにもよって猛獣がうじゃうじゃいる森の中に転送されるなんてな」


草といってイデスはケタケタ笑う。

そんなイデスに紅月は食って掛かる。


「草、じゃねぇよ!ふざけんな!今回もほぼ即死だったからよかったもののあのまま喰われてたらと考えるとトラウマどころじゃねぇわ!はあ、くそ!このままじゃ何度ここから出ても同じことの繰り返しだ。おい、次外に出る場合出るのはさっきと同じ場所か?」


「ああ、そうだぜ。お前が死んだ地点の場所になるな」


「はあ、やっぱりそうなるよな。そうだ、俺が死んだってことはスキルが発動して新しいスキルが増えているはずだよな」


紅月はステータス画面を開いた。


__________


名前:夜光(やこう) 紅月(こうげつ)

性別:男

スキル:メインスキル”死は訪れない”

     ・派生スキル”憩いの場”

     ・派生スキル”現身の顕現” new!


__________  



「よし、思った通りだ。これが戦える系のスキルだと助かるんだが……」


ステータス画面を確認すると思った通り新たにスキルが追加されていた。

紅月はすぐにそのスキルの詳細を確認する。


__________


派生スキル”現身の顕現” Lv1

  自分の代わりとなって戦う依り代を形成するスキル。

  形成した依り代は主が操作することができる。

  依り代には特殊能力を付与することができる。

  依り代と主はスキルと固有能力以外のあらゆるものを共有する。

  一度死亡した依り代は二度と使うことができない。


レベルアップ条件:???


__________



「これは俺の代わりに戦うキャラを作って俺がそれを操作するってことか?なんかゲームみたいな仕様だな。……レベルアップ条件は不明か。そんなパターンもあるんだな」


「みたい、じゃなくてまんまおまえの考えるゲームと同じだぜ」


ほら見てみろよとイデスがある方向を指す。

紅月は促されるままイデスの指す方を見た。

そこには白い何もない空間にポツンと人一人が入るカプセル型の機器が置かれているという奇妙な光景があった。


「こ、これは……ッ!フルダイブ型のVR機器じゃねぇか!」


「おまえがスキルを確認してるときに現れてたぜ」


「まじかよ。え?てことは、これでキャラを作ると俺の代わりにゲームに参加してくれるってこと?つまり、俺はここから出る必要がなくなったってことだよな?神かよ」


「なんか、おまえに都合のいいスキルばかり発現するな。メインスキルが特殊なせいでバグったか?」


「細かいこと気にすんな!それよりさっそくキャラ作ってみようぜ」


俺はイデスが余計なことをしないうちにさっさとスキルを試してみることにした。


VR機器に近づくと閉じていた扉が開き、中に座れるようになった。

紅月はそこに座るとVR機器を操作してヘルメット部分をセットする。

扉が閉まりVR機器が起動する。

視界が明るくなり、キャラクター設定画面が表示された。


「おお!憧れてた光景のまんまだな。ゲームのキャラ作成って何回やってもワクワクするよな」


紅月はうきうきとした気分でキャラ作成を始めた。


「まずは性別だな。これは男一択だな。種族は選べないか……。年齢は20代半ばくらいにしとくか。キャラ自体は目立たないようにどこにでもいそうな感じに仕上げるか」


紅月は慣れた手つきでキャラの設定を決めていくとそこには人ごみに入ると埋没するようなザ・モブ顔の男がいた。


「よし、キャラ自体はこれでいいだろ。イケメンとかにしたらいろいろ面倒くさくなりそうだからな。これで確定、と。次は職業か。これがスキル説明にあった特殊能力の付与にあたるんだろうな」


紅月は選択画面に表示された職業の選択肢のうち迷うことなくヒーラーを選ぶ。


「やっぱヒーラーだよな。痛いの嫌だし。怪我してもすぐに治せるからな。これたぶん感覚共有型だからキャラが怪我したら俺も怪我するパターンだろうし」


ヒーラーを選択するとヒーラーにも種類があり、紅月はその中で馴染みのない”機動士”というジョブに興味を引かれた。


「機動士ってなんだ?見たことも聞いたこともないジョブだな。なんか面白そうだしこれにしとこ。まあ、ヒーラーの一種らしいし大丈夫だろ」


キャラ作成が終わり、画面が切り替わる。


『これより現身があなたの代わりに第一世界へ転送されます。よろしいですか。はい/いいえ』


紅月は迷いなく”はい”を選択する。

視界が白に覆われ、意識が吸い込まれるような不思議な感覚に陥る。




ありがとうございました。

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