聖人のその後
まとめである。
この小説は、『地下室の手記』へのオマージュだった。ゆえに、終わり方もそれに倣いたい。
聖人はこの後、数々の困難に見舞われるが、中でも酷いのが死であった。聖人が住むのは、聖人が作りあげた自分の世界であるから、そこで死ぬということは世界も死ぬということだった。だが、聖人は死んでも生き残る。聖人は自分の住む世界を殺すのではなく、改変していくのだった。
聖人が己の世界を改変する方法は、その世界を自分の世界だと自覚して、責任を持つことにあった。聖人は自らの生命を危ういところから救うことで、世界を護ったのだった。それがたとえ結果論としても。
聖人は生き続ける。この世界が終わるまで。聖人は聖人ゆえに不死でもあるし、俗物であるゆえに絶望や困難で簡単に死ぬ。相変わらずである。
やがて聖人は、お金の魔王とは深く和解することになるのだが、それはまた別の平行世界での話としよう。
尻切れトンボな終わり方と言われても仕方ないが、聖人の歩みの記録はここまでとする。こんな稚拙な小説を読んでくださった方には感謝しかない。って普通、小説の内容の部分でこんな記録を残すだろうか。
終わり、である。終わりなのである。
完成させた小説を一つでも持ちたかった。
逃げるような終わり方で申し訳ない。
結構頑張ったつもりだったが、難しいものだな、書くってことは。