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009 異世界対策会議・後半

「本当に、三人とも無事で何よりです」


 理事長、トニー先生、天地先生の三人が城へと向かってから一時間も経たずして、一回目の城主との話し合いは無事に終わった。

 さすがに別世界の城の主との謁見ということもあって、理事長と天地先生の顔にも疲労が見える。なぜかトニー先生だけはニマニマと挙動が不審だが触れないでおこう。

 なんにしても、少なくともこの世界の人たちは二つの意味で話が通じる相手ということだ。


「皆さんも学園の管理ご苦労様です」


 理事長が集まった面々を見渡しながら労いをかける。

 今回も理事長室に集まったのは前回と同じメンバーだ。他の教師や事務員の方々は交代制で見回りを行ったり、学園に残っている資材の確認と管理を行っている。

 前者については夜間のことも視野に入れてシフトが組まれているようだ。後者に関しては電力の問題でアナログな管理を余儀なくされたため、管理体制を整えるのにまだ時間がかかるというのが仁科先生と佐藤先生からの報告だ。


「それで、あちらからは何か話は聞けたのですか?」

「そうですね。いくつか今の状況について話をさせていただきました。ですが、あちらもこの状況は青天の霹靂だったらしく、後日さらに詳しい話し合いの場を設けるという形で今回の面会は終わりました」


 理事長たちの話ではここはトルメスト王国と呼ばれる世界有数の大国とのことだった。


「――そして、彼らは私たちのことを『異界漂流者』と呼んでいました」


 異界漂流者。この世界では時折、別世界から世界の垣根を越えて現れる者がいて、その例も少なくはなく誰もが知る常識のひとつであるらしい。

 ただ珍しいことではあるらしく、最後に記録に残っているのも他国で50年前に現れた青年だったという。

 もしかすればその人物はまだ存命かもしれないな。会うことがあるかはわからないが。


 ともあれ、異世界の施設ごと大人数がこちらの世界に現れた前例はなく、そのために王城側もかなり慌ただしくなっていたようだ。

 突然、自分たちが統治する街の近くに謎の集団が見慣れぬ建物ごと現れたのだ。それが敵でない保証などなく、いつ攻撃に転じてもおかしくはなかっただろう。

 そう考えれば、いち早くこちらから交渉に動いたのは正に英断だったと言える。それでもまだ安心はできない。まだ学園の周りにいる兵士たちも警戒を解いてはいない。王城との交渉に失敗すれば彼らがいつ牙を剥くかわからないのだ。


「現状はまだ、我々は彼らにとって招かれざる客にもなりえる状況です。それはこれからの交渉次第でもあるのですが、そのことでまた新たな問題が――」

「マホウですよ! スキルですよ! この世界はケンとマホウのファンタジー世界だったのデス!」


 とうとう興奮を抑えきれないとばかりにトニー先生が言葉をかぶせた。

 剣と魔法……。どうやら平穏な世界というわけではなさそうだ。


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