17.今後の方針が決まったらしい
ディナに連れられ会議室に入るとそこには現時点でのこの国の防衛、財務、法務のトップが揃っており、それぞれが自分の席に座り王女を待っていた。
その中には防衛のトップである遠征騎士団の団長としてリッターもおり、沈黙を保っていた。
王女が入室したのを確認すると同時にその場にいた全員が立ち上がり頭を下げる。
「お待ちしておりました、フィアナ様。この場に我々を招集したということはこれからはあなた様がこの国を率いてくださるという認識で間違いないでしょうか」
フィアナが席に座る間もなく、代表者して財務大臣であるフィナンツが開口一番にそう問いかける。
その目はフィアナの覚悟を見極めるかのようにその姿を見据える。
「はい、覚悟は決まっています。これより私がこの国の王として民を導くことを誓いましょう」
フィアナはフィナンツの目をまっすぐ見つめ、力強く答える。
フィナンツはその瞳に映る強い意志を確認すると、安心したようにその表情を緩めた。
「そのお言葉が聞けて安心いたしました。我々の心はあなたと共にあります。どうぞ我々をお使いください」
その言葉と共に再度深く頭を下げた。
フィアナはそれに感謝の言葉と共に軽く頷くと席に座るよう促す。
フィアナ自身も自分の席につき、そのすぐ左後ろにディナが控える。
タダヒトはフィアナから少し離れた後ろに使われていなかった椅子を運ぶとそこに座り、時折あくびを噛み殺しつつ、ぼーっと窓の外を見ていた。
全員が席に着いたことを確認すると会議が始まった。
「それではこれよりこの国のこれからの方針をお伝えいたします。私はこれまで遠征ばかりで国の内部のことには一切関係してきませんでした。ですので、内部の改革についてはフィナンツを中心にしていきたいと思っています。フィナンツ、お願いできますか」
「はい、お任せください」
フィアナはフィナンツから視線を法務大臣であるゲゼツに移す。
「ゲゼツ、あなたにはほぼ機能していなかった法の整理、これからの国に合った改正と共に貴族の粛清をお願いします。今回の事故で好き勝手やっていた者たちのほとんどは亡くなりましたが、すべてではありません。法の下裁きを下し、これを機に残りの者たちも一気に片づける予定です。より良い国のためにお願いします」
「かしこまりました」
「リッター、あなたは国の治安維持のため国の現状の確認をお願いします。支援の必要な場所に関しては私に報告をお願いします。また今回、召喚された勇者に関しても一任します」
「承知しました」
「フィナンツとゲゼツも執行する前に私が確認しますので案をまとめて提出をお願いします」
「「かしこまりました」」
「何か意見はありますか?」
今後の方針を一気に伝え終えたフィアナは臣下の意見を求め皆を見渡す。
「いえ、今のところはございません。これから政務を行う中で何かありましたらその都度ご報告させていただきます」
「私も同じようにさせていただきます」
「これから、いろいろと迷惑をかけると思いますがよろしくお願いします。それでは、すぐにでも取り掛かりましょう」
フィアナの解散の掛け声とともに慌ただしく動き出す。
今まで王侯貴族たちのせいで荒れた国を復興するにはいくら時間があっても足りないのだから。
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身体を揺さぶられる感覚によりタダヒトは心地よい微睡みから強制的に起こされた。
「タダヒトさん、起きてください!」
「うんん……。ああ、王女様か。会議は終わったのか?」
「はい、今後の方針について皆に共有し、それを主体に動くことになりました」
「そうか。んで、俺にやってもらいたいことがあるんだろ」
まるですべてわかっているかのようににやりと笑う。
「はい、タダヒトさんにはリッターと共に市井の状況確認をお願いしたいのです」
「いいぜ。ついでに命が危なそうなやつがいたら回復しといてやるよ」
はなからフィアナからどんな提案をされても断る気はなかったタダヒトはあっさりと承諾する。
「っ……!ありがとうございます!」
「まあ、でもそれもちょっとした時間稼ぎにしかならないことは肝に銘じておけよ」
「はい。私もできる限り早く民たちが安心して暮らせるように国を整えて見せます!」
「がんばれよ」
「はい!」
これからこの国は大きく動き出すだろう。
まだ多くの問題を抱えるこの国を正常に戻すには一体どれくらいの時間を要するのだろうか。
ありがとうございました。




