新たな街セルケト
ばっ!!
勢いよく目を覚ました俺は夢の中でエゼキエルにもらった腕輪があるかどうかを確認した。
まあ普通に考えて夢の中のものが現実世界に持ち込めるわけがないのだが自分の腕に装着されていた
その腕輪は夢の中のものと同じで、金で出来たリングの中心に青い宝石がはまったものだった。
俺はその腕輪を外そうとしたがとれない、決して腕輪がきつくてと言う訳ではない。
「アテネ!こ、この腕輪が取れないんだが!」
『なによその腕輪、どこで手に入れたの?昨日は着けていなかったわよね?』
「い、いいからまずはこれをとってくれ!」
俺とアテネは必死に取り外そうとしたがびくともしなかった。
⦅取ろうとしても無駄だよ、これは神具だからね⦆ っ!!
「お前エゼキエルか!?」 『ど、どうゆうこと!?腕輪が喋ったわ!』
⦅2人とも落ち着きなよ、君がアテネだね?僕は天使エゼキエルだよ!よろしくね⦆
『天使!?』
アテネが動揺している。まあいきなり腕輪がしゃべってしかも天使だったなんてそりゃ驚くだろう。
⦅カナメ、夢の中で話したこと覚えてるよね?2つのアイテムのこと⦆
「あぁもちろんだ、聖龍の涙とメデューサの髪だったよな」
⦅うん、よく覚えていたね。でそのアイテムなんだけど依然として手掛かりはない、でもこの腕輪は2つのアイテムが近くにあると共鳴するんだ。その機能を使って見つけ出してくれ⦆
「なるほど、わかったよありがたく活用させてもらう」
⦅それと!僕はいつでもこの腕輪の中にいるわけじゃない。そこは注意してくれよ。
僕がいなくても腕輪は共鳴するから安心してね!んじゃまた!⦆
便利なアイテムを手に入れたな...
「なあアテネ...」 ポカーン。
アテネは俺たちの会話に置いてけぼりにされて文字通りポカーンとしていた。
俺はソルケトの街へ向かう道中アテネに夢の中で会った天使のこと、魔王を葬ることの出来る7つのアイテムのこと、そして勇者が今現在魔王軍におされていてこの世界の存亡は俺にかかっているということを説明した。
『ってことはあなたはここではないどこか別の世界から転生してきてこの世界を救うための
たった一つの希望ってことなの!?まさか勇者様が魔王軍におされているなんて、そうとなれば
こうしちゃいられないじゃない!はやくそのアイテムの情報を聞くためにソルケトに向かうわよ!』
アテネがここまでやる気なのは驚いたが確かにのんびりはしていられない。
俺たちは急いでソルケトの街に向かった。
~冒険者の街ソルケト~
「ここがソルケトの街か!すごいなエアストの街とは比べ物にならないくらい大きいじゃないか」
『そうね、ここは沢山の冒険者たちが訪れるから次第に商人たちが集まってきて今の様な大きさになったそうよ。そんなことよりはやく情報収集よ!』
待て待て...今来たばかりじゃないかとアテネを説得して今日は取りあえず宿屋の確保と
街の観光をすることにした。
『宿を決めるにしてもこの街はどこの宿屋も高いからね、カナメは今いくら持ってるの?』
「ああ、銅貨237枚だな」 ちなみにそんな銅貨どこにしまってたんだと思うかもしれないが、
この世界では、自分の所持金は全て手に入れた時点でギルドに送金され必要な時はその金額を
念じるとギルドから自分の手元に転送される仕組みになっている。もちろん自分が持っている以上の金額を念じても届かない。所持金の確認はギルドで最初に発行したステータスの魔法紙で確認できる。
『銅貨237枚じゃ無理ね、最低でも銀貨3枚は欲しいわ』
「じゃあ後スライム2763匹倒せばいいのか。無理だな...」
『手っ取り早く沢山のお金が稼げるところがあればね...』
「そんなところあるわけ...」 俺は途方に暮れて目線を上にやる。
「あったぞ!!」カナメの目線の先にはカ・ジ・ノの3文字が書かれた看板があった。
『カジノ?まぁ確かにリスクは大きいけれどこれしか無いから仕方がないわね』
「よし!じゃあカジノで億万長者になってくるから!先に宿屋で待っててくれよ」
『わかったわ、やりすぎには気を付けるのよ』
「おう」 俺は早速街で一番でかいカジノへ足を運んだ。
でけー、さすがこの街で一番のカジノだ。ポーカーにスロットやルーレットなどがあって
どれも魅力的なものだが一目見たときからこれだと決めたものがあった。
それは”ストレイボアレース”というものだ、ルールは真っ直ぐ突進するストレイボアの特徴を活かした12匹で1㎞のレースをしてどのストレイボアが何着か予想するという現実世界でいう競馬のようなものだ。あれだけ苦戦を強いられたストレイボアが人間の娯楽に使われるなんて驚きだが早速会場に向かっていた。
キィィィィィィィィィィィィン!!!
なんだ!?腕輪が高い音を立てて響いているまさか共鳴しているのか!?
⦅カナメ!近くにアイテムがあるぞ!そこの通路を右に曲がってくれ!⦆
「お、おう」 エゼキエルが腕輪の中から叫んだ。
会場に向かう途中の通路を右に曲がった。
⦅あれだ!あれが聖龍の涙だ!⦆
一際目を引く小さな小瓶に入った液体があった。どうやらあれが聖龍の涙らしい
よく見ると値段が書かれた紙が置いてあった。
どうやらオークションに出されているようだ。
⦅値段は!?⦆
「金貨15枚からだそんな額到底集められない!しかもオークションは3日後らしい!」
⦅なるほど、3日以内に金貨15枚か...不可能だね⦆
「くそっせっかく見つけたのに!」
⦅でも安心してよ、君には天使がついてるんだよ?⦆
そうだった!これなら希望はあるぞ!
だがそう簡単にはいかないのが異世界というものである...
第7話ご覧いただきありがとうございます。
今回はいつもより少しボリューミーになりましたが最後まで読んで頂けたようで何よりです。
ではまた第8話で、