15.快適な部屋は最高だ
一仕事終えた俺は自分の客室に戻ってきていた。
「ふう、とりあえずこれでこの国の害虫は大体始末できただろ。にしても貢献度ってマイナスされることもあるんだな」
俺は玉座の間でのことを思い出す。
あれは俺が玉座の間に現れてからものの数分後、そこに存在したすべての生命が息絶えた時だった。
その声が頭の中に響いた。
『愚王とその追従者たちを討伐しました』
『貢献度5000を獲得しました』
『同郷の者殺しによりペナルティが発生しました』
『貢献度2000を喪失しました』
「ん、なんかマイナスされたな。うーん、同郷の者……。つまり、俺と同じ立場の者を殺すとダメなのか。俺は貢献度ある程度稼いでるから多少マイナスされても痛くないけど貢献度を稼げずにマイナスされた場合はどうなるんだろうな。まあ、俺には関係ないしいいか」
思考をそこで止めて元の部屋に帰るためにマップを開く。
「おっと、これも忘れずに回収しておかないとな」
そういいつつ、紅月は玉座の間に置いてあったワープ装置を回収し客室に戻った。
客室に戻ってすぐに紅月は”憩いの場”に入る。
何もない白い部屋に戻った紅月は適当な場所に寝ころぶと回収したワープ装置を眺める。
「それにしてもこれ便利だよな。高かったけど買ってよかったわ」
紅月がショップで購入したワープ装置は基本となるマップとワープ装置からなるアイテムだ。
マップとワープ装置、どちらが欠けてもこのアイテムは使用ができない。
基本となるマップは貢献度1000、ワープ装置は1つにつき貢献度400するためなかなか手が出ないアイテムとなっている。
ただ、それだけの価値がある性能をしている。
マップは単体でも自分の位置と自分以外の生命体の位置、周りの状況を確認できる。
そしてワープ装置は購入者にしか見えず、触れず、使えない。
だから誰にも気づかれることなくどこにでも仕込める。
「よう、ずいぶん殺しまくったな」
ワープ装置を眺めていた紅月の視界にイデスがひょいと入ってきた。
「俺は殺してねぇよ。あいつらが勝手に死んだだけだ。運がなかったんだろうなぁ」
他人事のように興味なさそうに答える。
「さあて、貢献度をまた稼いだしせっかくだしスキルをレベルアップするか」
話を切り替えるようにステータスを開き、”憩いの場”のスキル画面からレベルアップを選ぶ。
貢献度が1000消費されるとともに部屋の様式が劇的変化していく。
ぐにぐにと粘土をこねるように部屋がうごめきその動きが収まるとそこには黒を基調にした住み心地のよさそうな部屋が広がっていた。
座り心地のよさそうなふかふかのソファ、その前にはローテブルと大画面のテレビが並ぶ。
部屋の隅にはセミダブルのベッドが鎮座し、空きスペースにはVRカプセルが置かれている。
対面キッチンも完備され、冷蔵庫に電子レンジといった家電も並んでいる。
扉の先には洗面所と浴室もあり、この空間ですべてが完結していた。
「ふぅー!なにこれ最高じゃん!布団もふかふかでめっちゃ気持ちいい!」
ベッドに飛び込み、足をばたつかせる。
「うわぁ、もう俺ここから出たくねぇわ。一生ここで寝ていたい」
ベッドの上で目を瞑る紅月にイデスが声をかける。
「ここにずっといたいってお前、王女サマとかどうすんだよ。こんな中途半端に手を貸してあとは投げ出すってのか?」
「うーん、さすがにそれは無責任か。この世界くらいは最後まで手を貸すかぁ」
ベッドから起き上がりVRカプセルに向かう。
「仕方ないから行ってくるけど、留守番よろしくな。寂しいからって泣くなよ」
「泣くわけねぇだろ。さっさと行ってこい」
しっしとイデスが手を振って見送る。
カプセルに入ると意識がタダヒトに切り替わっていった。
タダヒトとして部屋に戻るとベッドに入り眠りについた。
ありがとうございました。




