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忠犬男子が懐きすぎて異世界までついてきた「件」  作者: 竜弥
第3章:忠犬はてんぱいを追って
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第44話 凱旋!グレッド・ボア仕留め隊

「あれがグレッドボア!?マジで軽トラくらいあるじゃん!」


「虎!?虎よりデカいわ!あれは一撃では無理だわ」


 そう言いながらアリスがヒョイッと岩の上に飛び乗って木を陰に回り込んだ。


「天貴はそこで待機」


 俺がハラハラ見守ってる間に、ラクターさんの弓がギリギリまで引き絞られる。


 ヒュン!!


 空気を裂く音と共に、矢がぶっ飛んでいく!


「ブヒュィィィィィイイィィィ!!」


 森の奥から響いたのは、グレッドボアの不気味な悲鳴。


「次!」


 ラクターさんが間髪入れずに次の矢を構える。だが軽トラ並みの巨体は、逆立つたてがみをバッサァと逆立ててラクターさんに突っ込んできた!


「はや!!軽トラいきなりアクセル全開!」


「そこ!!」


 そしてアリスが木の陰から奇襲で、ズバッと前脚に一矢!


「アリス!やった!」


「ダメ、浅い!お父様っ!」


 いや、突進のスピードがわずかに落ちてる!


 それでも、グレッドボアは止まらない。ラクターさんは突進をギリッギリまで引きつけて、ハッと横に回避する。そのまま、振り返りざまにバシュッと鋭い一矢!!


「ブヒュィィィィィ!!」


 後ろからズドンと食らって、グレッドボアがまたも悲鳴を上げる!


「今だ、コンバイン!!」


「ラジャーッ!!」


 号令と同時に、グレッドボアの背後へと一気に距離を詰めたコンバインさん。


「どっせぇぇぇぇぇぇぇぇぇい!!!」


 振り向いた手負いのグレッドボアの顔面に右手から繰り出される稲刈りラリアットが、炸裂した!


「コンバインさんの刈り取り来たァァ!!!」


 かつて、ゲドの金髪を見事に刈り取った伝説の右手。その高速の刃がズドン!と、グレッドボアの顔面に真正面からヒット!!


 ズッシーーーン……!!


 レッドボアの巨体が、地面に沈み込む。


「隊長!仕留めました~!!」


「コンバイン!よくやった!」


 そう言って犬のように駆けてくるコンバインさんの頭をガシガシとなでるラクターさん。


(すげぇ!なんかもう、映画のアクションシーンそのものだったな)


 そして俺の隣では、なぜかミミがカリカリとノート記入中。


(ん?座標メモでもしてんのか?)


 と、思ったらミミは俺の袖をちょいちょい引いて、耳元に囁き。


「むふ。コンバイン氏、主からの‟よしよし”でポイントGETでふ」


「ミ、ミミさん!?何そのスコア!?!」


 そんな俺の混乱などお構いなしに、スタッとアリスが岩から着地。


「くっ……まだまだね。威力が足りなかったわ!」


「いや!いい弓だったぞ、アリス!」


 ラクターさんが満面の父スマイルで戻ってきた。


「ラクターさん、みんな!マジで凄かったです!」

「うむ!いい連携だった!」


「でも、あんな遠くにいたグレッドボアに、よく気づきましたね」


 俺は素朴な疑問をラクターさんに投げてみる。


「いや、あれはミミの力だ。人の目には限界があるが……」


 そこまで言ったところで、アリスが説明を引き継いだ。


「ミミのアストラは“エコーハント”!遠くの物音も鳴き声も、聞き逃さないわ!」


 うっ……それってまさに地獄耳。


 そう思った矢先…また俺の袖が、ちょいちょいと引っ張られる。

 そしてミミが俺の耳元でこっそりとささやいた。


「いつも発動してるわけじゃないから、安心して……むふ」


 暴走妄想娘、地獄耳のミミ。


(壁にミミありってか……恐ろしいやつ)


 こうして、一体のグレッドボアを仕留めた一行は更なる獲物を求め進軍するのであった。


 *****


 その後、着々と目標に向かって獲物を狩るレッドボア仕留め隊。


 俺的名シーン①「アリスの一撃」


「見えたわ!左の茂みに一体!」


 アリスの声と同時に、シュッと弓が走る。

 見事な軌道で飛んだ矢は、茂みから顔を出しかけた赤い鼻先を貫いた。


「急所に命中!お父様、とどめを!」


「よし、任せろ!」


 その横で、俺はまだ手を出せずにいた。


 俺的名シーン②「忠犬コンバイン、縦横無尽」


「コンバイン、突っ込んできまーす!!」


 ラクターさんの一撃をモロに食らった個体に、コンバインさんが真正面から飛びかかる。


「オラァァァァ!観念しやがれぇぇ!!」


 ドゴーーーーーーン!!


「隊長ぉ!俺、やりました~!!」


「よし!これで3匹目!まだまだ!」


 俺的名シーン③「俺、初討伐」


 そんなみんなの奮闘を見て、俺も決意する。


(やってやるよ!俺だって!)


 岩陰に隠れた一体に、空へ両手をかざして先制攻撃。


「動いていない今がチャンス!落ちろ、青雷!」


 ピシィィィン!!


 空気を裂くように青白い雷が落ち、一瞬で茂みの中の獣を直撃!


「や、やった……!!当たった!!」

「ナイスだ!天貴!!」


 ラクターさんの声が飛び、俺は思わずニヤケ顔が止まらない。


「おし、玄太!俺らの飯、なんとかGETしたぜ!」


 俺的名シーン④「最後は、みんなで!」


「こいつぁ手強い!ベータ、そっち行ったぁぁ!!」

「ひ、ひぃ!」


 ラクターさんはベータの前に出て矢を構える。


「隠れていろ、ベータ!」


 バシュン!!!


「よぉぉし!右目にヒット!!」

「ブフォォォォ!!」


「くっ、ダメだ!止まらん!」


 右目に矢を喰らってもなお、巨大グレッドボアは怒りに吠えながら突進してくる。


「だったら、全員で!」


 アリスが叫んだ。


「おし!行くぞ、みんな!!」

「ラジャー!俺がかましたら最後に一発頼むぞ、天貴!」


「分かりました!!」


 ドスッ!!ドスッ!!!!


 アリスとラクターの矢が続けざまに命中。その隙をついて、コンバインの一撃が巨体を大きく怯ませた、その瞬間!


「雨と共に落ちろ……青雷!!」


 天貴の指が空を貫いた。


「水と電撃!威力倍増だ!」


 ザバァァァァピシャァァァァァァッ!!!


 雨で濡れた巨体に、その導線を辿るように、青白い閃光が全身を駆け巡る。


 ガガガガガガ!!


 ──ドォン!!!


 ついに、巨大レッドボアが地を揺らして倒れ伏した。


「おっしゃぁぁぁ!!!」


 ラクターさんが嬉しそうに俺を軽々と持ち上げる。


「おわぁぁ!!」

「天貴~!やるじゃないか!わははは」


 こういうの、父さんが帰ってきたみたいで、なんか悪くないな。


(一人胴上げなんてできる人じゃなかったけどな)


 そして、すべてを物陰から見守るミミは、討伐した獲物の座標をノートに書き込みながら、例のむふむふ顔で静かに笑っていた。


「二人とも接戦でふ……これは、耳が離せないでふねぇ」


 いや、どの“戦い”を見てたんだよ!と心の中で全力ツッコミ。


「そっちはもう、負けでいいです……」


 諦めたような声が誰のものかはご想像にお任せする。


 *****


 帰り道の馬車の中、ゲドからの農場襲撃が無かったことを確認して、まずはひと安心。


「ところでアリス!今この国ってどういう状態なんだ?」


 堕とされたアグリスティアの“お国事情”がイマイチわかってない俺は、ちょっと真面目な顔で問いかけた。


「なんかさ、俺たち農場でバタバタしてるけど……王都とか、他の領地とか、実際どうなってんだ?」


 襲撃が落ち着いている今だからこそ、ちゃんと聞いておきたかった。


「率直に言えば、アグリスティアはもう“王国”じゃないわ。心臓部の王都は完全に帝国の手に落ちてるもの」

「マジか……じゃあ、王様とかは?」


「王家の人たちは、離れに幽閉されてるらしいわ。名目だけの王族よ。実権は一切ないの」

「ってことはもう、この国って実質帝国領ってことか?」


 アリスは、静かに頷いた。


「そう。でも、唯一この農場だけが抵抗を続けてる」

「つまり、俺たち……最後の“王国民”ってやつ?」


(それってつまり、今ここ“独立国家アルカノア”名乗れるんじゃないか?)


 ──そんなことを考えてる間に、馬車は農場へと到着。


 お国事情の景気は悪いけど、俺たちの狩りの成果は上々!


 そして、ちょっとだけ複雑になった人間関係(主にミミ的妄想)。


 ぜんぶまとめてひっくるめて、これが俺たちグレッドボア仕留め隊だ!

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