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少年から大人に変わる


ジェラルド三世の誕生日前日の夜。ソニアはケーキを焼いて綺麗に飾り付け、日付が変わった夜中にジェラルド三世の部屋にケーキを持って訪ねた。「ジェラルド三世様、ソニアです」声をかけるとすぐにドアが開きジェラルド三世が怪訝な顔をしソニアを迎え入れた。「ソニア、何かあったのか?」問いかけるジェラルド三世にソニアはケーキを見せ言った。「ジェラルド三世様!お誕生日おめでとうございます!!ソニアはジェラルド三世様のためにケーキを作りました!誰よりも早くおめでとうが言いたくて」言葉が終わらぬ間にジェラルド三世はソニアを抱きしめた。「ソニア!ありがとう」「あ、ケーキが潰れちゃう」ソニアもケーキを守りながらジェラルド三世を抱きしめた。「ソニア、私のために、こんなに嬉しい誕生日は初めてだ。」ジェラルド三世は瞳を輝かせソニアを見つめた。ソニアはジェラルド三世に微笑み「ちょっと用意しますから待っていて下さいね」ソニアはジェラルド三世から離れテーブルにケーキを乗せロウソクを立てた。「ジェラルド三世様、お誕生日おめでとうございます!何か願い事をしてろうそくを消して下さい」そう言ってジェラルド三世の向かいのソファーに腰をかけた。ジェラルド三世は笑顔を浮かべ「願い事、私の願いはいつも一つ、ソニアとずっと一緒にいる事だ」そう言ってロウソクの火を消した。「え、ダメですよ!もっと良い事願って下さい」ソニアは立ち上がりジェラルド三世に言った。「私にとってこれ以上良い事はない」そう言ってソニアに微笑んだ。その顔がジェラルドにそっくりでソニアは息が止まり体が固まった。「ソニア?」ジェラルド三世は立ち上がりソニアの側に行き俯くソニアを覗き込んだ。ソニアはゆっくりと顔を上げジェラルド三世を見つめた。またその顔はまさしくジェラルドだった。ソニアは感極まりついに涙が溢れ出た。「ソニア?どうしたのだ?」ジェラルド三世は泣き始めたソニアに驚き、その頬を両手で包み親指で優しく涙を拭った。「ご、ごめんなさい、ジェラルド三世様がどんどんジェラルドに、ジェラルドに似てきて思い出してしまって、ごめんなさい」「ソニア、そんなに似ているのか?」ジェラルド三世はソニアの額に自分の額をつけ聞いた。ソニアは瞳を閉じ涙を堪えながられ言った。「はい、ジェラルド三世様が大人になればなるほどジェラルドに似てきて、ちょっとドキドキするというか、切なくなっちゃって。あ!なんて事を言っているの私は。まだ、ジェラルド三世様はまだ少年なのに!」ソニアは両手で目元を押さえた。恥ずかしい。私何言っているの?!「ソニア、本当に嬉しいよありがとう」ジェラルド三世はそう言ってソニアの両手を握りその手に優しくキスをした。ソニアはその仕草を見て心臓が爆発しそうなほどのときめきを感じた。「ジェラルド三世様、私、大人なのに恥ずかしいです!。」ソニアは耳まで赤くなり言った。「ソニア私は嬉しい、ソニアが私を意識してくれる事が嬉しい。最高のプレゼントを二つもらった」ジェラルド三世は心からの笑顔を浮かべソニアを抱きしめた。その後二人はケーキを食べ楽しい時間を過ごした。


 


 その日の夜は城ではジェラルド三世の誕生会が盛大に行われていたがソニアは部屋でのんびりと過ごしていた。今頃ジェラルド三世様は誰かとダンスでもしているかしら?ソニアはそんな事を考えながらベットの上でゴロゴロと寝転んでいた。「ガチャ」突然部屋のドアが開きジェラルド三世が現れた。「な、ど、どうしました?!」ソニアは驚きベットから飛び起きた。「別に、ただソニアに会いたかったから」ジェラルド三世は平然と答えた。「え?今あなたの誕生会ですよね?「ああ、そうだ」「なぜジェラルド三世様はここにいるのでしょう?」「先ほど言ったが?ソニアに会いたかったと」ジェラルド三世は呆然と立ち尽くすソニアの前に立ちその手にキスをした。「ジェラルド三世様?!意味がわかりません、ただ私に会いたいから会いにきたのですか?」「そうだ」

ジェラルド三世はそう言ってソニアを抱きしめた。「アハハハ!!!」ソニアは笑い出した。ジェラルド三世は私を好きでいてくれる。体切に思ってくれる。自分の誕生パーティーを抜け出して会いに来てくれる。幼い頃から一貫して懐いてくれるジェラルド三世が可愛くて仕方なくなった。ソニアはジェラルド三世を抱きしめた。「会いに来てくださってありがとうございます。でももう少し誕生会で頑張って下さいね。」そう言ってその頬にキスをした。ジェラルド三世はソニアの言葉に満足したのか「わかった。ソニア行ってくる」と言ってまた会場に戻って行った。その後ろ姿を見つめながらソニアは微笑んだ。本当に可愛い私の天使様!


 世間に疎いソニアは知らない事だがジェラルド三世は幼い頃から自立心が旺盛で誰かと手を繋いで歩くなど絶対になかった。しかしソニアとだけは手を繋ぎ、ソニアにだけは笑顔をみせ、ソニアだけ甘えわがままも言った。だからジェラルド三世がソニアと手を繋いで歩く姿は全ての人にとって衝撃的な光景であり、ソニアはジェラルド三世の特別な人間だと皆が知るようになった。


 ジェラルド三世は少年から大人に変わる時期だ。その美貌はますます光を放ちジェラルド三世の噂は近隣諸国の姫君達の耳に入るほどだった。城では社交の場として様々なパーティーが開かれジェラルド三世は必ず出席する様になった。その度に姫や令嬢が増えてゆき、ジェラルド三世から声をかけてもらえるように皆美しく着飾っていた。そんな中でもソニアは相変わらず自由に生きていた。「ところで私は今何歳になったんだろう?恐らく四百二十ニ位?すごいわ!!」独り言を言いながらベットでゴロゴロしている事がソニアにとって落ち着く時間だ。ほぼ四百年くらい寝てたからやっぱりゴロゴロするのが落ち着くわ!そう思いながらもこのままではダメなような気がして突然起きあがり「歩こう!」と言って部屋を出て行った。


 

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