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不安な奴は読め。  作者: こども
6/138

なし6

 展望台が好きだ。少なくとも煙ではないから、私は馬鹿なのだろう。高いところが好きだ。夜の東京。ビルも車も駅も全部、光り輝いている。まるで空の星を引き摺り下ろしてきたかのように。星空に憧れ、でも手が届かないから自分たちで作ってしまった。地面いっぱいに広がる星を眺めるために高い建物を造った。そうして何年もかけて綺麗な星空に近づいて行った結果、気づいたら空の星なんてほとんど見えなくなってしまった。皮肉な話だ。人間はやっぱり馬鹿で、宇宙は少し意地悪だった。


 私は怒っている。なぜか、何に対して、いつから、全くわからない。ただ怒りがこみ上げてくる。人間を見ていると、ひどく悲しい。虚しい。交わりたくないのに寂しいし、許せないのに外に出てしまう。私自身、まだ何かに期待しているのだ。お前らのそれは本当に笑顔か、本当に悲しいのか、本当に心配しているのか、本当に聞いているのか。もう終わりにすべきだ。堂々と言うべきだ。お前の性格も名前も学歴も身長も資格もプロフィールも何一つ、お前じゃない。


 やめた。もう疲れた。分からない。何がつらい。何がムカつく。全部だけど全部じゃない。全部なような気がするけれど、本当は原因なんて何もないんじゃないか。ああもう、こんなにムカムカモヤモヤズクズクするのに、私は何も言えない。お前らに伝えようとしていたことなんて、今の私では1万字にも満たない。こんなガキが偉そうに暴論を振りまいたところで、誰が見るのだろう。苦しい。何も作れない。何も救えない。ただ安全な場所でキーボードを打つことしかできない。五体満足なのに、時間も金も移動手段もあるのに、何もしない。散々偉そうに語っておいてこのザマだ。本当に人を救いたい奴はとっくに行動している。ああ、ダメだ。もう語彙も経験も覚悟も全て中途半端だった。私の覚悟なんてその程度だった。カタカタ打っておけば1人くらい救えるんじゃないのか、そんなもんだった。誰がなんと言おうと、これが結果だ。私がどんなに悔しくて暴れたくても、これが事実だ。悪足掻きくらいして見るつもりだけれど、今日はもう。


 ごめんなさい。ごめんなさい。ああ、もう、ああ、本当に、ごめんなさい。生きてください。死なないでください。お願いします。お願いします。もう泣いていいから、自分を許していいから、逃げていいから、叫んでいいから、暴れていいから、他人なんていくらでも傷つけていいから、どうか、あなた自身が救われてほしい。これはきっと間違っているけれど、絶対に誰にも文句は言わせない。そう決めた。


 少し疲れてしまったので、休みます。またいつか。生きていてくれたらまた来てください。

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