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005 異世界対策会議・前半

 境天寺学園の理事長室。

 この学園を取り締まっている長の部屋とは思えない、教室を四半分に切り取ったようなこじんまりとした広さは教育機関特有のモノだろうか。

 大人が7人も立って並べばもう狭苦しいと感じるほどの部屋だが、敷き詰められた絨毯も中央に置かれたテーブルも向かい合わせのソファも安易には触れづらい品位を放っている。

 両脇の壁には学園に関する歴史書や記録文書、偉大な成功者の経験談が書きつねられた分厚い書籍が詰め込まれた本棚が占めている。


 突如として学園の周りが草原と化し、目の前には見知らぬ街と城が現れた。

 そんな状況下でも大きなパニックが起こらず、低からず秩序を保てているのは迅速に行われた理事長の校内放送のおかげだろう。


 生徒たちと担任を受け持っている教師は、それぞれの教室に集まり待機している。それ以外の教師や事務員は3人1組になって学園内を見回り、被害状況やそのほかの問題が起こっていないかを確認中だ。

 そんな中で俺を含めた数人は今後の対策をたてるための会議を行うべく理事長室に集まっていた。

 会議の参加者は7人――。境天寺学園の理事長である縫条法子、物理担当の寺田相互(てらだそうご)、化学担当の仁科融佑(にしなゆうすけ)、生物担当の佐藤甜歌(さとうてんか)、世界史担当の天地千鶴(あまちちづる)、英語担当のトニー・ウォーターハウス、そして俺こと周東七江(すどうななえ)だ。


「それにしても、一体ここはどこなのでしょうか」

「あれは城ですか? あんなの見たことないですよ」

「ふむふむ。なんだか兵士みたいなのも出てきたけど、あれは大丈夫なのかい?」


 窓から外の様子を伺いながら、寺田先生、仁科先生、佐藤先生が口々に報告する。

 いつもの白衣を纏うお三方は、年齢こそ一回りずつ違ったと思うが理系同士ということもあってかよく気が合うようだ。


「状況はあまり楽観的には取れませんが、今後の対策をたてようにもまずは現状を理解しないといけません」


 理事長が落ち着かせるように言うが、その声はいつもよりは緊張を孕んでいる。

 彼女とて理解不能なこの状況に混乱しているのだろうが、この場の最高責任者としてそれを見せることも、想定外という言葉に甘えることもない。


「そしてそのことで、トニー先生には何か思い当たることがあるとか?」


 この状況に心当たりがある人がいるという思わぬ話に、皆がトニー先生へと注目する。


「ハーイ。ワタシもまだ信じられないデスガ、この状況はゼッタイニきっと間違いナイデス」


 皆の視線の集まる中、トニー先生がやや興奮気味だ。


「いやあ、これも日本に来たカイもあったというものデス。どうもカミサマやメガミサマにお会いすることはアリマセンでしたケド、きっとこれからオレツエェェとかナンカヤッチャマシタがメジロオシです。お約束というやつデス。それこそが、まさしく、()()()()()というやつデスヨ!」


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