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幕間005 佐藤甜歌

 異世界に転移してから最初の一夜が明け、甜歌はゆっくりと体を起こしてあたりを見回した。一緒に寝ていたほかの女性教師たちはまだ寝ているらしい。

 昨晩、教師は担当クラスや職員室に分かれて眠ることになった。その中で甜歌は女性陣という大いなる味方の元、宿直室という比較的安眠できそうな割り当てを獲得していた。

 普段は朝の弱い甜歌だったが、枕が変わったからなのか昨晩の妙な夢のせいなのか思いのほか早く目が覚めていた。

 

「それにしても驚いた。みんなが変態しているなんて……」


 まだ寝ている同僚たちを興味深く観察すること数分。はっと思い出したかのように宿直しつを飛び出した甜歌は稀にみる猛ダッシュで生物室へと向かった。

 そしておそらく高校教育では使わないだろう怪しげな器具を鞄へと詰め込んで宿直室へと戻った。

 そのドタバタでほかの教師たちが目を覚ましたのは、まさに間一髪だっただろう。


「ちょっと佐藤先生、なに持ってるんですか!」

「南先生、佐藤先生を抑えるの手伝って」

「止めないでくれ。人間が変態するなんてこんな不思議なこと。実けn――いろいろ切り刻んで調べたいじゃないか」

「佐藤先生、物騒な思想が言い換えられてないですって」

「だいたい佐藤先生だって髪も目も変わってるじゃないですか」

「おや、そうなのかい?! おお、本当だ。ならば私の髪を切り刻んで――」

「ちょっと自分の髪まで切ろうとしないで」

「みんなで止めろ。ブラック佐藤を止めろ」


 佐藤甜歌の暴走が収まるのに小一時間かかったという。そしてその日、まだ寝ていた教師たちが夢見の中で鋏の音を聞いたという噂がまことしやかに流れたが、真実は闇の中だ。


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