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不安な奴は読め。  作者: こども
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繰り返し

 畳んでいない布団とかとっくに返却期限の過ぎた図書館の本とか使用済みの電池とか、そういうものが自分につきまとっているような気がして、「換気をしろ」とヒーターはアラームで騒ぎ立て、ベランダの向こうからは目を焼くような光が襲ってきて、そいつらのせいか分からないけれど首のあたりがムズムズチクチクして嫌になる。つまりまた僕は懲りずに退屈している。


 薄っぺらい共感も、愛想笑いも、意味のない嘘も捨てて独りになった。うまく言えないけど、僕は色んなことを、ものを、心底見下している。じゃあ自分の尊敬するものは何かと聞かれてもすぐに出てくるようなものは何もなくて、「自分」がその対象であるかも定かではなくて、黙って働くか、おとなしく勉強するかの2択も先延ばしにし続けている。選んだら全てが本当に終わってしまう気がして。


 街角を歩いている時に性懲りも無く、突然目の前に自分の全てを受け入れてくれる誰かが現れることを期待する。好きな人もいないのに。理想の相手もいないのに。それでも期待してしまう。もう傷つきたくないと、思ってしまう。優しくされたいと思ってしまう。愛されたいと思ってしまう。寂しいと思ってしまう。こんなものは全部、世の中に腐るほど有り余っている。優しくしたい人よりもされたい人の方がはるかに多い。愛されたい人の方が、救われたい人の方がはるかに多い。彼氏彼女なんかじゃなくてもいいし、結婚なんかしなくてもいい。ただ抱きしめて欲しい。それだけなのに、それだけでいいのにこんなにも満たされない人間ばっかりなのは、きっと「それだけ」ではないからなんだと思う。運命がどうとかじゃなくて、「大丈夫だよ」って抱きしめてくれる相手がいることはとんでもなく美しいことなんだろうって思う。


 こういうものは思春期の妄想だとか「いつまでもそんなこと言ってるからダメなんだよお前は」とか言われるかもしれない。その通りだと思う。「死にたい」とか、「くだらない」とか言ってるけど、僕はただ退屈で寂しいだけで、それだけの世間知らずの子どもなんだと思う。


 それでも、何がいけないんだ。素敵な人に出会いたいと思って何が悪いんだ。運命なんてないと、バカにする必要なんかない。お前にそんな魅力はないとか。素敵な人は自分なんかをわざわざ選ばないだとか、うるせえって思う。かっこ悪い弱音とか枯れるほどの涙とか、そういうものを



 なんか、よくわからなくなったからやめる。

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