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新人二十面相  作者: Ukrum
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波乱の幕開け

サラリーマンには様々な苦労があるだろう。その中でも中堅社員にありがちなのは新人育成である。


かく言う私も今日から新人の面倒を見ることになった。

新人や会社には申し訳ないが大変面倒である。今抱えてる作業の内、雑務をやってもらえるからありがたいと思えと上は思っているだろう……。が、育てばの話である。


そんな愚痴を溢そうものなら白い目で見られかねないので心の内に留めておくとしよう。


さて、時計が予定の10時を示している。そろそろ新人が部長と共にやってくる。一旦資料作成は中断だ。

忙しさに追われ、新人の紹介資料に目は通せなかったが挨拶もするので問題ないだろう。


しばらくして部長と共に爽やかな好青年が現れた。

黒色の短髪に凛々しく整った眉、運動部であったのだろうと思わせるが焼けすぎていない肌、なんとも絵に描いたような新人らしい風貌だ。

くたびれたシャツ、大きな風船のようなお腹、散らかった髪の部長が隣にいることで左右で感じる温度が違うように思える、などと女性陣は思っていることだろう。

……もちろん私は思ってなどはいない。


部長から新人紹介する旨を伝えられる。新人に自己紹介を促した。


「二十相 十太郎 (にとあい じゅうたろう)です。何かとご迷惑をお掛けするかもしれませんが、精一杯努めさせていただきますのでよろしくお願いいたします!」


これなら上手くやっていけるだろう。こちらも地道に教えていこうと思える。


そう思っていた。

事件は翌日のことである。


二十相君が始業時刻に来ていないのである。

昨日の第一印象に対する評価を返して欲しい。

私自身は仕事さえこなせば時間は気にしないタイプだ。しかし新人で2日目から遅刻とは大物である。

ちなみに私が初日に遅刻したことは棚に上げておくこととする。


20分程業務をしていると内線電話がかかってきた。今日は電話が来るような予定はないと思っていたので心臓にとても悪い。縮んだ1秒の寿命を返していただきたいものだ。


「はい。第2営業の江戸川です。」

「受付ですけれども、顔認証登録の無い方が入ろうとしてまして、江戸川さんを呼んでほしいとの事です。」

「えっと、なぜ私なのでしょうか。お名前伺ってますか?」

「二十相さんだそうです。」

「であれば登録されてると思うのですが。まあとりあえず向かいます。では。」


総務が認証登録忘れでもしたのだろうか。無駄な手間が増えて厄介極まりない。そして二十相くんは大物ではなかった。

そんなことを思いながら乗っていたエレベーターのドアが開く。


早足で到着した受付に二十相くんは見当たらない。

居るのは受付の人、そして小太りで禿げ、脂が乗っている、いかにも中間管理職らしき人物(略して中オジ)である。


すると

「江戸川さん、おはようございます。」

と中オジが野太い声で挨拶してきた。

……誰だよ。


挨拶を返すべきなのか心の中で問答を繰り返す。


「二十相です。」


ああ、連絡先がわからずに親父さんが遅刻をわざわざ伝えに来たのか。

何故自分の顔を見てすぐ挨拶できたかは疑問だが。


「江戸川です。あの、息子さんはどうかされたんですか?」

「え?」


え?はこっちだよ。


「江戸川さん、自分まだ結婚すらしてませんよ。」


どうやって彼は生まれたんだ……。きっと複雑な家庭の事情があるんだろう。

なんだか会話の違和感が拭えないが気のせいだ。気のせいだ。


「もしかして、顔覚えてもらえてません?新人の二十相十太郎です。」


は?

こんな脂の乗ったいかにも中間管理職なおじさんが昨日の新人な訳ないだろ??

警察呼ぶしかないかな???

などと思った。


「あれ、もしかして自己紹介資料見ていただけてなかったです?自分、顔つきが多少変わるんですよね。社員証も待ってますよ。」


多少という言葉の定義について辞書で今すぐに調べたい。

そして顔つきどころか体格も髪型も変わっているのだが。

というか社員証あるならそれで入れよ!

と思ったが、いきなりこんなおじさんが隣の新人席に座ってきたら、おそらく心不全を起こしていたことだろう。危ない。


急いで受付の人に人事宛の内線をしてもらった。

結論から言うとそういう体質らしい。


「よく営業職にそんな人採用しましたね。」

と皮肉じみて言ってみた。

「ダイバーシティの時代なので。」

と返された。なんと素晴らしいことだ。ダイバーシティ。


とにかく今後は社員証で入館してもらう流れとなった。

波乱の幕開けである。



ノリで書いたので続けるか不明です。

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