1.デスゲームに巻き込まれたのでさっさと死ぬことにした
___ざわざわ
気が付くと俺はどこか薄暗い空間にいた。
周りには俺と同じように状況を把握できていないであろう人が大勢おり、困惑したような雰囲気が伝わってくる。
人々の顔は黒いもやがかかっており、その顔を認識することができない。
そんな中、ガチャンという音ともに一か所にスポットライトが灯り二つの影を照らし出した。
光の中心には大きなうさぎのぬいぐるみとそのぬいぐるみに抱えられた一人の少女がいた。
少女の顔は口元以外は仮面に覆われておりその顔を確認することはできない。
「ぱんぱかぱーん!おめでとうございまス!皆様は救済者に選ばれましタ!」
集められた多種多様な人々がざわざわと動揺する中、場違いな明るい声が響き渡る。
人形のようにピクリとも動かない少女を抱えたつぎはぎだらけのうさぎのぬいぐるみが陽気に話し出した。
「アレアレェ?元気がないですネェ。これはとても光栄なことなんですヨ?まあ、いいデス。この言葉の意味は追々身に染みて染みてわかるでしょうシ」
人差し指を口に当ててにんまりとうさぎが嗤う。
そんなうさぎを見て俺は状況を把握した。
おいおいおいおい、これって小説とか漫画でよくある展開じゃねぇか?
ということはまずいぞ。
俺の嫌な予感はそっちのけでうさぎの話は続く。
「それでは本題に入りまショウ!ここに集められた皆さんはとあるゲームに参加してもらいマス!」
うさぎがそう言った瞬間、今まで黙っていた人々がはっとしたように声を荒らげうさぎに食って掛かり始めた。
「お前はいきなり何なんだ!俺たちをこんなところに閉じ込めやがって!これは犯罪だぞ!さっさと俺たちを開放しろ!」
「そうだそうだ!気色悪い着ぐるみを着やがってふざけてんのか?!」
「ここからでたらすぐに警察に通報してやるからな!!」
そんな人々の様子に俺は焦った。
まずいまずいまずい!これは非常にまずい状況だぞ?!完全に出遅れた!俺も急いで参加しないと!!
俺は慌てて声を上げる。
「おい、このつぎはぎ野郎!さっさと俺たちを解放しないと痛い目見るぞ!」
そう言って俺はうさぎに掴みかかった。
「はあ、ヤレヤレ。話を聞く態度が全くなっていませんネェ」
「おい、ふざけるのはやめてさっさと……っ!」
ぱあん!!
大きな音が響き渡る。
薄れゆく意識の中、俺は達成感でいっぱいだった。
よっしゃー!これで、くそみたいなデスゲームからおさらばだ!
はあ、全く冗談じゃないぜ。強制デスゲーム参加なんてよ。
どうせこういうゲームは生き残れるのはほんの一握りだし、そこまでに一体どれくらい苦労しないといけないんだよ。
考えるだけで鬱るつーの。俺はどうせ生き残れないし、さっさと死ぬに限るよな。
なんか知らねぇけど、この空間では俺の能力が消えているみたいだしこんな千載一遇のチャンス逃すわけにはいかねぇよな。
予想通り、最初に見せしめで殺されるやつは一発で殺されたし、痛みを感じることもない。
ふっふっふ、じゃああばよ!他の参加者たち!俺は一足先に逝ってるぜ!!
__ピコン
『願いが一定値を超えました。メインスキル”死は訪れない”を獲得しました』
『メインスキル”死は訪れない”の発動条件が満たされました』
『派生スキル”憩いの場”を獲得しました』
『派生スキル”憩いの場”が発動します。遺体が転送されます』
意識の裏側で何か音声が聞こえた気がしたが、俺がそれを認識することはなく意識はそのまま暗闇の中に沈んでいった。
読んでくださりありがとうございます。




