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不安な奴は読め。  作者: こども
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人生の始まり。

 きっと俺たちは思春期の末期を迎えていて、ある程度不安定だけど前みたいに理由もなく四六時中何かを恨んだり、憎んだり、そういうエネルギーは最早ないんだと思う。だから100か0かのことしか言わないような暴論とか、Googleの2ページ目か3ページ目にあるようなちょっと目新しいどっかの誰かの名言とか、そういう分かりやすくてなんとなく素敵なことを言ってそうなものに惹かれるのも当然で。宗教の教えとして自爆テロや過激行為を行うのがいつもいつも若者なのもそういうことなのだと思う。何かにすがりたくて、無条件に引っ張ってほしくて、正しいか正しくないかなんて正直どうでもよくて、ただ夢中になれる、しょうもない人生とかろくでもない未来とか、そういうものを忘れさせてくれる何かを俺たちは求めている。


 例えば俺の感動した詩なんてどっかの中年ジジイが金儲けのために締め切りギリギリで二日酔いの頭を振り絞って考えた適当な一文かもしれないし、俺の大好きな小説は、図書館の洋書の本棚の隅っこにあるようなものを誰かが訳して題名だけ変えたやつかもしれない。俺たちはそういう可能性を考える冷静さを持ち合わせていないし、もっと言えば嘘でもいいから漠然とすごいものを求めている。


 こういう盲信っていうのは狂気じみた片思いに似ていて、「やっと見つけた素敵なもの」としてつい頼ってしまう。この俺が惹かれたものなんだから世間的に見ても素晴らしいものに違いないと思うか、これの良さがわかるのなんてこの俺くらいだと思うかの二択だ。結局どこか肝心なところはマイノリティであって欲しいと願っていて、もしかしたらやっぱりなんかしらの才能が眠ってるっていうのを諦めきれなくて、そしてきっとそんなことはないっていうのもちゃんとわかっていて、だから苦しい。だから悩む。立派な悩みなんかないことが悩みで、普通がいいのか嫌なのかもイマイチはっきりしない。


 お前らも一緒なんだろう。結局俺たちは普通人間なんだから。50歩100歩の違いもない、1歩と2歩くらいのもんで、どんぐりの背比べだけど、もう少しだけ夢みさせてくれよ。

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