11.うーん、この国もうすでに終わってね?
巨大な壁が周りを囲む中、巨大な門がタダヒトたちの前に佇んでいる。
門と壁の周りには堀があり水が通っており、このままでは門が開いても入ることはできない。
「特に問題なくここまで来れましたね。少しお待ちください。門の兵と連絡を取って今門を開けさせます」
その場で待つこと数分、ゆっくりと門が開いていく。
それと同時に橋が架かり門までの道ができた。
「さあ、行きましょう」
門の中に入るとそこには目を背けたくなる光景が広がっていた。
風が吹けば崩壊しそうなほどボロボロの建物が立ち並ぶ中、餓死しそうなほやせ細った人々がゾンビのように歩いている。
その目は虚ろで門から入ってきたタダヒトたちの姿がまるで見えていないかのように無反応だ。
だが、そんな者たちもこの中ではマシなほうなのかもしれない。
中には身動きが取れず壁に寄りかかり俯いているもの、力なく横たわりもう息はしていないものも多くいた。
衛生状態もかなり悪いようで悪臭が充満していた。
タダヒトは思わず、手で口元を覆う。
これはひどいな。
状況は思ったよりも悪そうだ。
残った国の一つがこの状態じゃ他の二か国もお察しだな。
人類が滅びるのも時間の問題か。
早めに問題を解決しないと手遅れになるな。
「タダヒトさんは俗世から離れて暮らしているとのことですが王国に入るのは初めてですか?」
「ああ、そうだな」
「……ひどい状態でしょう?ここは6層の結界に守られる王国の最下層にあたる部分です。一番結界が薄く、瘴気もあまり防げていないエリアです。……ここではもう人々は死を待つだけの状態となっています」
王女は拳をきつく握りしめる。
幼い王女にこの国の状態の責任を求めるのは苦だろう。
この国の責任を負うべきは国のトップで享楽を貪っている連中だ。
やはり害虫はさっさと駆除するべきだ。
しばらく歩いていくとまた門が見えてきた。
この門の周りにも高い壁が反り立っている。
最初の門と違うところといえば堀がないことだけだ。
先ほどと同じようにこの門担当の兵と連絡とり、門が開かれる。
「ここは下層になります」
そこは貧しそうな感じは変わらないが子供たちが元気に走り回っている姿が見て取れた。
そこから中層、上層、貴族層と王国の中心に近づくにつれ豊かになっていき見て取れる景色も一変した。
「最下層と貴族層ではまるで別の世界だな。これが本当に同じ国の姿なのか?」
思わずそんな言葉が口から洩れた。
「……あなたがそう思うのも無理はありません。実際、上層以上の人間はそれより下の層のことを把握していない状況です。上層以上の人々にとって世界は見えているものがすべてで世界が今にも滅びそうだなんて全く思っていないのですよ。今の豊かで平穏な暮らしが一生続くと思っているのです」
「それは何とも危機感のないことだな」
おそらくこれも反乱を起こせない要因の一つだろう。
反乱を起こそうにも現在この世界の状況を把握しているものは王女様と一緒に結界の外に遠征をしている一部の兵のみ。
それ以外のものは実際に外の景色を見たことがないため人づてに外のこと聞いても今の王国の状態と話に聞く王国とでは認識の差異が生まれいまいち状況を把握できないのだろう。
だから危機感が生まれず反乱の意思も起きない。
中層以下の人間は自分のことで手一杯で反乱を起こす余裕がない。
……ふむ、終わったなこの国。
しばらく歩くと今までの門とは比べ物にならないくらい豪華で堅牢な門が姿を現した。
「……ここが最後の門です。ここから先は王族の住む区画となります」
門が鈍い音を立てて開き始める。
ありがとうございました。




