ソニアとルアーナ
折角探検に出たソニアだったがルアーナに出会ったことで気分が乗らなくなり探検を中断した。ソニアは来た道を戻ろうと振り返った時真後ろにいた男性とぶつかってしまった。「あ、申し訳ありません」ソニアは後ろに人がいたことに気が付かずぶつかった男性に謝った。「あなたは?お茶会にいませんでしたよね?」男性はソニアを見つめ聞いてきた。ソニアは顔を上げ男性を見上げた。「ええ、面倒だから参加致しませんわ」そう言って微笑んだ。その男性は金色の髪にグリーンの瞳を持っているクール顔の男性で見るからに品とオーラがあった。どこかの王子かもしれない。「アハハハ、貴方は面白い方だ。レディーたちはお茶会で男性の品定めをしているのにあなたは興味がないのか?」その男性はそう言って彼ソニアの顔を覗き込んだ。「ええ、私はジェラルドが好きなので彼以外興味ありませんわ」ソニアは覗き込んできた男性を見つめ言った。「な、なんと!ジェラルド陛下にはルアーナ姫がいらっしゃるのに?」男性はその言葉に驚いた表情を浮かべソニアを見つめた。「それが何か?私は私の好きに忠実なだけですわ」ソニアはまたこの話かと少々ウンザリした。「うーん、あなたは面白いな、名前を聞いても?」男性はソニアの手を取り聞いてきた。ソニアは自分の手をそっと引きながら言った。「ソニアです。年齢は百十九歳よ!」ソニアの言葉に唖然とする男性にウィンクし足早に部屋に戻った。今日は疲れたわ。ルアーナに出会ったことはソニアにストレスを与えた。ルアーナは私と真逆の生き方している。私の苦しみなどの令嬢には永遠にわからないわ。ソニアはベットに横になりいつのまにか眠ってしまった。
その夜ソニアは突然起こされた。「何?」ソニアは起き上がると目の前のアレクがいる。アレクはソニアに頭を下げ言った。「ソニア様、眠っているところ大変申し訳ありません。今から晩餐会に同行願えませんか?」アレクはもう一度頭を下げた。「突然どうしたのですか?」あまりに急な事でソニアは驚いた。「実は東の大国レオナルド陛下がソニア様に会いたいと」「レオナルド?私はそんな人知りません。」ソニアは言った。「でも陛下はあったと申されて、、」アレクはど惑いながらソニアに言う。ソニアは思い出した。昼間にぶつかったあの人?「髪は金色で瞳はグリーンの?」ソニアはアレクに言った。「左様です!」あーあの人?「どうして私に会いたいと?」ソニアは不思議に思った。大した会話をしていない。「あんなレディー初めてだと仰ってぜひ連れてきてくれと申されて、、、、」アレクはひたすらソニアに頭を下げ言った。ルアーナのことがあったからこんなに頭を下げているのね。「アレク執事、私は行きたくありませんがそういうと困りますか?」ソニアはアレクに聞いた「……はい。」アレクは頭を下げたまま答えた。「わかりました。これは貸しです。いいですね」ソニアため息を吐き言った。「ありがとうございます!!」アレクは頭を上げソニアにお礼を言った。ソニアは仕方なく用意されたドレスに着替え晩餐会会場に移動した。
ソニアはアレクに連れられて会場に入ると多くの貴族達が注目した。おそらく、昔こんな景色を見たのかもしれない。どこか懐かしいような気がして少し感傷的な気分になった。「おお、来て下さったのですね。」突然声を掛けられ振り向くとレオナルドと、ジェラルド、ルアーナがいた。うわぁ最悪。ジェラルドとルアーナに会いたくなかった。ソニアは二人に軽く会釈をしレナルドを見た。レオナルドはソニアに微笑みそっとソニアの手の甲にキスをした。周りにいた令嬢達はその様子を見て驚いている。ソニアはそんなに驚くことなのかと不思議に思った。その様子を見つめていたジェラルドが「レオナルド陛下はソニアが気に入ったようだな」とレオナルドに言った。「ああ、この令嬢は面白い」レオナルドは答えた。「あの、私に用があると?」ソニアはその会話を聞き面白いと言われムッとした。面白いは褒め言葉にならない。「あ、失礼ソニア」レオナルドはいきなり呼び捨てしてきた。「あの、申し訳ありませんが、私を呼び捨てにしていいのはジェラルドだけ」ソニアは微笑みながらに言った。「それは聞き捨てならんな、ジェラルド陛下にはここにいっらしゃるルアーナ姫がいるじゃないか?」レオナルドはルアーナの方を見てソニアに言った。ルアーナはハンカチを口に当て目線を下げている。ソニアはまるで自分が意地悪をしているように思えた。確かにそうなのかもしれない。だけど生贄だった私をルアーナの為に無理矢理起こし満足させてまた寝せようとしているジェラルドやこの国の人を責める人間は誰もいない。ルアーナも私など見ていない。ソニアは悔しい気持ちを隠しレナルドに言った。「レオナルド様、その件については先程も申し上げました。それが全てですわ。」ソニアは目の前に立つレオナルドの胸を手で押しその場を離れようとした。「あ、お待ちくださいソニア、、令嬢」レオナルドは立ち去ろうとしたソニアの腕を咄嗟に掴んだ。ソニアは腕を掴まれ体勢を崩し倒れそうになった。「キャァ」ソニアが小さく声を上げた瞬間ジェラルドがソニアを引っ張り抱き抱えてた。ソニアジェラルドの胸の中に抱きしめられ一気に体温が上がった。突然の事にときめいた。「ジェラルドありがとう!大好きよ」ソニアは抱きしめられた胸の中でジェラルドに伝えそっとジェラルドから離れた。この鼓動を聞かれるわけにいかない。その様子を見ていたルアーナが扇子を落とした。ソニアは黙ってその扇子を拾いルアーナの目の前に差し出した。ルアーナは目に涙を浮かべ「ジェラルド様は私の婚約者です!」と言った。ルアーナはソニアを睨んでいる。「ですよね。あなたの為にジェラルドは私を起こしたんだから知っておりますわ!だけど、私はジェラルドが好き。自分に正直でありたいの」ソニアは差し出した扇子をルアーナの手に持たせた。「ソニア、ルアーナをいじめないでくれ」二人の様子を見ていたジェラルドは少し困った顔をしソニアに言った。ソニアはその言葉に少し悲しくなった。どっちがいじめているのよ?と思ったが、「そんなに大事なら私の前に連れてこなきゃいいじゃない。」そう言ってその場を立ち去ろうとした。「いやー、本当ソニア嬢はいいね。その気の強さ惚れ惚れする」レオナルドはそう言いながらソニアの手を取りテラスに連れ出した。
誰もいないテラスでソニアはレオナルドに言った。「レオナルド陛下、私、気は強くありません。」ソニアはため息をついた。「そう見せているだけ。わからんでもないな。」意外にレオナルドはそう言った。「、、ソニア令嬢、俺はルアーナ姫が好きなんだ」その言葉を聞きソニアは驚いた。「お前はジェラルドが好きじゃないか、お互い協力しないか?」レオナルドはそんな事を提案してきた。「え?無理です」ソニア即答した。「なぜ?」レオナルドは予想外の言葉に驚いている。「私は、私の好きは私のものですが、ジェラルドの好きは守りたい。言ってる事矛盾してるけど自分の利益のために誰かを巻き込むのは私の生き方じゃないわ。正々堂々としたい」ソニアはまじめに答えた。「うーんますます気に入った。俺の妻にならんか?」レオナルドは笑顔を浮かべソニアに提案している。「レオナルド陛下もめちゃくちゃなひとね!」ソニアはレオナルドの言葉に思わず笑ってしまった。この人嫌いじゃない。いい人だわ「ウフフ!妻にはなれないけど、友達にはなれるわ。」ソニアは笑いながら言った。「じゃあ友達から始めよう!」そう言って二人は握手を交わした「ところでソニア令嬢、ダンスは踊れるか?」「百十九年齢生きてるから忘れてしまって、、」「かまわん一緒に踊ろう」レオナルドはそう言ってソニアの手を握りテラスを出た。
テラスから出てきたソニアとレオナルドを見て会場がざわついている。レオナルドはソニアをダンスホールに連れて行き正面に立った。「レオナルド陛下、私ダンス忘れちゃって踊れないわよ。」ソニアは言った。「大丈夫、私を信じて」そう言ってレオナルドはソニアに手を握り踊り始めた。レオナルドのエスコートは素晴らしくソニアは踊ることが出来た。懐かしいような初めてのような。でも楽しい。ソニアはレオナルドの顔を見て微笑んだ。レオナルドもソニアに応えるように微笑んだ。「私達、良い友達になれそうね」ソニアがそう言うとレオナルドは「ああ、早く友達を超えたいがな!」と言ってソニアを急に抱き寄せた。「あー、ルール違反です」そう言ってソニアははレオナルドを突き放し歩き出し一度振りかえりレオナルドに「またね!」と手を降り言会場を出て行った。