第16話 得体の知れない素材
ドアを開けると“チャリン”とベルが鳴った。 宿屋の亭主には悪いがここは宿屋とは違ってだいぶ綺麗だ。店の中には綺麗な防具が並んでいるが、どれも鉄や鋼で出来ておりミスリルなどファンタジーな鉱石を使ったような物はない。
やっぱりゲームじゃないから、高価な鉱石は王都の防具屋にも無いようだ、あるとすれば王城の宝物庫とかだろうな。
工房の奥には一個ぐらいあるかもしれないが・・・やっぱりファンタジー世界に来たからには一度は実物を見たい・・・。
「ん?おう!リゼじゃねぇか!また壊れた防具の修繕か?」
「そ、そうです・・・」
「ガハハ!見ねぇ顔も一緒だな?お前の男か!?」
「お、おとッ ち、違います!ヴァルディ殿はそのような・・・(ゴニョゴニョ)///」
「相変わらず分かりやすい奴だな!」
「初めまして 私は ヴィス・ヴァルディだ昨日からリゼ殿のパーティーに加入させてもらった よろしく頼む」
「おう!俺はドルクってんだ!見ての通りドワーフでこの店を経営してる!アッチのカウンターにいるのが俺の嫁だ!別嬪だろ?」
もちろんカウンターにいるのは同じドワーフだ、失礼極まりないが恰幅のいい 樽のような女性を別嬪だと紹介された時、人はどのような反応をするのが正解なんだろうか・・・。
「ああ、ドルク殿にお似合いの美しい女性だ」
「ガハハ!!お前さん見かけによらずノリがいいな!普通は困った反応するんだがな!」
とりあえずありきたりな言葉を返したが、からかわれていたらしい、こういうジョークを嫁の前で堂々と言うあたり豪胆なドワーフって感じだな・・・。
「 それにしてもお前さん珍しい鎧と武器持ってるな?ちと見せてくれねぇか?」
「ああ、構わない 君達はどうする?」
「では、私達は防具の修繕に行ってきます!クレア行くぞ」
「は、はい!ヴァルディさんまた後で!」
「ああ、また後でな」
「オイオイ 何だこの素材はこんなの見たことないぞ・・・お前さん何モンだ?」
「すまないが 少々訳ありでな、詳しいことは言えない・・・だが害のある存在ではないということだけは言っておこう」
「まあいい!冒険者なんて素性のしれん連中ばかりだからな!お前さんのこと気に入ったぜ!修繕が必要になったらウチに来な!見慣れん素材だがなんとかしてみよう!」
正直何を気に入ったのか分からないが職人というのはそういうものなのかもしれない・・・嫌われるよりは何倍もマシだが。
「そう言って頂けると助かる 何かあればお世話になろう」
「おう!ん?ちょうどお前さんのパーティーメンバーが戻ってきたな!」
「用事は終わりました!次はヴァルディ殿に王都の案内させて頂きますね!」
「ああ、色々すまないな」
「お気のなさらず!ヴァルディ殿はもう私たちのパーティーメンバーなんですから!なんでもお聞きください」
「そういえばクレアに聞いたのですが盗賊共に襲われて頂いたところを助けて頂いたとか・・・お礼をまだ言っていませんでした!」
「なに、当たり前の事をしただけだ」
「それでも実際に行動する者は多くはありません!お礼を言わせてください 仲間を救って頂きありがとうございました!」
「リゼ殿は真面目だな・・・どういたしまして」
「ヴァルディさん本当にありがとうございました!」
「ああ、君の元気な姿が見れるのだから 助けられて良かったよ」
「ではドルク殿また来ます!」
「ああ、いつでも来い!!どんな装備だろうと生きてれば直してやる!!」
「はい!では!」
外に出ると昼時なのか、が増していた。
そこからはリゼ達の案内で行きつけの道具屋に行ったり、様々な場所に案内してもらい1日はあっという間に過ぎてしまった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「そろそろ宿屋ニャ・・・お腹減ったニャ・・・」
「今日は色々な事が知れて楽しかったよ」
俺は宿屋の前に立ち古びた扉をゆっくりと押すと、夕食時で食堂には色々な者が座って運ばれた料理を食べていた。
「あらおかえり!」
「ただいま亭主殿 今戻った」
「はい ただいま! 何か食べるかい?」
「私またヴァルディさんのが食べたいニャ〜♡あの味が忘れられないのニャ・・・」
「な、ななっ!!ノワル貴様!ヴァ、ヴァルディ殿に い、一体何をしたんだ!///」
「い、いったいなにを勘違いしてるニャ!?変な意味じゃないニャ!!///リゼはむっつりってやつかニャ!!!」
「き、貴様!こ、これ以上言うと切るぞ!」
「リゼはむっつりの変態だニャ〜」
「ノワル!」
「変な勘違いしたのはリゼの方ニャ!」
「な、なに!」
「なんニャ!」
「アンタたち!いい加減にしな!戯れ合うなら部屋でやりな!」
「「ひっ!ご、ごめんなさい!」」
どうやら力関係は、亭主の方が上らしい。
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