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第29話 修羅場という名の地獄



「井戸すら枯れている地に巨大な噴水じゃと!?お主何をしたんじゃ!?」


「村長殿、シルヴィス殿、見ての通り実験は成功だ」


「今から村人達を呼びに行く、あとは手筈通りに頼む」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 結構遠いな・・・テントは村の端にあるから広場にある噴水は見えないはずだ、出来ればサプライズとして披露したいから都合はいいが。


「シグ殿、居るか?ヴァルディだが・・・邪魔するぞ」


「ヴァ、ヴァルディ様ですか!?お、お待ちくださ・・・」


「ん?どうし・・・た・・・」


「あッ・・・ヴァルディ様・・・見ないで・・・ください・・・」


 タイミング良く・・・いや、悪くかシグは着替え中だった。


「!ッすまない、着替え中だったか」


「い、いえ私こそ、このような貧相なものをお見せしてしまって申し訳ありません・・・///」


「本当にすまなかったな、あと君は十分に魅力的だ、だから自信を持つといい」


 マズイ・・・落ち着け、ここは余計なことを言わずに早くテントの外に出た方がいい。


「み・・・魅力的・・・ですか?///わ、私が・・・魅力的・・・」


「とにかく外へ出ている、終わったら言ってくれ」


 とんでもない事をしてしまった・・・実験が上手くいったのが嬉しくて舞い上がっていたか・・・寝床に許可なく入るなんて。


「ハハ、こんなことがリゼ殿達に知られたらとんでもないことになっていたな・・・」


「それは確かにそうかもしれませんね?」


「ああ、まったくだ・・・リゼ殿は優しいが怒ると怖いからな・・・ん?」


「おはようございます、ヴァルディ殿・・・テントの中では随分楽しそうでしたね?」


 嘘だろ・・・なんでリゼ達がここいるんだ!?今頃王都の宿屋で待機しているはずじゃ!?


「リゼ殿!?ど、どうしてここに・・・?」


「王都に帰還してからやはりヴァルディ殿の事が心配になり半日かけて村まで来てみれば・・・朝から女性の寝床に入って着替えを覗いた挙句に口説くなんて、随分と楽しんでいらっしゃるようですね?(ニコッ)」


「ヴァルディさん、じっくりとボク達に詳しい話を聞かせてくださいね?(ニコッ)」


「私もヴァルディさんがどうしてこんな事をしたのかじっくりと聞きたいです(ニコッ)」


「ヴァルディさん!おはようニャ!リゼ達が心配だって聞かなくてニャ・・・」


「おは・・・よう、リゼ達なんか怒って・・・る?」


「でもこんな面白い場面が見れるなんて寝ずにここまで来て正解だったニャ!にゃはは!!」


 どうやら事情聴取は決定事項のようだ・・・。


「リ、リゼ殿ッ、誤解だ・・・た、確かに許可なく寝床に入ってしまったのは事実だが・・・」


「は、話を聞いてくれないか・・・」


「ええ、もちろんです、ついでに怒ると怖い私のお話も聞いてもらいますけどね♪」


「ヴァルディ様、終わりました!それよりリゼ殿達の声が聞こえたような気がするのですが・・・」


 この後、人生で二度目の修羅場というものを経験することになり後のトラウマになるのだがそれはまた別のお話。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「というのがここまでの経緯だ・・・先程説明した竜人の少女と村長が待っているし、そろそろ広場に行かないといけないのだが・・・」


「分かりました、とりあえず今は村の方々を安心させるのが最優先という事ですね?」


「ああ、詳しい話は後でしっかりと説明しよう」


「リゼ殿たちにも実験の成果を見せたいと思っていたからな・・・」


「ではシグ殿、村人たちに呼びかけを頼む」


「ハッ!!承知いたしました」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「信じられない!こんなことが・・・」


「昨日まで何もなかったのに・・・」


ーーざわざわーー


「やはり困惑しているようだな」


「ヴァ、ヴァルディ様!本当に昨日までここには何もなかったのですか!?」


「この村は井戸も枯れているって村人さんから聞きましたよ・・・ボク・・・」


「大きさだけなら王都の噴水にも引けを取らないニャ・・・」


「たったの1日・・・いや、話を聞く限り数時間でこれを・・・王都の職人たちが不眠不休で作っても1ヶ月はかかりますよ!?」


「それに水源は・・・」


 驚いてる驚いてる、これは徹夜で実験した甲斐があったな・・・さて、勝負はここからだ・・・ここで失敗すれば後々問題が残る可能性があるからな。


 シルヴィスのためにも頑張らないとな。


「皆のもの!驚きはあるでしょうがまずはヴァルディ様のお話を聞いてください!ヴァルディ様、お願いします」


「ありがとうシグ殿、さて!村人達よ、聞いてくれ!」


「まず、ここにある噴水はとある人物が皆のために作り上げたものだ!シルヴィス殿!」


「あの方はッ!!」


「まさか、竜人様ッ!?」


「皆、落ち着いてくれシルヴィス殿は君達と同じく男爵によって囚われていた奴隷だ」


 まずは同じ立場であることを示し村人達の警戒心を解く。


「わ、私達と同じ・・・?」


「そう!そしてシルヴィス殿は君達と同じく人族の血が混ざっているそして竜の血もだ」


 ここで変に誤魔化しや嘘を言ってしまうのは逆効果になる、だからここは素直に正直に半人半竜だという事実を伝える。


「シルヴィス殿は同じ境遇にあった者として、そして人に属するものとして君達の力になることを約束してくれた!」


 あと一息だ・・・一気に畳み掛ける!






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