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不安な奴は読め。  作者: こども
53/138

いいことがあった。

 いいことがあった。大したことじゃないけど、久しぶりにいいことがあった。


 帰りの電車は満員だけどぎゅうぎゅうではないくらいの人だった。


 途中でおばあさんが乗ってきた。


 おばあさんは杖をついていた。


 おばあさんはどこか掴まるところを探していた。


 ドアの端のスペースにはサラリーマンが陣取っていた。


 そいつはタブレットをぽちぽちやっていた。


 イヤホンをつけて音楽を聴きながら。


 おばあさんはわざわざ回り込ませるように腕を伸ばして掴まっていた。


 「場所変わったら?」


 言えなかった。


 たったそれだけのことが言えなかった。


 今日はいいことがあった。久しぶりに。


 言えなかった。たった一言。


 2、3駅過ぎるとサラリーマンもおばあさんも降りていった。


 おばあさんは降りるのも少し大変そうだった。


 その辺の空いた席に僕は座った。


 今日はいいことがあった。


 そのあと死にたくなった。



 「じゃあさっさと死ね」って、それは俺が一番思ってんだよ。

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