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不安な奴は読め。  作者: こども
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自分、いろいろ、結局どなた様ですか

 僕は文章を書くときに一人称が「僕」だったり「俺」だったり「私」だったりする。先に断っておくが多重人格者ではない。僕が「僕」というときは一番落ち着いているときで冷静に言葉にできないものと必死に戦っているときで、「俺」というときは全員死ねとか全部どうでもいいやって状態の時で、「私」のときはひどく寂しい時か何日もちゃんと寝てない時だと思う。全部適当に気分で変えるときもあるけど、なんとなく自分の中の印象はこうなってる。


 いつも自分じゃない何かになりたいと思ってる。誇れない部分ばかり人と違って、身体のいたるところが良くなくて、心も狭い上に不安定な自分から離れたくなる。マスクかマフラーかネックウォーマーがないと外に出られないのは人と話したくないから、社交辞令であれなんであれ嘘をつきたくないから、口元を隠さないと落ち着かないからだ。


 鏡を見る。乱れた髪でクマの濃い陰気そうな人間が写る。調子の悪いときは体のどっかにウジが湧いているような気がする。自分以外の誰かになりたい。老若男女問わず、美しい何かになりたい。他の誰かとして怒ったり笑ったり泣いたりしたい。


 言語の通じない地球外生命体と交渉する外交官も、恋人を愛しすぎるあまり共に薬漬けになってしまった女性も、恨んでいた兄の死に葛藤する少年も、死んだ恋人の指を瓶に入れて毎日を過ごした青年も、僕の中でいつも美しく、その命が光っているように感じた。彼らは良いも悪いもなく、ただただ必死に毎日を生きていた。

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