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死刑?!

そういえば私はこの世界のこと知らない…。自分が守ってきた(と思う)この世界を見てみようと思った。だから旅に出よう。ソニアは早速旅立つことにした。どこに行って良いのかわからないがひたすら海沿いを三日間歩いて国境まで来た。このまま国境を越えようかどうしようかと迷った。このまま国境を越えて行けるところまで行ってみたいという気持ちがあるが国境で身分証明書を提示しなければならない。だがそんなものは無い。女一人大金を(全財産)持って国境を越えるなど怪しいといえばかなり怪しい。どうしようかと国境の辺りを行き来していたソニアの行動を怪しんだ兵士に案の定捕まった。鞄を開けられジェラルドの借用書を見られた。これは想定外。ソニアは持ち逃げを疑われ牢屋行きとなった。


「私は祈りの乙女で!」「あーハイハイスゴイね」「ちょっと信じてないって伝わってくるわよ!」「あんたね、そんな人ゴマンといるわけ。」「そんなにいる訳無いわよ!いたら代わってほしいわ!」「あーハイハイ、お嬢さんはすごいデス」…。

 ソニアは独房の中でため息を吐いた。「はぁ、ダメだ。頭のおかしい人に思われているわ。こんな牢屋に入れられて私は一体何してるんだか。」自分に呆れた。「あの。。ところで私はなんの罪でここにいるのかしら?」牢屋を監視している牢番に聞いた。「あんた皇帝を騙した罪で死刑だよ。」牢番は事務的に言った。

 

 死刑。生贄になった私は死刑で死ぬ訳?「、、万が一そうなったら私恨みますよ。」ソニア鉄格子を掴み牢番に言った。「なんで恨むんだ?」牢番は興味なさそうな顔をし聞いてきた。「あ、聞いてくれるんですか?ありがとうございます。ホント信じてないもらえなと思うんですけど、ホントに私祈りの乙女で、この間百一年と二日ぶりにあのアホ皇帝に起こされたんです。」ソニアは話し始めた。「ア、アホとはなんと不謹慎だ」牢番はソニアの言葉を聞き怒り出した。だ知ったことでは無い。「どうせ私は死刑だからこの暴言は気にしないで。で、好きに生きろって言われて、私こう見えて百十九歳なのよ。お年寄りに優しくするのが人ってものじゃない?」ソニアは言った。牢番はソニアの顔を見て言った「あんた若いじゃ無いか?」「そうなのよ,。見た目は若いけど。。百十九歳よ。」ソニアは俯き答えた。「あんたなんで皇帝を騙して金を持ち逃げしたんだ?」だから!さっきから言ってるじゃない!「あのね、何度も言うけど持ち逃げしてない!もー、ホントめんどくさいわね。でも死刑も悪く無いか。」ソニアは考えを改めた。死刑。本気で悪くないと思った。百一年も寝てるよりも死んで新しい世界に行った方が前向きだ。


「ちょっとあなた、私はいつ死刑になるの?」ソニアは希望を見たような気がし聞いた。「明後日だ」明後日、ちょっと遅いわね。今すぐにでも死にたいわ。「もうちょっと早まらないかしら?」ソニアは牢番に聞いた。「はぁ、あんた本気かい?」牢番は立ち上がりソニアの方に近寄ってきた。「本気よ、生きてても仕方がないもの、」ソニアは鉄格子を掴み牢番に言った。「あんた変わってるな!」牢番はソニアの独房の前でしゃがみ込み言った。「そうよ、だって私百十九歳だからもういいの。」ソニアは覚悟を決めた。その様子を見た牢番は立ち上がり言った「気に入った!あんた死刑にならないように頼んでやるよ!」ソニアは驚き鉄格子を握りしめ叫んだ「ちょっと!!いいわよそんな親切心いらない!!どうせなら明日に変更してもらうように言ってよ!」牢番はソニア態度が気に入った。誰もが泣き叫ぶのにはやく殺せだと?「「いやいや、あんたみたいに度胸ある人間を死なすには惜しい!!」牢番はそう言って慌ててどこかに行ってしまった。

 

 ソニアは1人残された。もう、なんなのよ。そんな情け要らないわ。ほっといてほしいわ!!

 そもそも私は何のために生贄になったんだろう?私の意志はいつもどこかに置き去りで振り返ることも進むことも出来ない。ソニアはしゃがみ込んだ。ジェラルドはルアーナのために私を起こした。誰かのために起こされた私は誰のために眠ったのだろう?ソニアは悲しくなった。普通に生きることが許されず生贄になった。それも運命だと受け止めた私がいつ誰を呪ったというの?

 私は楽しいさえ知らずに眠っていたのに誰かを羨んだりすることさえ知らないのに。私って一体なんなのよ。「あー、もう馬鹿馬鹿しくってやめた。ジェラルドなんてだいきらい、さっさと死刑にして!」ソニアは自分が可哀想になって大声で叫んだ!「早く殺しなさいよ!生きていたって仕方がないもの!さっさと死刑にして!」そう叫んでうつ伏せになった。両手を握りしめ唇を噛み泣きそうになるのを堪えていた。

 

「ソニア、遅くなってごめん。」誰かが私を呼んだ。だけどわたしには迎えに来てくれる人はいない。「どなたか存じませんが私は知り合いなどいないのです。自分さえわかんないのに。ほっといてください」ソニアはうつ伏せのまま答えた。「ソニア、俺の事好きだ、愛してると言っていたのは嘘か?」この声、まさかジェラルド?!あ、馬鹿みたい、一瞬喜んだ自分は馬鹿だわ。この人自分の恋人のために私を起こしたんだ。ソニアは気持ちを落ち着かせ「お引き取りください」うつ伏せのまま言った。

 「ソニア、怒っているのか?」ジェラルドは優しく話しかける。その言葉を聞きソニアは気持ちが爆発した。「ばか!ふつう怒るでしょ?私は無理矢理起こされて、生きていくすべさえ知らないのに。身分も何にもなくて?世間知らずで、、捕まって牢に入れられて、、なんでもっと早く来ないのよ!!ジェラルドのばか!」ソニアは自分が何を言いたいのかわからなくなっていた。「ソニア、遅くなってすまない。帰ろう」ジェラルドは独房に入りうつ伏せになっているソニアを床から引き剥がし抱き抱え牢屋を出た。ジェラルドはソニアを抱いたまま馬車に乗り何も言わずソニアを抱きしめていた。ソニアも何も言わず大人しく抱かれていた。

 暖かい。ジェラルドの腕の中は2回目。安心する。ソニアは顔を見られたく無かった。悲しみよりも嬉しさが込み上げてるこの顔を見られたくない。道中ずっとジェラルドの胸に顔を押しつけじっとしていた。


 そこからの記憶は無い。



 

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